イラスト/サダ

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 今、労働に縛られずに自由な生活を夢見る人が増えている。欧米を中心に世界的流行を見せる「FIRE」理論は「節約し、カネを貯め、そのカネを投資に回し、カネにカネを稼いでもらい早期リタイアする」というもの。セミリタイアを実現するためにも、また、リタイア後の生活を支えるためにも、投資によって効率よく「資産を増やす」必要がある。

◆貯めたカネを運用しリタイア生活に近づく方法は?

 FIRE後の生活の基本は年4%の利回りで暮らすことだが、その前段階で5000万円をつくるには利回り年7%は欲しいところ。毎月10万円ずつ積み立てて7%で回したとすると、19年と7か月で5000万円に到達する計算だ。そこで、運用で着実にリターンを狙う手法を、ファイナンシャルプランナーの篠田尚子氏に聞いた。

「メインの株式資産に加えて、株とは異なる値動きを見せる商品を買う“オルタナティブ投資”を、ポートフォリオ(保有資産の組み合わせ)に取り入れることが大切です。オルタナティブ投資では、原油などのエネルギーや貴金属、穀物、不動産などが対象になりますが、なかでもおすすめは、少額から始められる金関連ファンドです。

 一般的に金は株と逆相関(金が上がると株は下がり、その逆も然り)の関係にあるとされ、万が一株式市場が暴落した場合でも、資産崩壊を防ぐ役割を期待できるんです。ETF(上場投資信託)や投資信託を通じて全資産の20%ほどを振り分けるといいでしょう」

◆残り80%の運用先は株式がおすすめ

 そして残り80%の資産の運用先として、篠田氏は株式を勧める。

「まず50%は、全世界の株式市場の指数(インデックス=日経平均やNYダウなど)に連動した運用を目指すインデックスファンド。

 株式は、短期的には暴落することがありますが、市場全体として見れば、長期的には上昇しています。この性質に注目し、世界中の株式市場に分散投資することで、リスクを抑えつつ世界経済の長期的な成長の果実を享受するのが狙いです。

 ただ、これだけでは高い利回りは見込めないため、残り30%はインデックスファンドではなく、指数以上の利回りを目指して運用する日本株アクティブファンドか、個別の株式銘柄を取り入れるとうまくバランスが取れます」

◆「iDeCo」「つみたてNISA」はつくっておかないと損!

 こうしたポートフォリオに加え、「iDeCo」(個人型確定拠出年金)と「つみたてNISA」(少額投資非課税制度)という2つの税制優遇口座も重要だ。リタイアメントプランに強いファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は、こう指摘する。

「この税制優遇口座は、つくっておかないと損。夫婦で口座を開く、ダブルiDeCo・ダブルNISAがおすすめです。2人とも企業年金がない会社員の場合、月に2万3000円ずつ、そしてつみたてNISAは月に3万3000円まで投資可。合わせて毎月11万2000円を運用益非課税で運用できるのは大きく、iDeCOは所得税軽減効果もあります」

 リスクとリターンをバランスさせたポートフォリオと、税制優遇口座を両輪として出発進行だ。

◆仮想通貨で一足飛びにFIREできるか?

 節約も収入増も難しい─そんな人に一発逆転の方法として頭をよぎるのが仮想通貨。ビットコインは、今年に入ってから過去最高値を更新し、この1年で約10倍に。FIRE実現までの時間を短縮することは可能なように見える。

 手堅い長期投資に詳しい太田創氏も、お試しで買っておくことには肯定的である。「仮想通貨は企業や国に価値が保証されているわけではないので、極端な話、いつ無価値になってもおかしくないんです。したがって、資産の大半を突っ込むのは愚か。とはいえビットコインが、この5年で200倍以上に跳ね上がっているのは事実。個人的にはまだまだ大化けすると予測しています。