Intelが、「Intelの中で最も精密で複雑なマシン」と言われる「EUVシステム」に迫ったムービーを公開しています。EUVは、近年「限界を迎えつつある」と指摘されるムーアの法則を追求するための技術。Intelが何をしようとしていて、EUVシステムはどのようなマシンなのかが、ムービーで映し出されています。

EUV: The Most Precise, Complex Machine at Intel

https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/euv-most-precise-complex-machine.html

Behind this Door: Learn about EUV, Intel’s Most Precise, Complex Machine - YouTube

21年間、Intelの製品や製品を作り出す驚くべきマシンについてレポートしてきたRob Keltonさん。そのKeltonさんをもってしてもEUVシステムは「驚愕」とのこと。



完全防備のKeltonさんが向かった先には……



「極端紫外線リソグラフィ(Extreme ultraviolet lithography/EUV)システム」と呼ばれるものがありました。



KeltonさんはEUVを「人間が構築した中で最も複雑なマシンの1つ」だと呼びます。EUVはチップ製造になくてはならないものであり、またムーアの法則を推し進めるものとのこと。



リソグラフィ(露光装置)分野を率いる半導体メーカーのASMLや、Intel、TSMC、Samsungといった企業が35年間にわたって研究を続けた末にEUVは完成しました。



横から見るとこんな感じで……



内面図はこう。



アメリカ・オレゴン州にあるIntelのファウンドリであるFab D1XにEUVを輸送するためには、貨物機3台を使用します。



貨物コンテナは40個、トラックは20台使用。



こうして運ばれてきたEUVはスクールバスサイズで、10万パーツから構成され、重さは200トンとのこと。



Intelの共同創設者であるゴードン・ムーア氏は1965年に「ムーアの法則」を提唱しました。ムーアの法則は1975年に修正されたものが現代まで受け継がれており、その内容は「集積回路あたりのトランジスタ数は2年ごとに2倍になる」というものです。実際に、ムーアの法則は50年以上にわたって実現されています。



チップに搭載されるトランジスタやコンポーネントはより強力かつ安価になり続けています。



チップ製造者はリソグラフィ・マシンを使ってシリコン製のウェハーに集積回路のパターンを映し出しますが、この数十年の間、小さなトランジスタをプリントするために「光の波長を短くする」という試みが行われてきました。



ムーアの法則を追求する中で、Intelのエンジニアは「High-k metal gate Tri-gate 3D transistors Strained silicon」というものを開発。



またIntelやその他のメーカーは「ダブルパターニング」や「クアッドパターニング」といったマルチパターニング(多重露光)のプロセスのほか、液浸リソグラフィという方法を用いることで波長を短縮しようとしてきました。



上記のような取り組みにより、今日の光の波長は193ナノメートルにまで短縮されています。しかし、これ以上にトランジスタを小さくするためには、「劇的に短い波長を使うEUVが必要だ」と半導体業界は考えました。



そこで開発されたのが、冒頭に現れたEUVシステム。このシステムは13.5ナノメートルという、過去のマシンの10倍も短い波長を使います。



EUVシステムの働きは以下の通り。まず、前提としてEUVは自然界に存在しない「極端紫外線」というものを使用します。



EUVシステムは巨大さもさることながら、Fabにある鋼鉄をカットするレーザーより15倍も強力なレーザーを使う点も特長です。



仕組みとしては、最初にビーム輸送システムがレーザーパルスをEUVマシーンの中に送ります。



そのころ、EUVマシン内部では、スズの液滴が発射されます。この液滴は人間の髪の毛の3分の1ほどの直径とのこと。



そして、強力なレーザーが1秒間あたり5万回も液滴に照射されます。これにより液滴は気化してプラズマに。



このプラズマが極端紫外線の波長で光を発するとのこと。



集光鏡は波長13.5ナノメートルのEUVライトを集めます。



集められた光がスキャナーに照射されると、スキャナーは鏡の要領で光を反射。



この反射を利用してシリコン製ウェハーにトランジスタのパターンやインターコネクトを作り出すわけです。



「どう?シンプルでしょう」とKeltonさん。



EUVの置かれたIntelのFabの特長は、16フィート(4.87メートル)という天井の高さ。



しかも高さを25フィート(約7.6メートル)にまで上げることができます。



これは高さのあるEUVの組み立てにおいて、天井に設置されたクレーンで重いパーツを運ぶ必要があるためです。



また、EUVは「月面にいる宇宙飛行士がレーザーポインタで地球にいる人の親指に照射する」ぐらいの精密さが必要。



この精密さのためにASMLは現在進行形でEUVツールを開発しているとのこと。



Intelは上記のようなASMLのEUVシステムを利用する、最初の顧客。近年は「ムーアの法則が限界を迎えつつある」と言われていますが、最新のEUVを使うことで、オングストローム時代のコンピューティングに備えているわけです。