100戦目に臨むも5着に終わったズッシーノ(左)(24日、金沢競馬場で)=桐山弘太撮影

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 金沢競馬場所属の競走馬「ズッシーノ」が24日、99連敗で100戦目のレースを迎えた。

 順位は5着で初勝利は挙げられず、100連敗を記録した。「負け組の星」として国民的ブームを巻き起こしたハルウララと同じ高知競馬場で2021年にデビューし、23年に金沢に移った7歳牡馬(ぼば)は、まだ見ぬ初勝利を夢見て懸命に走り続ける。(武山克彦)

 ズッシーノはスタートで少し体のバランスを崩し、一番後ろから追いかけていく。「ハルウララのような形で有名になりたくはない」。1着を取ることが最も大切な競馬の世界で、関係者たちの正直な思いが聞こえてくる。

 中盤に追い上げを見せ、最後の直線コースで懸命に脚を伸ばすも、初勝利には届かなかった。地方競馬全国協会によると、現役馬で100連敗しているのは、ズッシーノで4頭目となった。鋤田(すきた)誠二調教師(61)は「がんばったな」と、鞍を外した鼻息の荒い馬体を2回たたき、ズッシーノは厩舎(きゅうしゃ)に戻っていった。

2着7回、3着15回

 祖父、祖母ともに中央競馬のGI馬。デビューから期待をかけられたが、地方の高知競馬場でも勝てなかった。当時の調教師は「別の土地なら水が合うかもしれない」と、知り合いの鋤田調教師にズッシーノを紹介した。

 2023年4月の厩舎入りの時に初めてズッシーノに会った鋤田さんは「体のバランスが良い。これなら勝てる」と、鍛え上げた。だが、序盤から中盤にかけて先を走るものの、勝ちきれない。これまでの成績は2着7回、3着15回。あとわずかで勝利という惜しいレースもあった。

 もう人間で言えば30〜40歳代。年を重ねるごとに走りも落ち着きを見せ、粘り強さも身につけてきた。毎週のようにレースで走り続けても、これまでに重いけがもしていない頑丈な体も健在だ。

「一生懸命な姿を見られるのがうれしい」…周囲は気長に待つ

 そんなズッシーノを、周囲は温かく見守る。鋤田調教師を通して馬主となった庭田文雄さん(61)は「ペットのようなもの。勝ってほしいのはもちろんだが、一生懸命な姿を見られるのがうれしい」と、出走レースは毎回現地で観戦する。

 厩務員の中田真一さん(54)も「おとなしい馬だけど、腕をかんでちょっかいを出してくる時もある。こちらが叱ると、びっくりした表情をする臆病な一面もある」と笑顔を見せる。

 普段はおとなしくても、レース前は一気に熱が高まり、鞍(くら)を載せようとすると「はしらないかんのか」(中田さん)とばかりに興奮する。馬はレース後の息づかいで力を尽くせたかどうかわかるといい、中田さんは「いつも鼻息を荒くして帰ってくる。やっぱり勝つまで走ってほしい」と声を振り絞る。

 ズッシーノの鞍上(あんじょう)に多く乗ってきた吉田晃浩騎手(44)は「まだ勝ち方を知らないだけ。一生懸命な馬だから、一番近くにいるファンとしてがんばっていきたい」と力を込めた。