常温のおにぎりも注意するべきだ

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2026年もいよいよ中盤。サマーシーズンはハイキングや釣りといった屋外レジャーやアクティビティ、野外フェスのようなイベントなど楽しみが増えるが、その一方で高温多湿によって食品が痛みやすい季節でもある。厚生労働省の公開資料によると、食中毒の前年(2025年)発生件数は全国で1,172件。患者数は24,000人を超え、2名の死亡者も出ている。例年の症例ピークは空気が乾燥する冬だが、夏季でも油断は禁物だ。
こうした食中毒について一定の知識があり、アルコール消毒など自己流の警戒や対策をしている家庭も多いだろう。しかし、時には「予想外の原因で食中毒に」「対策をしたつもりが無意味」といった可能性もけっしてゼロではない。このような危険性について、ミサクリニック六本木本院の院長・寺井美佐栄氏に話をうかがった。

◆鶏肉、卵、牛乳以外で気をつけるべきなのは…

寺井院長は美容皮膚科を本業とする一方、日常生活の習慣や環境が体調に与える影響について患者と話す機会が多く、特に食中毒を含む体調不良と食事保存などとの関係も強く実感しているという。まずは食中毒についての概要を寺井院長に説明していただいた。原因となる病原体(細菌・ウイルス・寄生虫など)は数多いが、なかでも以下の6つが代表的だ。

(1) 黄色ブドウ球菌:手洗いの不徹底で感染の可能性、毒素が加熱しても分解されない

(2) ボツリヌス菌:土壌や砂中に分布、自然界でも最強の毒素を持ち危険、進行すると呼吸停止

(3) ノロウイルス:牡蠣など二枚貝で中毒事例、集団感染しやすく冬に多発

(4) 腸管出血性大腸菌(O157):加熱不十分の肉などから感染、死亡事例あり

(5) カンピロバクター(※細菌):生の鶏肉などから感染、まれに神経合併症(ギラン・バレー症候群)を起こす

(6) アニサキス(※寄生虫):刺身や生魚から感染、発症が数時間以内と早い

いずれも感染後に発症すれば腹痛・下痢・発熱・嘔吐など重篤な症状を引き起こし、とりわけ子供や高齢者にとっては危険である。こうした病原体をシャットアウトするにあたり、特に注意すべき食材や料理は何か。

「鶏肉や卵、牛乳および乳製品は皆さんイメージしやすいと思います。意外と油断できないのがカット野菜やサラダ。仮に洗浄済みでも菌がゼロになっていない事があり、O157の懸念が拭えません。おにぎりなども、握る時に手から黄色ブドウ球菌が移り、常温で置いておくと毒素が増える場合もあります」

◆「洗わない」と「放置」に要注意

続いて、食品を扱う日々の行動面については、どのようなポイントに気をつけるべきだろうか。

「まず、生肉や魚は常温で長く放置しないように。買って帰る時も、エコバッグ内で汁漏れすると他食品に付いて、二次汚染を起こしかねないので気をつけてください。冷蔵時は食品の詰めすぎによる冷気の循環不足、過度な長期保存、不適切な温度設定が菌増殖の原因です。-15℃以下の冷凍なら細菌はほとんど活動停止しますが、自然解凍や再冷凍・再解凍の繰り返しに避けましょう」

このほか、調理中も気になる点は多い。肉や魚を切った後のまな板や包丁を、洗わないまま他の食材に使うと、菌が移る原因になりうる。加熱不十分な食材は内部に菌が残り、これも食中毒のもと。手洗いが不十分なまま調理や食事をすると、言うまでもないことではあるが、手についた菌が食材や口に移って不衛生。総じて「食材・料理を常温で長時間放置」「(食材・調理器具・手を)よく洗わない」が危険である。

◆対策をしても実は「効果が薄い」ケースも

ところで、食中毒を防ぐためにスプレーで調理器具などのアルコール消毒を行っている人もいるだろう。しかし、寺井院長が言う所によると、これでも病原体を100%防げるわけではない。