山崎製パンの人気商品「ランチパック」に、甲信越地方限定の商品として「イタリアン風味」がある。しかも、同じイタリアン風味でも、「みかづき監修」と「フレンド監修」の2種類が存在しているのだ。


ランチパック「イタリアン風味」。左が「みかづき監修」、右がフレンド監修(画像提供:山崎製パン)

他県民にとっては、すべてが「?」かもしれない。しかし、ご当地グルメ「イタリアン」発祥の地である新潟の住民からすると、みかづき・フレンドの2バージョンを用意したのは、大ファインプレーらしい。

ツイッターに、こんな声が寄せられているのだ。

「さすが山崎パン......もし片方だけだったら 危うく新潟市VS長岡市の全面戦争が勃発するところだった」
「みかづきかフレンドかを迂闊に話題にすると戦争になりかねないのは本当にそう」
「ご当地グルメを雑に一緒くたに扱わなかったヤマザキの配慮が光りますね」

いったい、どういうことなのだろう。Jタウンネット編集部は、2019年7月上旬、山崎製パンに取材することにした。

新潟市発の「みかづき」、長岡市発の「フレンド」

そもそも、新潟のご当地グルメ「イタリアン」とは、焼きそばにトマトソースをかけた和洋折衷の料理。言ってみれば、洋風ソースかけ焼きそばである。


「みかづき」のイタリアン(tail_furryさん撮影、Wikimedia Commonsより)

そのイタリアンに関して、新潟県内での人気を二分しているといっても過言ではない有名店が、新潟市の「みかづき」と、長岡市の「フレンド」なのだ。いま話題のランチパックは、それぞれの店の味を再現したものとなる。

山崎製パン広報・IR室の担当者は、7月16日、次のように答えてくれた。

――ランチパック「イタリアン風味」みかづき監修とフレンド監修の2種類を発売した意味は?

「当社では、地域振興の一環として、地元の特産品やご当地グルメを使用した『ご当地ランチパック』を発売しています。今回は、当社の新潟工場で、ご当地グルメの『イタリアン』をテーマに開発に取り組みました。
新潟市を中心とした下越エリアでは『みかづき』が、長岡市を中心とした中越エリアでは『フレンド』がイタリアンを提供するお店として人気であり、それぞれ地域の方のなじみの味になっているということから、2種類のランチパックを開発しました」

――それぞれの味の違いは? ポイントは何?

「それぞれのお店のイタリアンで使用されているソースの特徴をはっきりと出すことにこだわりました。それぞれのお店に監修していただき、お店の味に近づけていきました。
『みかづき監修 』は、トマトの酸味とタマネギの甘みが特徴のソースの味わいをお楽しみいただけます。『フレンド監修』は、たっぷり入った挽き肉が特徴のミートソースの味わいをお楽しみいただけます」

――開発に、どれくらい時間をかけたか? 「イタリアン風味」が購入できる場所は? 何県?

「それぞれのお店に監修いただいて、18年11月から19年3月まで試作と検討を重ね、お店の味に近づけていきました。6月1日から新潟県全域や山形県・長野県の一部地域のヤマザキ製品お取り扱い店約1200店で販売しています」

――ランチパック「イタリアン風味」の現在の販売状況は? お客様の反応は?

「2019年6月1日から30日までに、2種類合わせて約7万個を出荷しました。
SNS上で、新潟県民にとっては、両方の味を出して正解だなどと話題になっていますが、実際に『ランチパックイタリアン風味』2種類の出荷割合をエリア別で比べてみると、新潟市内を中心したエリアへの出荷は、『みかづき監修』が56%、『フレンド監修』が44%でした。対して、長岡市を中心としたエリアへの出荷は、『みかづき監修』が45%、『フレンド監修』が55%と数字が逆転しており、少なからずそれぞれの地域でなじみのある味が好まれる傾向にあります」

山崎製パン広報担当者は、「今後も、ご当地グルメや特産品を使った商品など、地域の活性化につながるような商品開発に、積極的に取り組んで参ります」と付け加えた。ランチパックにどんなご当地グルメがピックアップされるか、これからも要チェックだ。