[3.31 KIRIN WORLD CHALLENGE 日本 1-0 イングランド ウェンブリー]

 伝統あるハムデン・パークでのスコットランド戦に続き、聖地ウェンブリー・スタジアムでもイングランドを絶望させるスーパーセーブを連発した。その姿から漂うのは世界トップレベルへの階段を今まさに上がっているという充実感だ。GK鈴木彩艶(パルマ)が2試合連続で日本代表のゴールマウスの前に君臨し、スコットランド戦と同じ“ウノゼロ”の勝利を演出した。

 安定感と瞬発力が光った。最初の見せ場は後半の17分。MFモーガン・ロジャーズのシュートを難なくキャッチすると、その先もスーパーセーブが続いた。同33分には途中出場のFWマーカス・ラッシュフォードの強烈なシュートをセーブ。味方の股を抜けた難しい軌道だったが、正面で自分の間合いに収めた。

「股下から抜けてきたシュートでバウンドした。一番はキャッチングしきれれば良かったが、ボールも速い中で、自分としてはボールを後ろにやらせないだけで精一杯だった。もう少し良い対応ができれば良かったが、セカンドボールまで集中できていたと思う」と冷静な対応だった。

 そして試合終了間際には連続シュートを浴びる中でも崩れた体勢を目にも留まらぬ速さで元に戻し、ルイス・ホールの強烈な左足シュートを止めるシーンも。これも味方がシュートブロックに入っており、ブラインドの状態をものともしなかった

 見せ場はシュートストップだけではない。数多く与えたCKの守備の場面では前に出てキャッチするなり、弾くなり、的確な判断が光った。大きな身振りと声でコーチングしている様子もしっかりと見えた。イングランドのハイプレスを無力化させるような冷静なビルドアップのパスもチームを落ち着かせた。

「後半は本当にセットプレーが続いたが、みんなが体を張っていたし、ミスをカバーしながらボールを守るところに集中できていた。みんなで一致団結していた」と仲間に感謝するが、その安定感は頼れるGKがいるからこそ。昨年11月の左手骨折から復帰した2試合で最高のパフォーマンスを披露し、W杯本大会への期待をより大きく膨らませた。

(取材・文 矢内由美子)