遠隔作業支援の実証(JAL)

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 2020年春に商用化する次世代通信規格「第5世代通信」(5G)を用いた産業向け新サービスの開発が進んでいる。高精細映像などの大容量データを高速で遅延なく多数の機器に伝送できる5Gの特徴を生かし、建設機械やロボットの遠隔制御を実証中。工作機械の生産や、交通インフラ保守の効率化に向けた動きも出ており、産業界の自動化のキーテクノロジーとして注目される。

ドコモがトヨタ・コマツと検証
 NTTドコモが5Gの技術や仕様に関する情報提供などを行う「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」の参加企業は、2800社超に達した。産業別では1位がサービス業の25%、2位が卸売り・小売り、飲食業の20%だが、3位に製造業の18%が入った。

 20年の商用化当初はコンサートやスポーツのVR(仮想現実)観戦などBツーC(対消費者)向けが主体となるが、製造業向け5Gサービスでも着実に実用化が近づいている。

 その一つがトヨタ自動車の人型ロボット「T―HR3」の遠隔制御だ。10キロメートル以上離れた場所にいる操縦士は、ロボから送られている映像をヘッドセット越しに見ながらリアルタイムに操作を指示し、器用にオモチャのブロックを積み上げた。

 ロボがモノを持つ時の力を操縦士は感じられるため、目隠しをしながら力の感覚だけでモノを目的地に動かすこともできるようになる。人が近づけない災害地や宇宙空間などでの活用を見込む。

 コマツとは5Gを用いて建設機械を遠隔操作する実証も行った。建機に複数設置したカメラからリアルタイムに送られてくる高精細映像を基に遠隔地にある運転席を模した操作体験スペースで運転手が遠隔操作する。

 衛星測位システム(GNSS)で誤差数センチメートルの高い精度で施工中の建機の位置を測り、施工箇所の設計データと現地盤データとの差分を運転手へ提供する後付けキットも20年に提供を始める。

 同社は人工知能(AI)による画像分析機能や地形の計測技術を搭載し、クローラー式ダンプと協調して自律運転できる油圧ショベルの開発にも乗り出している。大容量データをリアルタイム伝送できる5Gが重要な役割を果たすことになりそうだ。

生産・保守の効率化狙う
 工作機械世界最大手のDMG森精機は、今秋をめどに5G対応の製品やサービスの実用化に向けた実証実験を始める。KDDIと連携し、主力工場の伊賀事業所(三重県伊賀市)に基地局を設け、工作機械の部品を製造する計150台の機械をつなぐ。KDDIは20年3月に5G商用化を計画。DMG森精機も同年に顧客向けの運用開始を目指す。

 「現物現地は製造業の基本中の基本だが、物理的に行く現場ではなく、目の前に現場が近づいてくる感じだ」―。DMG森精機の森雅彦社長は工場への5G導入の衝撃をそう表現する。

 離れた場所からの機械、ロボットの操作、検査などの精度が上がる。例えば、これまで1人で3台の機械を担当し効率を高めてきたものが、一気に数十台を扱えるようになり、飛躍的に効率が上がりそうだ。森社長は「AIなどは、人間のノウハウや現物現地をどうするか議論を呼ぶが、5Gはそれらを補うパワードスーツの役割」だとも言い表す。

 同社は20年にも5Gを活用したサービスを始める考えだ。まずは5Gをアフターサービス部門のインフラとし、顧客工場の生産設備の稼働監視、保守サービスや部品交換などに生かしていく。「25年ごろには納めた全ての機械を5Gでつなぎ、顧客ともっと密に無駄を省いていく仕組みにしたい」(森社長)と意気込む。

 航空や鉄道業界にも5G活用の動きが広がっている。日本航空(JAL)はKDDIと組み、空港サービスや整備現場での適用を想定した5G実証を進めてきた。高解像度映像を遅延なく伝送できる特性を生かし、地方空港での修理作業支援や、格納庫内の遠隔監視などについて有効性を確認している。