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 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は日本時間の5月15日深夜に解禁になった、ジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』最新予告編解説です。

参考:ジェームズ・ガン監督『スーパーマン』本予告公開 巨大生物“KAIJU”とのバトルシーンも

●衝撃だった冒頭のインタビュー

 この予告編で僕が最も衝撃的だったのは、敏腕女性ジャーナリストで後のスーパーマン/クラーク・ケントの恋人、ロイス・レイン(レイチェル・ブロズナハン)のインタビューから始まることです。

 これは1978年(日本公開1979年)の『スーパーマン』においても、ロイスがスーパーマンにインタビューする名シーンがありました。そのオマージュともとれますが、78年版は、スーパーマンはSマークのコスチュームを着た状態でインタビューを受けています。そしてロイスはスーパーマンの正体がまだクラークということを知らない。しかしこのシーン、ジェームズ・ガン版では彼はスーパーマンのコスチュームを着ていない。普段着=クラーク・ケントです。しかしロイスはスーパーマンとしての取材を彼に申し込んでいます。つまり、ロイスは自分の恋人クラークがスーパーマンだということを知っている前提だということです。

 そして78年版のインタビューはどちからと言うと、スーパーマンというヒーローが現れたことを歓迎するインタビューだったのに対し、このインタビューでは、スーパーマンがどこかの国の戦争に介入し、それを終わらせたことが国際的な問題になっていることがわかります。アメリカ政府はこれを問題視しているわけですね。不法行為であると。そしてこの問題は政治だけではなく市民の間でも賛否両論を起こしていることがわかります。

 「スーパーマンというすごい超人が現れたら、それはヒーローではなく脅威ではないのか?」「もしスーパーマンが暴走してその力を使ったら人類にとって恐ろしい存在になるにではないのか?」という問いかけは、2013年公開のヘンリー・カヴィル出演のスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』以降の重要なテーマになっています。

 また、ヒーローが国際秩序に従わず、自身の正義感で行動することの是非は、マーベル・シネマティック・ユニバース映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でも描かれました。要は、アベンジャーズを国連の傘下に置くべきなどのソコヴィア協定のくだりです。これに対し、正義を政治に決めさせてはならない。アメリカ政府にとって都合の悪い相手を一方的に悪とみなすことの怖さ。これに対してスーパーマンは「(自分はアメリカの)代表のつもりなんかない。ただ正しいことをしたんだ」と言います。そう、スーパーマンはアメリカの(アメリカだけの)ヒーローではない。世界中の人々の命を守るべき存在でありたいということがわかります。彼の善良さ、ヒーローとしての立ち位置がこのシーンでわかります。そして観客にとっても改めて「スーパーマンとはなにか?」を問いかけています。

●様々なキャラクターが登場!

 ディスカッションドラマ的な幕開けですが、この後のシーンはアクション満載! 様々なキャラクターが登場し、本作が嬉しくなるようなヒーローエンターテインメントであることがわかります。(以下秒数は予告編でこのシーンが出てくるあたりの秒数です)

 まず34秒目に国防長官は“調査を始める”とのセリフに被って登場するの生えた人物。彼は47秒目でスーパーマンが逮捕(軍に拉致)されているシーンで軍服姿で登場。さらにここでスーパーマンをおさえているのが、マスクで顔を覆い、胸にUの字がデザインされたコスチュームを着ている人物。そのとなりに黒いスーツに身を包んだ女性がいます。このの人物はリック・フラッグSr.。ジェームズ・ガン製作総指揮のDCアニメ『クリーチャー・コマンドーズ』に登場。この声を演じていたフランク・グリロが、この予告編の劇中の人物を演じています。映画『スーサイド・スクワッド』シリーズのリーダー、リック・フラッグ(ジョエル・キナマン)の父です。Uマークの人物は“ウルトラマン”(!)コミックにおいては別バースにいる悪のスーパーマンです。このUマークがコミックのそれと同じなので、この“ウルトラマン”から着想を得たキャラでしょう。

 黒スーツの女性はエンジニアと呼ばれる超人。コミックでは“ジ・オーソリティ”というチームのメンバーで、特殊な金属要素を血液内に持ち、体を変化させ刃物のような形状を生み出すことができます。なので後の登場シーンでは手を回転ノコギリみたいに変化させてスーパーマンに襲い掛かりますね。

 1分7秒目あたりに登場する、重厚なアーマーに身を包んだ敵は、映画オリジナルのキャラみたいです。一応「The Hammer Of Boravia」と呼ばれています。Boravia=ボラヴィアとはスーパーマンが介入したという設定の戦争の国。その国がスーパーマンを逆恨みしてはなった刺客かもですね。目から出す赤い破壊光線が、スーパーマンが目から発射する熱線ヒートビジョンに似ています。スーパーマンと同等の力を持つ存在? もしかすると“ウルトラマン”がこのアーマーを着ている?

 そして本作のメインヴィランは、ニコラス・ホルト演じるスキンヘッドのレックス・ルーサー(52秒目あたりに初登場)。スーパーマンにとって最強の敵です。彼がなぜスーパーマンを憎むのか、今までのコミックやドラマ、映画でも描かれてきましたが、本作ではスーパーマンに対する異常な嫉妬心を感じますね。

 なお、ここでロイスのセリフの「事前に大統領に許可を?」が被りますが、実はコミックではルーサーは大統領になったりもするので、この映画でもそういう展開? なおルーサーたちが北極にある氷の基地で暴れていますが、ここはスーパーマンの拠点である“孤独の要塞”と呼ばれる場所です。ここにヴィランたちが乗り込んでくるということは、スーパーマンにとって大ピンチの状況です。

 さらにスーパーマンがぼこぼこにやられている2分4秒目あたり、いかにもボスっぽい奴が座っていて、手に緑色に光っている物体を持っています。この物体は、スーパーマンにとっての弱点クリプトナイト。この人物はコミックに登場するメタモルフォという超人かと思います。体をあらゆる物質に変化できるので、クリプトナイトを生み出した? ただ彼はコミックではヴィランではなくヒーローなんですが。

●新スーパーヒーローチーム誕生?

 一方、スーパーマンを助けるヒーローたちも登場。2分10秒目あたりに登場する、指に緑のリングをはめた人物グリーン・ランタン(ガイ・ガードナー)、翼のあるマスクの女性ホークガール、顔にペイントしている宙に浮いた男性ミスター・テリフィック(先端テクノロジーを駆使して戦う)です。この3人はお揃っぽいスーツ着ているので、この世界にいるジャスティス・リーグ?

 2分30秒目のオフィスでのやりとり。クラーク・ケントに絡んでいるのは、恐らくジミー・オルセン。カメラマンでクラークの同僚にして、スーパーマンの友達です。

 そしてスーパーマンことクラーク・ケントの地球での育ての親、ケント夫妻が出てきます。パパの言葉も素敵ですが、2分22秒目の、ママの「ブーツを磨いておいたよ」という一言にジーンときてしまいました。僕は、スーパーマンがなぜ心優しきヒーローになれたのかというと、このケント夫妻に愛情たっぷりに育てられたからだと思うのです。なのでケント夫妻がどう描かれるか、というのがスーパーマンにおいて極めて重要です。このシーンだけでも、このジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』は傑作でしょう。

●ジェームズ・ガン監督らしさ

 スーパーマン伝説に経緯を払いながらもジェームズ・ガンらしさもいっぱいです。まずこの予告編ではスーパーマンが怪獣(KAIJU)と戦いますよね。ガン監督は怪獣が好きだし、自身が監督したDC映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でもスターロというエイリアンをKAIJUと呼んでいました。

 また、2分30秒目あたり、この緊急事態を自撮りしてニコニコしている人とか、こういうのはガン監督らしい。また、とにかく犬好きのガン監督、本作ではスーパーマンのペット犬クリプトが大活躍。この予告の最後をスーパーマンとクリプトで締めるあたり、これぞガン映画です。

 ところでジェームズ・ガン監督が手掛けるドラマシリーズ『ピースメイカー』シーズン2の予告もリリースされました。

 ジェームズ・ガン監督が今度の『スーパーマン』から始める世界観は、DCU(DCユニバース)とされています。しかし『ピースメイカー』(少なくともシーズン1)はもともとDCUの前の世界観、通称DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)に属しています。しかし『ピースメイカー2』の予告だとDCUとのリンクも示唆されています。この『スーパーマン』においてもそのあたり、つまりDCUとDCEUがマルチバース的にリンクなど説明されるのでしょうか?

 胸打つドラマとワクワクするようなアクションがいっぱいの予感の『スーパーマン』。「空を見ろ!&映画館で観ろ!」な気持ちで、新たなるヒーロー神話を楽しみたいです。

(文=杉山すぴ豊)