免許返納後の“新たな足”に、「電動車いす」に脚光
「浜松地区以外でも購入者が増えてきている」。高齢者向け電動車いす「セニアカー」を展開するスズキの子会社、スズキ自販浜松(浜松市西区)の唐沢健彦電動車両部長は、こう強調する。
利用者の多くは長年にわたり自動車や2輪車を使用してきたため、販売時に注意をしている点がある。そのキーワードが「安全」だ。例えば止まる動作をする際、セニアカーはハンドルのアクセルレバーから手を離すことで速度が落ちる仕組みだ。しかし、これまでの移動手段の影響でペダルを踏む動作やブレーキを握る動作に慣れていると、反射的にレバーを押してしまう利用者もいるという。利用にあたっては「試乗を通して、手を離すという動作に慣れてもらう」(唐沢部長)ことに注力している。
このほか、セニアカーが乗り越えられる段差の高さなど使用環境の注意点もある。電動車いすが絡む交通事故を防ぐため、スズキ本社の担当者も「正しく使ってもらうための啓発活動や、安全装備の充実を行うのが課題」と語った。
さらに、従来の「福祉機器」のイメージから脱皮した電動車いすにも注目が集まる。WHILL(ウィル、横浜市鶴見区)は近未来的なデザインが特徴の電動車いすを展開する。分解して自動車に積めるなど高い利便性を実現したほか、商業施設向けに自動運転技術を使った管理機能も開発した。担当者は「『格好がいいから乗りたくなる』という声もある」と強調する。
ただ、電動車いすは高齢化を背景に販売が伸びる公算が大きいとはいえ、年間国内出荷台数はいまだ約2万5000台(18年度、電動車いす安全普及協会調べ)にとどまる。今後の普及に向け、機能性とデザイン性の両立や高齢者への訴求などに各社は力を入れていく。
