「ランキング記事の鵜呑み」という、株式投資の惨敗パターン

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雑誌やウェブサイトなどには、「高配当利回り株ランキング」「高優待利回り株ランキング」といった文章が掲載されることがあります。それらは、配当金と株主優待の利回りを算出して順位付けしたものですが、果たして、それらを鵜呑みにして株を買っても良いものなのでしょうか? その危険性について説明していきましょう。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

配当金と株主優待の利回りとは?

多くの企業の株主は年に1回以上、配当金や株主優待を受け取ることができます(ただし、配当や株主優待を実施していない会社もあります)。そして、それらが投資金額に対して1年間でどれくらいの割合になるのかを示すのが、「利回り」です。

具体的には、以下のように算出できます。

(年間配当金総額÷株式購入金額)×100=配当利回り(%)
(年間株主優待を金銭に換算した総額÷株式購入金額)×100=優待利回り(%)

たとえば、100万円分購入した株で、年間3万円の配当が得られるならば、30,000/1,000,000×100=3で、配当利回りは3%となります。

また、20万円分購入した株で、年間に2,000円相当のクオカードが得られるならば、1,000/200,000×100=1で、優待利回りは1%となります。

なお、この場合は配当金も株も株主優待も総額で計算していますが、「年間1株当たり配当金」「購入時株価(1株)」「年間1株当たり株主優待の金銭価値」を用いて1株当たりで計算しても、値は同じになります。利回りは投資金額に対するリターンの「割合」を示す値なので、それを総額で計算しても1株当たりで計算しても、結果は同じなのです。

ちなみに、この配当利回りと優待利回りは、株価の割安度を示す指標の1つとなっています。「配当利回りや優待利回りが高い=株価が低く割安である」と見られ、配当や優待の金額に対し、株価がいわゆる「お得」な状態にあると一般的には判断されるのです。

株価の変動、配当金・株主優待の永続性のほうが重要

さて、この配当金と株主優待の利回りを順位付けした、「高配当利回り株ランキング」「高優待利回り株ランキング」といった文章が、雑誌やウェブサイトに掲載されることがよくあります。

前述のように、これらの値は株価の割安度を示す指標になりますので、その点では確かに、それらのランキングは株購入時の参考になるといえます。

しかし、もっと重要なことがあります。

それはまず、株価の変動です。仮に、配当利回りと優待利回りがあわせて7%得られる銘柄があったとしても、1年間で株価が10%下落してしまえば、結局は購入時から3%損をしたことになってしまいます。

そして逆に、配当も株主優待も0の銘柄があったとしても、株価が1年で20%上昇すればそれで十分ではないでしょうか。配当金と株主優待の利回りでそれだけのリターンが得られる銘柄は、きっとないからです。

基本的には、株価の上下のほうが配当金と株主優待の利回りより幅が大きいのが、株式市場の現実です。ですから配当金や株主優待の利回りよりも、株価が上がるかどうかに注目して投資をしたほうが、大きなリターンを望めるのです。

また、配当金も株主優待も、その企業の業績や資金配分戦略によっては、減額されることや、0になることもあります。

長期投資をする際、短期的な株価の上下を気にせず、配当利回りや優待利回りに注目するという投資手法もあります。しかし、業績が悪化して配当や株主優待がどんどん減額されてしまえば、当初の思惑とはまったく違った投資結果になってしまうでしょう。またその場合は、株価自体も下がり、二重の損失を被ってしまう可能性も高いはずです。

これらのことを考えると、現時点での配当・優待利回りの高さも大切ですが、それだけに注目するのは危険だといえます。むしろ、今後の株価の変動と、配当金や株主優待の永続性を検討することのほうが、重要なのではないでしょうか。

信じていたのに…(※画像はイメージです/PIXTA)

そもそも「株主優待」は必要か?

そしてそもそも株主優待の場合、「それが必要か否か」は考えるべき点ではないでしょうか。

株主でなければ得られない特別な製品やサービスが優待され、どうしてもそれが欲しい場合は、それを目的にその株を買ってもよいでしょう。しかし、クオカードや食事券、商品券など、金銭に換算可能なものは、別に株主優待として受け取らなくても、配当金で受け取ったり、その分にかかるお金を企業内の再投資に回してより業績を上げてもらい、株価を上げてもらったほうが、投資に対するリターンとしては結局高くなるはずです。そしてそれで儲けたお金で、優待で得られるような製品やサービスを買ってもよいのではないでしょうか。

いくら株主優待を金銭に換算して考えても、それは実際の金銭とは異なり使いみちに制限があるのですから、お金で受け取るのが最も選択肢の幅が広く、便利なはずです。ですから、「高優待利回り株ランキング」というものは、そもそもそれほど注目に値するものではないのかもしれません。

なお、株主優待を実施している会社は、海外ではあまり見られないそうです。

■まとめ

配当金・株主優待の利回りよりも、その永続性や株価の変動のほうが重要

投資金額に対し、年間でどの程度の割合で配当金が得られるか、株主優待(の金銭価値)が得られるかが、配当金と株主優待の利回りです。そしてそれらを順位付けした、「高配当利回り株ランキング」「高優待利回り株ランキング」という文章が、雑誌やウェブサイトに掲載されることがあります。

しかし、それだけに注目して投資をすることには危険性があります。今後の株価の変動と、配当金や株主優待の永続性に注目することのほうが、より重要なのです。

また、お金を受け取るのが最も便利なのですから、そもそも株主優待が必要かどうかも、考えたほうがよい点でしょう。