内憂外患の習近平体制(Avalon/時事通信フォト)

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 新型コロナウイルスの発生源となった中国では、その後いち早く感染症の危機から脱し、経済回復を急いでいる。日本では中国経済のV字回復を予測するアナリストも多いなか、政治経済、国際問題に詳しいジャーナリストPeter Skurkiss氏は、アフター・コロナの世界では中国の凋落は避けられないと分析する。

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 コロナ禍のなかで、重要な製造業の多くが中国に集中していることの愚かさに気づいた国はアメリカだけではない。日本もそのひとつだ。3月初め、安倍晋三首相は日本の主要経済人を集めた会議で、サプライチェーンの混乱を避けるために、日本は中国への依存を減らすべきだと提案した。首相は「一つの国に生産を大きく依存している製品のうち、付加価値の高いものは日本に移転すべきだ。それ以外は、ASEAN(東南アジア諸国連合)など、生産拠点を多角化しなければならない」と述べた。

 安倍首相の発言はすぐに実行に移された。日本政府は4月7日に閣議決定した緊急経済対策で、コロナ問題で打撃を受けたサプライチェーンの海外移転や東南アジアへの拠点分散を支援するため、2400億円超の予算を計上したのである。

 この動きは中国を非常に不安にさせた。上記の日本政府の決定の翌日、中国共産党の最高意思決定機関である政治局常務委員会が北京で開かれた。習近平国家主席は、経済活動の回復については長期戦に備えなければならないと述べた。世界最大の経済大国と世界第3位の経済大国であるアメリカと日本が、中国から生産拠点を移転する動きを実際に進めていることのインパクトは大きい。これは中国の世界戦略を狂わせ、最終的には中国共産党の国内支配を弱体化させるだろう。上記の発言からも、習主席はそれを十分にわかっている。

「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」のコラムでCary Huang氏は、「世界は、重要な医薬品の生産を中国に依存することのリスクに目覚めつつある」と指摘している。同コラムでは、コロナ問題によって、欧米や日本の指導者たちは、単に重要な物資を一国に依存するリスクではなく、それを「国家戦略上のライバル」である国に依存することの大きな問題に気づいたとしている。経済学的なリスク管理だけでなく、国家安全保障や地政学的なリスクも考慮して、日米欧の脱・中国依存が加速することになるのだろう。

 これまで中国は世界で最高の条件を備えていた。先進国の大手企業は、製造業の多くをこの共産主義国に移転し、結果として技術を奪われた。すべて最大の利益をあげる目的で行われたことだが、それによって中国は驚異的な成長を遂げ、多くの地域で独占的な地位を築いたのである。それがコロナ問題で巻き戻されている。いくら中国が「幸せなパンダの顔」を見せても、これまでのようなダイナミックな成長は難しくなるだろう。

 中国では知識人でも古い言い伝えを大事にする人が多い。中国の暦では、2020年は「庚子(かのえね)」に当たる。この年には中国は大きな厄災に見舞われるジンクスがある。1840年にはアヘン戦争が勃発し、1900年は北清事変の年である。その次の1960年は、毛沢東の「大躍進政策」の失敗で数千万人が餓死するという悲劇のさなかだった。

 コロナ禍に見舞われた2020年も、星の巡りは中国に有利ではないようだ。コロナにとどまらない中国のリスクに世界が気づき始めたことで、すでに注目は、中国が現在の高い地位から転落するかどうかではなく、どこまで落ち込むかに移っている。

(この記事は「American Thinker」の許諾のもと同サイトの記事を翻訳・要約したものです)
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