ついに通帳有料化!相続税申告への影響と対策とは銀行「新規口座の通帳発行が有料化」…相続税申告への影響みずほ銀行「通帳発行を有料化」…相続税申告への影響と対策大手銀「通帳発行を有料化」…相続税申告への影響はどうなる?大手銀行「通帳発行を有料化」…相続税申告への影響と対策大手銀「新規口座の通帳発行を有料化」…相続税申告への影響は

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みずほ銀行は「2021年1月18日以降に新規で口座開設する70歳未満の人」から「新規発行時と繰越時」の通帳発行手数料を有料化し、通帳1冊につき1,100円の手数料が発生するようになりました。また、三井住友銀行でも「2021年4月1日以降に新規で口座開設する18歳から74歳までの人」を対象に、年550円の手数料が発生することが決まっています。そこで相続税申告を数百件経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士に、通帳の有料化に伴う相続税申告の影響と対策について解説していただきました。

「相続税申告」…故人の通帳のここを見る

税理士が相続税申告に関与する場合、一般的には亡くなる前の5〜6年分の通帳を確認します。残高証明があれば亡くなった時点の口座種類、口座番号、金額が明らかになるにもかかわらず、通帳の中身を確認するのは、通帳には相続税申告書を作成するための多くのヒントが隠れているためです。

具体的には通帳から下記のような取引を探し、申告書作成のヒントにします。


● 親族への資金移動(親族への振込や、親族名のメモ)
● 預金口座からの多額の出金(一度に30万〜50万円以上)
● 相続開始直前の出金(手許現金の金額の推測のため)
● 証券会社との取引や配当金の入金
● 生命保険料の支払いや個人年金の入金
● 定期的な入金(収入)と出金額(生活費)

相続税は親の財産について子どもが申告するケースが多いですが、子どもが親の財産内容や取引をまったく把握していないということは少なくありません。生前贈与を行っていたことは覚えていても、その時期や金額をはっきりと覚えていないというケースもあります。

通帳で事実を確認し、それを相続人に質問していくという作業をするために、通帳は欠かすことができない資料なのです。

通帳には「相続税申告書」作成のヒントがある(※写真はイメージです/PIXTA)

紙の通帳がない場合…銀行から取引履歴を取得する

申告のお手伝いをしていると、亡くなった人の通帳がないというケースは現在でも多くあります。古い通帳が残っていない場合、実務上はどうするのでしょうか。

相続人の間で資金移動が絶対にないというケースであれば確認を省略することもありますが、それ以外のケースでは取引履歴を銀行から取得することをおすすめしています。依頼を受けて専門家が取得代行まで行うこともあります。

この場合、銀行の手数料がかかります。みずほ銀行の場合はひと月あたり330円ですので、仮に5年分を取得すれば、330円×12月×5年=19,800円の手数料です。取得を専門家に依頼すればその手数料もかかりますし、取引銀行の数が多ければそれなりの費用と時間がかかります。

デジタル通帳が増えると、かえって時間がかかることも

三菱UFJ銀行はまだですが、メガバンク2行で新規口座の通帳発行が有料化されることに伴い、徐々にデジタル通帳(紙でない通帳)を利用する人が増加するのは間違いなさそうです。この動きはすでに広がりを見せ始めており、他の金融機関でも有料化を行うことが発表されています。

※三菱UFJ銀行も 2021年1月22日、 「2021年7月1日以降の新規口座」を対象に、2年以上利用がない口座は年1,200円(税別)の口座管理手数料を徴収することが発表されました。

今現在でも50代、60代の人が亡くなった場合に、インターネット銀行の取引があることはわかっているものの、相続人がそのパスワードを知らないことから、取引履歴をプリントアウトすることができないというケースがあります。

このような場合も手数料や手間の兼ね合いから必ずしも取引履歴を取得するとは限らず、紙の通帳があるときと比較して、税理士が亡くなった人の通帳を確認できずに申告書を作成せざるを得ないケースが多いように思われます。

一方、税務当局は必要に応じて自由に取引履歴を確認することが可能ですので、税理士が確認できていない取引について指摘され、対応が後手になることが増加しそうです。

また、金融機関は過去10年間の取引履歴の保管義務があるものの、それ以降は行内のルールに従って破棄しているはずのため、税務調査での通帳確認も一部の例外を除いて最大10年間といわれてきました。

ところが、三井住友銀行ではデジタル通帳(三井住友銀行は「Web通帳」と呼んでいます)の利用者は2019年10月以降の取引について、最大30年間の取引を見ることができる予定になっています。利便性が高まる一方、データが残っていることから将来的には税務調査で10年以上前のことが論点とされるケースが出てくるかもしれません。  

高齢者の相続税申告への対策…「紙の通帳」を管理する

有料化の対象は「新規」で口座開設するものが対象です。今現在、紙の通帳を利用している人は、これまでと同様に手数料がかからないので、高齢者は今までどおり、紙の通帳をしっかりと保管したほうが相続税申告の観点からは好ましいといえます。

なお、みずほ銀行では毎年1月時点で過去1年間通帳記帳がない方は自動的に「e-口座」という紙の通帳が発行されない口座に移行してしまうため、定期的に記帳するよう注意が必要です。

また、利便性の面を含め、インターネット口座に切り替えたいという人は定期的に取引履歴を家族が利用できるPCにPDF等で保管しておくことや、家族にIDやパスワード等を残すなど対策が必要です。

デジタル遺産という言葉を耳にして久しくなりましたが、その管理と承継の重要性は今後ますます高くなりそうです。