MORE STAR ソロインタビュー Vol.1:新井心菜「メンバーのみんなも笑顔にしたい」 不器用でも、太陽のように輝くアイドルに
FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、CUTIE STREETを輩出したアソビシステムのアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」。リアルサウンドでは、第五弾グループとしてデビューしたMORE STARの連載インタビューをスタート。メンバー全員がデビュー前にプロジェクトの次世代メンバーであるKAWAII LAB. MATES(略称:メイツ)として活動し、切磋琢磨の期間を経て、2025年12月12日の『KAWAII LAB. SESSION vol.17』でステージデビューを果たした。
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リアルサウンドでは、そんなMORE STARの“今”に迫る連続インタビューを企画(毎週木曜日更新予定)。全員インタビューに続き、本稿からは、メンバーのソロインタビューがスタート。Vol.1となる本稿では、オレンジ色担当の新井に話を聞いた。
グループ随一のアイドル歴を誇る新井だが、KAWAII LAB. MATESでの日々は、その経歴ゆえに生まれる悩みや葛藤と向き合い続けた期間だった。MORE STARとしてデビューした彼女は、現在の自身をどのように捉え、何を目指しているのか。“アイドル愛”に突き動かされて、不器用でも、確かに前へと歩み続ける今を語ってもらった。(編集部)
■真っ直ぐ突き進んだアイドルという夢
――まずは、KAWAII LAB. MATES(以下、メイツ)に加入するまでのことを聞きたいのですが、新井さんはもともとアイドル活動をしていたのですよね。
新井心菜(以下、新井):そうなんです! 小学校5年生のときに、ASOBISYSTEMの新人開発部署であるASOBINEXTに所属していました。中学1年生からはHi-Fi GIRLs PROJECTのメンバーとしてライブにも出演していました。それが、私のアイドル人生の最初ですね。
――そもそも、アイドルに憧れたのはいつ頃?
新井:きっかけは、幼稚園の年中さんの頃に観たアイドルアニメ『アイカツ!』(テレビ東京系)です。『アイカツ!』って、踊るとキラキラしたオーラが出る演出があって、そのオーラに憧れていたんです。自分も、こんなふうにキラキラできる存在になって、まわりの人たちもキラキラさせられるようになりたい、いろんな人の笑顔を見たいと、自然と思うようになって。いつもテレビの前で歌って踊っていました。いちごちゃん(主人公・星宮いちご)たちの振り付けを、そのまま真似っこして。
――ご家族もそれを見守って。
新井:はい。「アイドルになりたいんだな」と受け止めてくれていました。なので、年中さんからはずっと「夢はアイドルです」と言っていたし、乃木坂46さん、AKB48さん、=LOVEさんといろんなアイドルさんに夢中になっていました。そうしたら、小学5年生のときに母が「本気でアイドルをやりたいなら、オーディションを受けてみる?」と言ってくれて、オーディションを受けたという流れです。今思うと、早い段階でアイドルをはじめたなと思いますね。
――オーディションを受ける5年生までは、何か習ったりしていましたか?
新井:お家で踊ってみた動画を観たり、踊って歌ったりしてはいました。で、振りを覚えて、リビングで踊るんです。キッチンでご飯の準備をしている母に向けて、ニッコニコで(笑)。母は、半分くらい見ていなかったと思うんですけど、「いいね!」と言ってくれました。
――肯定して伸ばしてくれたんですね。
新井:そうですね。母は保育士なので、子どもと歌ったり踊ったりすることに慣れていたのも大きかったと思います。おかげで、アイドルという夢にも真っ直ぐ進めました。
――メイツにはどういった経緯で加入したのですか?
新井:Hi-Fi GIRLs PROJECTの初期メンバーとして、3年間在籍していたんですけど、そこまで長くいるとふと「このままで大丈夫かな」と悩むことがあったんです。辞めていくメンバーもいたし、「私はこれからどうしよう」って。そんなとき、メイツのレッスンを受ける機会があり、最初はHi-Fi GIRLs PROJECT との兼任期間もありましたが、高校1年生の9月にメイツに加入しました。ここまでの活動で下積みは積んできたから、「やっとここまで来たんだ」という気持ちでしたね。
――メイツでは、どんなことを学びましたか?
新井:ほぼ毎日レッスンを受けていたんですけど、あるとき基礎が足りていないことに気づいたんです。ASOBINEXTにいた頃はステージに立つ機会はたくさんあったので、場数は踏んできたつもりだったんですけど、基礎を飛び越えて応用/実践をしていた感じで。基礎を身につける時間が私には少なかったんですよね。
――そもそも、事務所に入ったのが小学生ですものね。
新井:そうなんですよね。なので、先生のパフォーマンスを見て、「私のステップにはここが足りないんだ」とか、「こんな見せ方もあるんだ」とか、基礎を固める段階から学びがたくさんありました。
――そんななかでも、印象に残っていることは?
新井:メイツのみんなとは、仲間でありライバルでもある関係性だったので、「あの子はできているのに、私は……」と、まわりと比べてしまうことが増えました。私にはないところをたくさん持っているからこそ、ずっと葛藤していましたね。
――ともあれ、3年間活動してきた自負はあるのでは?
新井:うーん……私はもともと自信がないタイプなので、その3年があるからこそ「こんなに経験してきたのに」と悩むことはありました。オーディションやデビューを経て少しずつ気持ちが整理できるようになったんですけど、この頃はなかなか整理できなかったですね。
――そのうえ、新井さんは“不器用”と自認していますよね。まわりに追いつくための努力も相当だったのでは。
新井:歌って踊ること自体はすごく好きなんです。だけど、もともと体は硬いし歌の表現力もなくて棒読みみたいな感じだったので……確かに、まわりを見て、地道に努力して、コツコツ力をつけてきた感覚はありますね。
――昨年行われた合宿オーディションについても教えてください。どのような時間になりましたか?
新井:やっぱり人と比べて落ち込んでしまう性格なので、オーディションのときはとくに悩むことが多かったです。「自分の良さってなんだろう?」って、ずっと。
――新井さんの良さ、ですか。
新井:たとえば、(山本)るしあはオールラウンダーだし、中山こはくは“ジュエリーフェイス”を持っているじゃないですか。そんなふうに、みんなわかりやすい強みを持っているんですけど、「じゃあ私には何があるんだろう?」と思っていました。でも、「ここ(オーディション)は、今まで積み上げてきたものを発揮できる場所だから。全部出しきるんだ!」と思って、100%の力で挑みましたけどね!
ダンスの先生からいただいたアドバイスをとにかく早く吸収しようと必死でしたし、どうやったら私の良さが伝わるだろうって考えて、工夫したりもしました。個人歌唱審査で「フルーツバスケット」(FRUITS ZIPPER)を歌ったとき、最初にジャンプしたのもそうです。同じ曲で何人も審査するから、ちょっとでも違いを出して目に留まればいいなと考えてそうしました。
■FRUITS ZIPPER 櫻井優衣という“努力の人”へのシンパシー
――個人ダンス表現審査で幾田りらさんの「Answer」を披露した際は、かなり評価が高かったですよね。きっと手応えがあったかと。
新井:そうですね。「Answer」は、自分のなかでいちばん感情と歌詞を理解できた曲でした。合宿の2~3日前にこの曲が課題曲になったと教えていただいて、その日の帰りの電車のなかではじめて聴いたんですけど、思わず泣いてしまったんですよ。歌詞が、メイツとして活動する自分の心境とすごく重なって。
――終わりの見えない挑戦と、そのなかで起きる葛藤や不安が歌われているんですよね。そういう部分が重なると。
新井:はい。何十回、何百回と繰り返し聴いて、自分のなかに潜む闇の部分と向き合いました。練習中も、踊りながら泣いてしまうことが何度もありましたし……。今までは、落ち込んでも「しょうがない。頑張ろう」と気持ちを押し殺してしまうことが多かったんですけど、「Answer」のパフォーマンスを通して「弱い部分も含めて自分の良さなんだ」と思えるようになりました。
――そして、合宿オーディションの延長戦では、FRUITS ZIPPER 櫻井優衣さんのソロ曲「ずるい、かわゆい」を個人審査曲に選びました。
新井:櫻井優衣さんは今の私の憧れの存在ですし、この曲には私にはない“あざとい”、“かわいい”要素がたくさん詰まっていて。そこが素敵だなと思ったんです。それに、このオーディションは受かるか落ちるかだけじゃなくて、“成長できる場”にしたいと思っていたので、挑戦しようという気持ちが強かったんですよ。だからこそ、あえて自分が持ち合わせていない要素の曲にして、「こんな一面もあるんだ!」と思ってもらえるように頑張りました。
――櫻井優衣さんへの憧れの気持ちはいつ頃から?
新井:FRUITS ZIPPERさんが結成された頃から見ていたんですけど、「こんなにアイドルのオーラを出せる人がいるんだ!」と衝撃を受けたんです。そこからどんどん惹かれていって、気づいたら憧れの存在になっていました。しかも、長い下積み期間がある努力の人だと知って、シンパシーを感じて。「私もちゃんと積み上げていけば、いつか近づけるかも」と思いました。
――パフォーマンスに手応えはありましたか?
新井:前日に喉を痛めてしまったこともあって、「もっとできたのに!」と思うところはあります。だけど、「あの時の自分の全力は出せた」と、映像を見返してみて思いますね。あと、デビューが決まってから優衣さんとご飯に行かせていただいたときに、「『ずるい、かわゆい』を披露したんです」というお話をしたら「よく挑戦したね!」と言ってくださったんですよ。ちゃんと心構えをしないと、ああいうあざとかわいい表現は難しいから、って。そう言ってもらえただけで「挑戦してよかった!」と思いました。私の実力はまだまだですけど……ほんの1ミリでも認めてもらえたような気がして、うれしかったです。
――報われましたね。ところで、合宿の映像を見返したりもするんですね。
新井:しますよ! デビューさせていただいた今、ファンの方に「ぬるくなったね」といわれるのがいちばん悔しいので。合宿でがむしゃらに頑張っていたあのときの自分の気持ちを忘れないよう、定期的に見て刺激をもらっています。
――そして5日間の合宿オーディションを終え、結果は合格。MORE STARとしてデビューが決まりましたが、当時のお気持ちをあらためて教えてください。
新井:決まった瞬間は、安心と不安、両方ありました。9人組はカワラボ(KAWAII LAB.)ではじめての編成ですし、個々で見たときに知名度がある状態からのスタートではないので、「自分たちの力で這い上がっていかなければいけないんだ」という不安がどうしても……。だけどやっぱり、安心のほうがどちらかというと大きかったかもしれないです。きゅーすと(CUTIE STREET)に続いて2度目のオーディションだったので「今回落ちたら、もう自分はないのかもしれない」と思っていましたし。選んでいただけたときは、真っ先に「親に言いたい!」と思っていました。
――ご両親の反応はいかがでしたか?
新井:すごく喜んでくれました! 「おめでとう。やっとスタート地点に立てたね」って。両親はずっと支えてくれていたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
――MORE STARのオレンジ担当になることは、なんとなくイメージしていましたか?
新井:全然していなかったので、びっくりしました! でも、プロデューサーの(木村)ミサさんから「太陽のような存在になってほしい」と言っていただいたとき、すごくしっくりきたんです。オレンジって、エネルギッシュで明るいイメージじゃないですか? 私はそこなんだって。みんなにパワーを届けられる存在なんだって。
――最初にお話していた、憧れのアイドル像に近いものがありますね。「たくさんの人に笑顔やパワーを届けられる存在」という。
新井:私たちの曲に「ハグ!」と「タイムライド」という曲があって、その両方に〈パワー〉という歌詞が出てくるんですけど、どっちも私のパートなんです。だから……今は太陽みたいにキラキラ輝いて、みんなを照らせるアイドルになろうと思っています。それが今の自分のモットーですね!
――そのために意識していることはありますか?
新井:最近は、ありのままの自分でいようと意識しています。私、まわりから“真面目”と言われることがあって、たしかにそうではあるんですけど、実は抜けてるところもあるんです(笑)。母からは「真面目とマイペースのハーフ」と言われて、自分でもそう思っているんですけど。
――(笑)。どんなところがマイペースっぽい?
新井:わかりやすく言うと、多分天然なんですよ。私だけの世界があるらしくて、メンバーと話していると「今、変なこと言ってなかった?」ってなる、みたいな(笑)。で、それを面白がってもらえるのがうれしいので、いずれそんな一面が出たらいいなと思っています。こういうのって、無理して出そうとすると絶対に変になっちゃうので(笑)、自然に出てくるのがいちばんですね。
■「人の10~20倍頑張って結果にたどり着くのが私」
――デビューが決まってから、MORE STAR 9人の関係性に変化はありましたか?
新井:すごく変わりました。メイツの頃は、仲間でありライバルでもあったので、バチバチしてはいないものの、どこか気を張っていたんです。だけど、MORE STARになってからはさらに仲間になれたというか。心を許せるようになりました。最近は9人でご飯に行くことも増えてきました。そういう何気ない時間がすごく楽しくて、確実に絆が深まってきていますね。
――話を聞いている感じ、新井さんは仲間への想いが強い気がしますね。
新井:たぶん、そうだと思います。中学生の頃からアイドル活動をしてきましたけど、Hi-Fi GIRLs PROJECT時代は途中でメンバーが卒業して、いなくなってしまう寂しさがあって。MORE STAR結成でやっと「仲間ができた」という気持ちに慣れたんです。だからこそ、メンバー間ではちゃんと向き合える関係になりたいですね。
――向き合える関係、というと?
新井:私は観察型の人間なので、レッスン動画を撮った日は全員分を見るんです。で、「この子の髪のさばき方がキレイだな」「この子はロングトーンがキレイだな」と、できるかぎり細かいところまでみて勉強しているんですよ。そうして、ひとつでも多く自分に取り込めたらいいなと思っているんですけど、一方でメンバーにも「あの振りのところ、すごくよかった」「キレイな歌声だったよ」と声をかけるようにしているんです。ときには、「ここ、もっとよくできるかも!」と改善点も真っ直ぐ伝えています。
――ちゃんと言い合えてこそ、グループ活動ですものね。
新井:そうですね。私はパワー担当なので、そういう声掛けもきっかけにしてメンバーのみんなも笑顔にしたいです。これは、私の強みでもあると思っています。
――そうして細かいところまで見て気づくことができるから、人と比べてしまいがちなのかもしれませんね。
新井:そうかも……。でも、今は別にその性格を悲観しているわけじゃないんです。私は天才型ではなく努力型。コツコツ積み上げていくタイプだし、できないことがあれば「どうやればできるようになるかな」と考えることだってできます。そうして、人の10~20倍頑張って結果にたどり着くのが私なので、今はこのやり方で続けていくしかないと思っていますね。
それに、メンバーの誰かがモデルのお仕事をしたりしたら、MORE STAR全体の知名度があがるじゃないですか。メンバー個人の評価がそのままグループにも繋がるから、誰かと比べるよりも、個性の違いを「ありがたいな」と思えるようになってきましたね。9人それぞれが強みを活かせば、9人一緒に上がっていけて、MORE STARもどんどん有名になる。じゃあ、変に比べる必要ないじゃんと今は思っています。
――気持ちも楽になったでしょうね。
新井:そうですね。全く比べなくなったわけではないし、落ち込まなくなったわけではないですけど、ずいぶん心が軽くなりました。なにより、“自分が頑張ればグループのためになる”と思えるようになったのがいちばん大きいです。
――Hi-Fi GIRLs PROJECT時代の経験が、今に活きていると感じることもありますか?
新井:あります。当時は月に20本以上ライブをやっていて、私のファンの方が少ない現場も正直あって。苦しいなと思うこともあったんですけど、だからこそMORE STARの新井心菜を応援してくださる方がいる今はすごく恵まれているなと感じられますし、ファンのみなさんのことが大好きという気持ちもあらためて噛み締めているところです。それに、ライブに対する向き合い方やファンの方との距離感といった意識も、今の私に繋がっていると感じます。もっと基礎を磨いていればと思った時期もありましたけど、それでも「全部ムダじゃなかったな」と、今では思えます。
――今の自分に足りないもの/欲しいものは?
新井:いっぱいあります(笑)! でもやっぱり、いちばんは実力ですね。この世界には、本当にすごいパフォーマンスをされる方が大勢いらっしゃるので、自分も“パフォーマンスで魅せられるアイドル”になるための実力をつけたいです。あとは、素の自分を出して新井心菜のキャラを伝えることと……顔も、もっと可愛くなりたいですね!
――落ち込むよりも、見返してやろうと。
新井:そうです! たとえば、メイク。不器用なのであまりうまくないんですけど、それってつまり、伸びしろがあるってことじゃないですか。アイラインの引き方もシャドウの乗せ方も少しずつ上達していって、1ミリでも「かわいい」と思ってもらえたら嬉しいですね。こんなふうに頑張れるのも、応援してくれる方々のおかげです!
――そのポジティブさ、まさにパワーを感じます。では、今後の夢は?
新井:「かわいくなりたい」という気持ちが強くなったことで、モデルのお仕事に興味が湧いてきました。モデルとして雑誌の表紙を飾ることが今の大きな夢ですね。そして、アイドルを軸にしながら、いろんな活動ができたら。演技やバラエティにも挑戦して、MORE STARの名前を広げられる存在になりたいです。MORE STARとしては、グループでテレビに出たり、ツアーを回れたりするくらい大きな存在になりたいです。ゆくゆくはFRUITS ZIPPERさんたちのようにCMやテレビ番組にもたくさん出て、みなさんの日常生活のなかに自然に溶け込んでいるようなグループになりたいですね。
――まさに大きな夢に向かって駆け上がっているところですね。新井さんは幼稚園生の頃からアイドル一筋でした。ここまで続けられている原動力は何ですか?
新井:本当にシンプルなんですけど、アイドルが大好きという気持ちです。もちろん、アイドルを続けるうえで悩んだこともあります。だけど、「アイドルをやりたい」という気持ちは一度も折れていないので、この気持ちは本物なんだなと思いますね。
(文・取材=松本まゆげ)
