Photo: Mark Murphy/ Getty Images

4月10日、10日間にわたる月周回ミッションを終え、アルテミス2が無事に地球へと帰還しました。月の裏側の調査や美しい地球の写真を届けてくれて、見守るこっちもワクワクしましたよね。

でも、このミッションはワクワクだけではありませんでした。専門家や宇宙ファンは、宇宙船「オリオン」の耐熱シールドが持ち堪えられるかどうか、緊張しながら見守っていたんです。

というのも、前回のアルテミス1の無人ミッションでは、想定外の摩耗や損傷が見つかったことで物議を醸していたのです。アルテミス2でも不安視される画像が出回り、心配されていたのですが、NASAによると「予定通り」だったんですって。

SNSで拡散された「シールドの欠け」は結局なんだったのか?

宇宙船オリオンが着水した直後、ネット上ではとある画像が議論を生みました。テックメディア『Ars Technica』のエリック・バーガー氏らが共有したズーム写真には、シールドの一部が大きくえぐれ、白い素材が剥き出しになっているような跡が写っていたのです。

「やっぱり欠陥があったのでは? 」とSNSがザワついたのですが、NASAのジャレッド・アイザックマン氏によると、それは技術的には正常な反応だったらしいのです。

というのも、その白い部分は「コンプレッション・パッド(圧縮パッド)」と呼ばれる特殊な接続部で、機体をロケットに固定する重要なパーツなんです。そして、周囲の耐熱材とは素材が異なるため、地上での試験が行なわれた段階で、すでに熱による変色や摩耗の仕方が周囲とは違うことが確認されていたんです。つまり、これは「計算通り」だったんですね。

素材ではなく軌道を変えた

実は今回、NASAは耐熱シールドの設計そのものは変更していません。その代わり、再突入ルートを変更したんです。

アルテミス1での損傷原因は、熱そのものよりも、シールド内部で発生したガスがうまく排出されず、内圧で表面が弾け飛んだことにありました。そこでエンジニアたちは、ガスが急激に溜まらないよう、あえて急角度で一気に大気圏へ入る軌道を採用しました。理論上、外層が適切に「呼吸」できるようにコントロールしたのです。

これには元宇宙飛行士たちからも「根本的な原因を理解できていないための措置なのではないか? 」と懐疑的な声があがっていましたが、今回の成功によりその懸念が払拭されたことになります。

もちろん、これで全てが解決したわけではありません。NASAは今後、オリオンのカプセルを解体・調査し、X線スキャンやサンプル抽出を通じて、目に見えない内部ダメージがないか数ヶ月かけて徹底的に調査します。

しかし、4名のクルーが無事に戻って来られて、さらに機体も良好な状態だったということは、月面着陸を目指すアルテミス3以降に向けてこれ以上ない合格証となったと言えるのでは。

将来の火星探査への道のりは明るいのかもしれませんね。

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