高市早苗首相

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高市早苗首相は20日の施政方針演説で、裁量労働制の見直しを検討する考えを明らかにした。対象職種を拡げる方針だ。高市政権が目指す新たな働き方とはどんなものか。25日放送のテレビ朝日系「モーニングショー」で専門家などに話を聞いた。

裁量労働制とは、実際に働いた時間ではなく、あらかじめ企業と労働者で決めた時間を働いたものとみなし、その分の賃金が支払われる制度。現在、対象は2種類に限られる。

1つ目は、研究職や士業など20の業務が対象の「専門業務型」。2つ目は、企画や立案、調査を行う「企画業務型」だ。後者はさらに細かく条件が定められており、労働者に不利にならないように規定されている。

メリットは、仕事の進め方や出社・退社時間などは労働者に任されるので柔軟な働き方が可能であること。デメリットは、実際に働いている時間の把握が甘くなり、働き過ぎに陥る懸念があること。

労務問題に詳しい倉重公太朗弁護士は「裁量労働制が決まったのは20年ほど前と古いので、時代に合わせてアップデートする必要がある」と指摘する。20年前と言えばITバブルの時代で、SEのようなシステム関連職種が対象として念頭に置かれた。

なぜ、今見直しなのか。最大の理由は人口減少で、企業の成長を図るには一人一人の生産性を高める必要があるからだ。倉重弁護士は「働き方改革は単なる労働時間の減少ではなく次のフェーズに入ってきて、成長したいとかもっと稼ぎたいという人にどうやってメニューを増やすかが課題になってくる」と話す。

AERA編集長の浜田敬子氏は「(裁量制は)介護や子育てをしている人が働く時間と場所を自分で決めて成果を出しやすいが、導入する側の動機はきれい事で言っているが、ちゃんと運用できるのかが問題」と懸念を示す。そのうえで「総労働時間の規制を行ったうえで制度改正すべき」とした。

裁量制が導入されて以来、実際のところ、企業側の「残業代を払いたくない」という動機で運用されてきた側面は多々ある。また、「長く社内にいる人がたくさん働いている」と評価される社会的風潮が完全に払拭されたとは言いにくい。一方、裁量制で働いている人の7割が満足しているという厚生労働省の調査もあり、要は本人の意思で選べるメニューとして提示されることが大切だ。

「もっと経験を積みたいという20代と、子育てが必要になってくる結婚後では違うし、ライフステージに応じた働き方ができる選択肢がないと従業員は辞めてしまう。(会社側は)社員本人の希望にあったキャリアを提供することが大事」(倉重弁護士

コロナ禍でリモートワークが増えたが、収束後は出社回帰が増えている。ただ、会社側が“出社する意味”をしっかり説明できるかどうかがカギで、仮にリモートと出社のハイブリッドにする場合、出社日を固定してしまうと人材の定着にはつながらないという。社員が出社日を選べるような運用がないと理解してもらえない。

そして、ハイブリッドの場合、“リモート組”と“出社組”に対する評価基準は同じでなければならない。そこがもっとも重要だ。