スペイン領の島の港に停泊するクルーズ船「MVホンディウス号」/Pedro Nunes/Reuters via CNN Newsource

CNN)クルーズ船「MVホンディウス号」で起きたハンタウイルスの集団感染で、11日までに乗客全員と乗員の一部が同船から退避した。各国の保健当局が引き続き、検査や経過観察などの対応を続けている。

同船は現地時間の10日、乗客乗員147人を乗せてスペイン領カナリア諸島にあるテネリフェ島沖の港に入港。この日は19カ国の94人が同船から退避した。

11日に下船した最後の乗客らは、船に向かって手を振りながら同船を離れた。運航会社によると、合計で乗員35人と乗客87人の計122人が下船して、航空機でそれぞれの国やオランダに向かっている。

米保健福祉省によると、10日に同船から退避した米国人17人のうち、1人はハンタウイルスのアンデス株のPCR検査で「軽度の」陽性と診断され、もう1人は軽度の症状があるという。一方、スペイン当局は、「軽度の」陽性については確定できないとして症例から除外している。

フランス保健相が11日に現地のラジオ局に語ったところによると、同船の乗客だったフランス人女性1人もハンタウイルス陽性となり、専門病院で治療を受けている。

この女性はフランスへ戻る途中の機内で症状が現れ、到着時の検査で陽性反応が出た。一晩のうちに容体が悪化したという。

世界保健機関(WHO)によると、これまでに報告されたハンタウイルスの症例は9例、確認された症例は7例となっている。

米国人乗客は11日、国立の隔離施設があるネブラスカ州に到着した。陽性反応が出た乗客と症状のある乗客は、「慎重を期すために」機内のバイオコンテインメント(生物学的封じ込め)区画で移動したと保健福祉省は説明している。

スペイン保健省は11日、米当局が「弱」陽性に分類した症例について、欧州保健当局の検査では結論は出なかったと指摘した。症状のある米国人乗客についても「5月6日に軽い咳(せき)の症状が出た」ものの、翌日には解消したと述べ、「医師は疑いのある症例への分類を検討しなかった」と説明した。

MVホンディウス号のヤン・ドブロゴウスキ船長は11日にビデオメッセージを投稿し、「極めて困難な」数週間だったと回想。そうした状況の中で対応を続けた乗員の「勇気と献身」をたたえるとともに、乗船者全員の互いに対する思いやりに心を打たれたと振り返った。

米国やスペイン、フランス、カナダ、アイルランド、オランダなどは、航空機を使って乗船者をそれぞれの国へ帰国させた。スペイン当局によると、11日には残る乗客らを乗せた航空機がオランダへ向かった。うち6人はオランダからオーストラリアへ向かう予定。

MVホンディウス号は残る乗員を乗せ、オランダのロッテルダムに向けて出航した。運航会社によると、17日夕に到着する見通しで、乗員27人が下船した後、船内の消毒を行う。

英政府によると、乗客だった英国人20人とドイツ人1人、日本人1人は、イングランド北西部の病院で経過観察を行っている。保健当局の11日の発表によれば、ドイツ人は英国在住で、日本人は日本政府の要請で英国に搬送された。同局は、全員について公衆衛生の専門家が診察を行った後、最大45日間の隔離を求めるとしている。