Image: Photo Agency / Shutterstock.com

教育に広がるAIへの不安とOpenAIの新提案。

教育関係者のあいだでは、AIが授業にどのような影響を及ぼすのかについての懸念が高まっています。子どもたちが実際に学ぶことなく、合格点を取ってしまうのではないかと心配がされている状況です。

そこでOpenAIは、「じゃあこちらもAIで対抗」という発想で、教師が利用できる「ChatGPT for Teachers」の提供を決定。これで生徒がAIにやらせた課題を教師がAIに採点させるということになります...ん?これって人間いる?

教育に広がるAIへの不安とOpenAIの新提案

OpenAIによると、「ChatGPT for Teachers」は教師が授業用の教材を準備するのを支援するために設計されており、教育機関が学生データを安全に扱えるよう、FERPA(家庭教育権利とプライバシー法)の要件にも対応しているそう。

この教師向けツールは2027年6月まで無料で利用できる予定で、そのころには収益を生み出せるとOpenAIは見込んでいるようで、ツールに依存するようになった教師に向けて料金を請求し始めるのではないかと見られています。

「ChatGPT for Teachers」は幼稚園から高校までの教育者向けに特化して設計されています。OpenAIは大学向けには、「ChatGPT Edu」も用意していて、キャンパスでの活用を促しています。全米の多くの大学がすでにこのプログラムに参加し、キャンパス体験の一部としてチャットボットを統合しています。

教育機関を巡るAI企業の思惑

教育機関は、AI企業が自社の製品をできるだけ多く浸透させようと躍起になっている戦場とも言えます。

その理由のひとつは、学校が特殊なデータを収集できるので、モデルの訓練には「宝庫」だから。そして学校の多くは巨大な予算があり、一度導入したサービスを簡単にはやめないという事情もあります。

イーロン・マスクのxAIは試験期間中に学生へ「Grok」を無料提供し、Googleも来年度の学年末まで学生向けにGemini AIを無料で提供しています。

こうしたツールが企業以外の誰かの役に立つのかどうかは、まだ見えていないのが実情。教師たちはすでに、生徒に目の前の宿題や課題へ取り組んでもらうだけでも苦労している状況ですからね。

アメリカでは数学の学力が大幅に低下していて、カリフォルニア大学サンディエゴ校では入学してくる学生の多くが中学レベルの数学ができないため、補習コースを開設したほど。また、自分で勉強するのではなく、宿題や課題をAIに丸投げする学生も多くなってきているようです。

進むAI依存と学習への影響

AIへの依存が批判的思考力を低下させるという証拠はすでに増えつつあります。少なくとも授業中くらいは自分の頭で考える姿勢を身につけて欲しいところですが。

また、ほかの研究では、人々がAIを使える環境では難しい認知作業をAIに委ねてしまう傾向があり、最終的に自力でその作業をおこなう能力を損なってしまうことが示されています。すでにこういったことが判明しているのに、生徒と教師、両者がAIを学校で使える環境にしてしまうのはどうなんでしょうか。その答えがわかる日もすぐにやってきそうですけどね。