前田敦子さん

写真拡大

 このところ舞台女優としての評価も高い前田敦子さん(34歳)だが、数年前、ロングラン舞台の真っただ中に、肋間神経痛に見舞われた時期があった。そして、その様子に気づいた大先輩からの言葉に救われたという。「すごい人たちって、みんな優しい」と改めて思ったという前田さん。
 最新舞台『ポルノ』を前に、奇しくも当時の舞台と同じ稽古場に通う前田さんに、舞台への思いに始まり、仕事のオンオフの切り替え法などを聞いた。

◆現代では許されない!? でもそのブレなさが気持ちいい

--長塚圭史さん作、松居大悟さん演出の舞台『ポルノ』で、玉置玲央さんと夫婦を演じます。それぞれ自分の信念を持っていて、舞台だからこそ上演できると感じる刺激的な内容でもあります。台本を読まれた時の率直な感想を教えてください。

前田敦子(以下、前田):「今の時代にできない内容だな」と思いました(笑)。最初はそこに気持ちが取られたんですけど、それぞれの内面が見えてきてからは、もっと全然違う深い話だなと思って。観てくれる人たちにとっても、もしかすると最初はすごい衝撃的なものとして記憶に残るかもしれないですけど、実は「あれって、こういう意味だったのかな」「意外とこういう人っているよね、自分かもしれないよね」みたいなのが散りばめられている。だから、今の自分がわかるというか、測れる感じ。すごい深い作品だなって、どんどん思っている最中です。

--そうした登場人物たちに、前田さんはどんな印象を持っていますか?

前田:この夫婦だけじゃなくて、他のカップリングを見ていても、みんなすごく自分に自信があるというか、ブレてないんです。それが見ていて気持ちいい。「自分は間違ってない」というか。人に押し付けるんじゃなくて、あくまで“普通”だと思ってる。もしかすると他の人にとって、それは“普通”じゃないのかもしれないけど、「別にブレる必要ないよね」みたいなことを感じながら、ちゃんと立っていたいなと思います。

◆自分に正直にいて傷ついたら“自分のせい”

--登場人物たちが、自分の“普通”に自信を持っているというお話がありましたが、前田さんご自身は、“普通”について考える瞬間はありますか?

前田:「普通って何だろう」みたいなのはずっと持ってるタイプだと思います。自分の心に正直に生きてきました。多分、周りからは癖があるように見えているだろうなと、客観的に納得はしています。

人を傷つけることは絶対にしたくないので、人を巻き込まない、人を傷つけないということは、常に考えていますね。逆に自分が傷つく分にはいいかと思ってます。自分に正直にいて傷ついたら、それは自分のせいだから。そう思っているから、人に「普通じゃない」と言われたとしても、あんまりブレないのだと思います。

◆大変だった舞台--変化に気づいてくれた大先輩

--ブレない強さを持っていても、それでもきつかった、という瞬間はありましたか?

前田:実は今こうして話している、この稽古場に、すごい思い入れがあるんです。NODA・MAPのワークショップをやった場所で。私は野田さんとの出会いで本当にハッピーになれた。というか、野田さんに出会うとみんなそうなるんではないかと。演劇の妖精みたいな人なんです。

--しかし、そのNODA・MAPの舞台で、壁にぶつかったということですか?

前田:NODA・MAPってロングランなんです。当時、自分の心身のバランスがわからなくて、肋間神経痛になってしまって。すごく声を張る役だったのですが、ちょっと声を張るだけで、胸がズキッって。

--公演の真っ最中に痛みが出ていたと。

前田:まだまだ続くよ、というような中盤あたりから(苦笑)。すごく不安だったんですけど。私の変化にすぐ気づいてくれた先輩がいて。