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細木数子さんの人生をモデルにしたNetflixドラマ「地獄に堕ちるわよ」が話題になっています。

ドラマのタイトルになっている「地獄に堕ちるわよ」は、細木数子さんの決め台詞として、2000年代に一世を風靡したセリフです。

現代で誰かに向けて言い放った場合、犯罪になったりするリスクはあるのでしょうか。真面目に解説します。

●「地獄に堕ちる」は原則として脅迫罪にならない

脅迫罪(刑法222条1項、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)が成立するには、「生命・身体・自由・名誉・財産」に害を加える旨を告知する必要があります。

「地獄に堕ちる」は死後の話であり、上に挙げた生命などに該当しない可能性があります。

また、脅迫罪における害悪は、基本的に告知者が自分の力で左右できるものであることも必要とされています。

天変地異や吉凶禍福の告知は自分の力で左右できませんから、「警告」にとどまり、脅迫にはあたらないのが原則です。

以上より、原則として脅迫罪は成立しないといえます。

●ただし、文脈次第では話が変わる

もっとも、脅迫にあたるかどうかは、文言それ自体からだけでなく、その文言が使われたときの具体的な状況や文脈から総合的に判断されます。

たとえば、町村合併をめぐる対立のさなかに「出火お見舞い申し上げます。火の元にご用心」というはがきを送った行為について、脅迫罪の成立を認めたケースがあります(最高裁昭和35年(1960年)3月18日判例)。

文面は普通の見舞い状でも、「言うことを聞かないと火をつける」という暗示として機能していたためです。

これと同様に、たとえば反社会的勢力に関係する人物が、凄みをきかせながら「地獄に堕ちるわよ」と言った場合などは、生命や身体に害を加えるという意味の害悪の告知と評価され、脅迫罪が成立する可能性があります。

●脅迫罪とよく似た「恐喝罪」とは?

恐喝罪(刑法249条)とは、暴行や脅迫を行うことで、相手を畏怖させ、財産を交付させた場合に成立する犯罪です。

「お金を払わないと怪我させるぞ」などと脅してお金を奪うようなケースがこれにあたります。

なお、不良少年などが人を脅して金銭を巻き上げる「カツアゲ(喝上)」という言葉は、恐喝の「喝」が由来といわれています。

●占い師や霊能者がお金を要求すると恐喝罪になりうる

占い師や霊能者などが「地獄に堕ちるわよ。だからお金を払いなさい」と迫った場合、脅迫によりお金を支払わせたとして、恐喝罪が成立する可能性があります。

恐喝罪(刑法249条、10年以下の拘禁刑)は、脅迫罪と違い、告知される害悪の種類に特に制限はありません。霊的・宗教的な害悪も含まれうるとされています。

裁判例では、「外道がついている。神様に頼んでとってあげる。お金を出さないと母の生命が危ない」などと言って金員を交付させた行為について、恐喝罪の成立を認めています(広島高裁昭和29年(1954年)8月9日)。

このように、地獄へ行くか行かないかを告知者が左右できると相手に思わせ、金銭の要求と結びつけた場合は、恐喝罪が成立しうると考えられます。

監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)