ラストのサビ前、京本大我が奏でる高音「HiHi F(ファ)」にも注目だ。ピアノの鍵盤で真ん中にある「ドレミファ」の「ファ」から2オクターブ高いこの音。例えば、MISIA“Everything”、Superfly“愛を込めて花束を”の最高音「HiHi E(ミ)」(<あなたが想うより強く>の「う」、<理由なんて聞かないでね>の「い」の箇所)よりもさらに半音高く、男性ボーカリストでここまでの高さが出ていることには度肝を抜かれる。

アルバムを通して強く感じたのは、6人のメンバーそれぞれが、音楽というフィールドを心の底から楽しみ、躍動している高揚感だ。

2021年、ミュージカルやバラエティー、ドラマや映画など、さまざまな分野で活躍していたSixTONESが、アルバムレコーディングのために10曲以上の新曲を覚え、歌いこなすまでに持っていく作業はさぞや大変だったに違いない。しかしながら、彼らの歌声はそれを微塵も感じさせないどころかむしろ、「自分たちの活動の原点はここなのだ!」という強い意志、そして覚悟を感じさせるものだ。

■『カムカムエヴリバディ』で俳優としても活躍の松村北斗が多用する「母音強調」とは?

ここからは、京本大我とジェシー以外の4名のメンバーの歌声についても、『CITY』の収録曲を例にとりながら触れていきたい。

まずは、SixTONESの音楽を語る際に欠かすことのできないラップ担当、田中樹。

艶のある低音の響きを武器に、正確なリズムの上を流れるようにリリックを奏で、“WHIP THAT”や“Ordinary Hero”ではワイルドに、そして“Everlasting”のような壮大なバラード曲では切なく、さまざまな表情で楽曲にインパクトと拡がりを与える。

また、初回盤Aにのみ収録されるダンスチューン“Papercut”のAメロでは<痺れるようなFlavor>と、男性キーの平均最高音A(ラ)からさらに半音高いB♭(シ♭)の音を苦しさをまったく感じさせず華麗に歌いこなし、ラップだけではなくボーカリストとしての可能性をも大いに感じさせてくれる。

続いては、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』や劇場版『きのう何食べた?』などへの出演で2021年は特に、俳優として名を馳せた松村北斗。

2月公開の主演映画『ライアー×ライアー』主題歌“僕が僕じゃないみたいだ”ではメインパートを堂々と歌い上げ、“Papercut”や“真っ赤な嘘”では、持ち前の低音部の色気を存分に漂わせつつ、高音部では地声とファルセットを滑らかに切り替えながら甘くやさしく奏でる。

松村の歌声を象徴するキーワードのひとつに「母音強調」がある。これは、歌詞を子音と母音に分け、アクセントを少しずつ後ろへずらしながら伸ばす音の安定感を向上させる歌い方で、Mr.Childrenの桜井和寿やコブクロの黒田俊介も多用する。

例えば、Mr.Children“名もなき詩”のサビ<あるがままの心で>というフレーズでは、「まーま(あ)ーの(お)ーここ(お)ーろでー」という具合に、「ま」「の」「こ」などで使われている。コブクロ“桜”の<桜の花びら散るたびに>では、「さーくら(あ)ーのは(あ)ーなび(い)ーら」という具合だ。

この「母音強調」により、ワンフレーズであっても存在感を示す松村の歌声には、演じる経験を積んだことにより磨かれた感性と大きな自信が感じられる。

初回盤Bに収録の、メンバー2名ずつがコンビを組んで歌うユニット曲のなかで特に興味を持ったのは“LOUDER”の森本慎太郎の歌声だ。

1980年代から1990年代前半に流行した「ニュージャックスウィング」(ヒップホップとR&Bが融合した音楽ジャンル)を取り入れたグルーヴのなかで、どんなジャンルも歌いこなすジェシーにもまったく劣ることなく歌声を重ねてくる。