アップルが「iPhone SE2」を春に、「5G版 iPhone」を秋に発売する明白な理由が見えてきた
2019年通年の成績は、サムスンが前年比プラス2%となる2億9810万台(シェア21.8%)、ファーウェイが同17%増の2億4060万台(シェア17.6%)と上位2社はいずれも前年を上回りました。しかしアップルは3位につけたとはいえ出荷台数は前年比マイナス7%で1億9810万台(シェア14.5%)と、ついに2億台を切ってしまいました。
ちなみに4位のシャオミは1億2550万台(シェア9.2%)、5位のOPPOは1億2020万台(シェア8.8%)で、両者ともに前年比プラス4%。つまり上位5社のうちアップルだけがマイナス成長となったのです。

この原因はアップルの製品に不具合があるわけではなく、他社よりも完成度の高い製品を市場に送り続けた結果、毎年のようにiPhoneを買い替えていたユーザーが減り、買い換えサイクルが伸びてしまったからとみることができます。しかしここ数年の出荷台数の推移を見ると、アップルの販売戦略に構造的な問題があることが見えてきます。
アップルと他社を比べると、アップルだけがいびつな形になっていることがわかります。すなわち毎年、第4四半期だけが高い出荷台数となっているのです。そして年が明けると急激に台数は減少し、第2四半期はさらに落ち込みます。2019年を見ると、第2四半期はシャオミとOPPOに肉薄され、シェア3位を維持するどころか5位転落の危機だったのです。

2017年の第2四半期はファーウェイに肉薄され大きなニュースとなりましたが、2018年はそのファーウェイに同じ第2四半期にあっさりと抜かれてしまいました。アップルにとって毎年の「第2四半期」は魔の3か月間なのです。
市場では毎年、この動きを「秋に出る新型iPhoneの買い控えでシェアが落ちる」と判断し、第2、第3四半期に出荷台数が少ないことは想定済みと見ています。しかし9月に新製品が発表されても、それが好調な販売を維持するのは実はその後の3か月間のみなのです。年がら年中「アップル好調」のニュースがネットでは飛び交っていますが数字はうそをつきません。そして素人目に見ても年間を通じて一定の出荷台数を維持しているメーカーのほうが、製品開発や販売戦略がうまくいっていると感じられるのではないでしょうか。
アップルはハイエンドモデルを中心とした展開をしており、旧モデルを値引きすると共に下位モデルとして継続販売することで、製品ラインナップを上から下までそろえています。しかし旧モデルには新鮮味はありませんし、最新機能が使えないケースもあります。何よりもスマートフォンのカメラ性能が年々高まっている中、1年以上前のモデルのカメラではユーザー満足度も下がってしまいます。
現在、2020年春に「iPhone SE2」あるいは「iPhone 9」と呼ばれる廉価版の製品が登場するとうわさされています。iPhoneの噂話の大半は眉唾ものですが、年明けとともに急減する出荷台数の動きを改善するためには、春先に新製品が必要なことは明白です。しかも毎年2月はサムスンやファーウェイが春の大型新製品を発表します。それらの話題に対抗するためにも、何らかの新製品をアップルは春に出すべきでしょう。
そして2020年の秋モデルでは、5Gに対応したiPhoneを何が何でも投入しなくてはならないでしょう。iPhone 11 Proシリーズはトリプルカメラを搭載し、カメラ性能が大きく高まりました。しかしサムスンやファーウェイ、シャオミ、OPPOはすでにクワッドカメラやペンタカメラモデルも出しています。2020年秋のiPhoneが仮にカメラ機能を高めたとしても、Android陣営の後塵を拝するだけになってしまいます。
2020年は日本でも5Gが始まりますし、アメリカの5Gエリアも広がっていくでしょう。とはいえまだまだ5Gをフルに使える環境にはならないと思われます。すなわちアップルが急いで5G版 iPhoneを出す必要は無いかもしれません。
ところが2020年は各社の上位モデルはすべて5G対応になる予定です。すでに各メーカーは5Gスマートフォンを複数出すことも明らかにしています。通信キャリアも4Gよりも(おそらく)高い課金が期待できる5Gサービスにユーザーを移行させたいはずです。しかしiPhoneが4Gのままではキャリアとしても売りにくくなります。つまりユーザー以上にキャリアのほうが5G版 iPhoneを望んでいるはずでしょう。他社への対抗、キャリアやユーザーからのニーズを考えると、2020年9月のiPhoneに5Gモデルが無いことは考えにくいわけです。
アップル以外のメーカーはハイエンドモデルとミッドレンジやエントリーモデルを別ブランドにした展開も進めています。それはもはや「誰もがスマートフォンを持つ」ことが当たり前になり、ユーザーニーズも多様化しているからでしょう。アップルも同様に「SE」をサブブランド的に展開できれば、秋の新製品の売り上げを引っ張ることにはならないと考えられます。噂ばかりで出てこない「iPhone SE2」、ぜひともこの春には出してほしいものです。
