兵庫県庁

写真拡大

 兵庫県斎藤元彦知事(48)の側近といわれた元副知事の片山安孝氏(65)が5月22日、来春に行われる兵庫県議選に立候補する意向を表明した。「副知事の行政経験を活かしたい。斎藤知事の県政改革の取り組みを支援していきたい」と話しているんだとか。

 ***

【写真を見る】“お土産”を「俺がもらっていく」と堂々お持ち帰り 高級ガニを手に満面の笑みを見せる斎藤知事

 片山氏といえば2024年7月に副知事を辞職する際、「知事を支えきれなかったのが悔しくてしゃあない」と涙ながらに語っていた姿が印象に残る。その斎藤知事を再び支えるため、県議に立候補するのだという。地元記者は言う。

「神戸地検が3月27日、地方公務員法(守秘義務)違反罪で告発されていた斎藤知事と片山氏を嫌疑不十分で、同じく斎藤知事の側近とされた井ノ本知明・元総務部長を起訴猶予でいずれも不起訴としたため、禊ぎが済んだと判断したのかもしれません」

兵庫県

 片山氏は兵庫県高砂市出身で1983年に兵庫県庁に入り、人事部門や産業労働部長などを務めて退職。その後は県信用保証協会理事長に就いていた。

 そんな片山氏を「県行政全体に精通し、優れた調整力がある」として、21年9月に副知事として呼び戻したのが初当選したばかりの斎藤知事だった。片山氏は副知事就任会見でこう語った。

片山氏:斎藤知事は兵庫県政との接点は少ない。職員や関係団体との間に入り、知事を補佐していきたい。

 また、県内企業への就職促進についても持論を述べていた。

片山氏:地元で就職すればいいことあるよ、と訴えていきたい。

文書問題

 この就任会見から2年半後となる24年3月、内部告発文書問題が起こった。地元記者は言う。

「西播磨県民局長が斎藤知事のパワハラなど7項目の疑惑を内部告発する文書を作成し、それがマスコミなどに出回りました。片山氏は人事課長と共に県民局長の元を突然訪れて事情聴取し、彼のパソコンを押収。県民局長は3月末で定年退職の予定でしたが、県は局長職を解任した上、定年退職を停止することを発表しました」

 その際、斎藤知事が会見で「嘘八百」「公務員として失格」などと怒りを爆発させたことで、かえってメディアが注目。デイリー新潮も同年6月23日配信の「パワハラ疑惑で百条委員会設置の兵庫県知事 告発文を書いて、嘘八百呼ばわりされた県職員(60)は今どうしている?『3月末で退職するつもりだったのに…』」などで何度も報じてきた。

「6月には文書問題を調査する百条委員会が設置されましたが、翌月、県民局長は自殺。一部の週刊誌は、パソコン内にあった私的情報が公にされることを恐れたためと報じています」(地元記者)

 県民局長の死を受け、兵庫県職員労働組合は斎藤知事の辞職を片山副知事に申し入れる。

「防ぎきれないと思ったのか、片山副知事は『一緒に辞職しませんか』と斎藤知事に迫ったそうです。しかし、斎藤知事は拒否。そのため片山副知事だけが辞任を発表したのです」(同)

 涙の会見はこの時のものだ。ただし、片山副知事が辞職しても問題の沈静化には至らなかった。

立花孝志被告との“2馬力選挙”

 結局、斎藤知事は不信任決議の可決により9月に失職。その後、行われた百条委員会では片山氏も証人尋問(非公開)に応じ、その席で県民局長の私的情報をペラペラと喋り出して制止されることもあった。

「この内容に飛びついたのが『NHKから国民を守る会』の立花孝志被告(註:後述の通り、その後、名誉毀損の容疑で逮捕・起訴)でした。県民局長の私的情報が最終的には彼にまで流れ着き、選挙演説やYouTubeなどで公開されたのです」(前出の地元記者)

 11月に行われた出直し県知事選は、出馬した立花被告が斎藤氏を応援するという“2馬力選挙”となり、斎藤氏は再選を果たす。

「立花被告は選挙中、百条委員会で斎藤知事を激しく追求していた県議も誹謗中傷し、その県議も自殺に追い込まれます。その後、立花被告は名誉毀損の疑いで逮捕・起訴され、現在も勾留中です」(同)

 私的情報漏洩の追及は、再選した斎藤知事にも及んだ。

「翌25年5月には、元総務部長の井ノ本氏が県民局長の私的情報を県議3人に漏洩していたことが第三者委員会で認定され、斎藤知事と片山氏の指示で行われた可能性が高いとされました」(同)

県職員の辞退者が続出

 斎藤知事や片山氏らが守秘義務違反で告発されたが、前述の通り不起訴に。ちなみに、起訴猶予となった元総務部長の井ノ本氏は、停職3カ月の懲戒処分後に県競馬組合副管理職として職務復帰している。

「実は斎藤知事らは、県民局長の告発文書にあったプロ野球優勝パレードを巡る不正な経費支出や県に贈与されたワインの持ち帰りなど背任容疑でも告発されていたのですが、結局は嫌疑不十分で不起訴となりました。ならばなぜ、一職員を自殺に追い込むほど追及しなければならなかったのか、という根本的な疑問も浮かびます」(地元記者)

 そのためだろうか、兵庫県の採用試験に合格した人の6割近くが入庁を辞退する事態となっている。

「採用試験では大卒程度の総合事務職として209人が合格したのですが、4月に入庁したのはわずか86人でした。昨年の辞退者は150人の合格者のうち69人でしたから、さらに辞退者が増えたことになります。これは近隣の大阪府や京都府などと比べても突出して多い。文書問題を巡るイメージダウンと言わざるを得ません」(同)

 斎藤知事と片山氏によるタッグの結果である。その斎藤知事を支援するため片山氏が県議に挑戦するというのだ。副知事就任時に語った「地元で就職すればいいことあるよ」という言葉が虚しい。

デイリー新潮編集部