お見舞いにマナーが必要な理由

 知り合いが突然の事故や病気で入院――。

 そこで、お見舞いに行きたいとは思うものの、日程の決め方やお見舞い品の選び方など、行き慣れていないとなかなか分からないことも多いはずです。ここでは、突然のお見舞いができても困らない、「お見舞いのマナー」をご紹介します。

 教えてくれるのは、ビジネスマナーや日常生活のマナーに詳しいマナーコンサルタントの川道映里さんです。

 そもそも、お見舞いとは、病気にかかった人を慰めたり、訪問して励ましたりすることです。しかし相手は、突然の出来事で心身共にかなりデリケートな状態になっていることがほとんど。いつも通りに接すると、相手を傷つけてしまう可能性もあります。また病院には、ほかの患者さんが入院しているケースが多いため、一定のマナーを持ってお見舞いしなければなりません。

 こうしたマナーなしにお見舞いをしてしまうと、相手にとっては逆に迷惑となってしまうことがあります。相手の容態を第一に考え、身だしなみや話題にも注意しましょう。

お見舞いに最適な日時

 まずは、お見舞いに行く日取りや時間帯について見ていきましょう。

 入院した人の中には、一人にしておいてもらいたい人もいます。お見舞いに出向く時は、必ず事前に家族か本人の許可をもらいます。その際は、面会可能な時間も聞いておきましょう。そして、体調や治療の進み具合も十分に加味して、相手の都合を最優先にして決めます。

 特に入院直後や手術前後は、精神的にも体力的にも余裕のない時期であり、避けなければなりません。また、入院後なるべく早く行けばよいというわけではなく、相手の心境や体調も考慮し、落ち着いた頃を見計らうのがマナーです。

 そして、可能であれば「六曜(りくよう)」も確認しておきましょう。六曜は「先勝」「先負」「友引」「仏滅」「大安」「赤口」の6つによって、その日の吉凶を表したものです。午後が良いとされる「先負」「大安」はお見舞いに向く日と言えます。逆に「仏滅」「赤口」は避けたほうが無難です。

 ただし、最優先すべきことは相手の都合と快復を祈る気持ちです。六曜ばかり意識しすぎないよう注意しましょう。

 お見舞いに行く時間帯は、午後2〜4時ごろが一番良いとされています。午前中は検査や治療などが行われることが多く、お見舞いは午前中と食事の時間を避けたほうがよいためです。面会時間は15分から、長くても30分以内にします。ここでも相手に負担をかけないようにすることが大切です。

お見舞いに最適な服装

 お見舞い時は服装への配慮を忘れないようにします。主な注意点は以下の通りです。

・黒や赤の服は避ける

・原色の服装は避ける

・清潔感を心がける

・ほこりやペットの毛は入念に取っておく

 黒は「葬儀」を、赤は「血」を連想させるため、お見舞いには不向きの服装です。さらに、気分を高揚させる強い原色は避けます。清潔感を心がけ、気持ちが穏やかになるように淡い色のものを選びます。

 病院は、さまざまな症状の患者さんが入院する場所でもあります。そのため、衛生面に配慮し、シミなどの汚れやほこり、ペットの毛などはしっかり取っておきます。

 また、服装以外にも以下の点に注意します。

・なるべく音の出ない靴を選ぶ

・ナチュラルメーク

・シンプルにまとめたヘアスタイル

・アクセサリーもシンプルに

・香水はつけない

 病院は安静に休んでいる患者さんがほとんどです。そのため、ヒール靴などで歩く音は院内に響いて迷惑になってしまうため、避けたほうが無難です。メークはナチュラルにし、長い髪はシンプルにまとめます。アクセサリーもシンプルで控えめにし、香水もつけないようにします。

お見舞金の相場とマナー

 お見舞いに行く時は、お見舞金やお見舞い品を持参するのがマナーです。

【お見舞金】

 お見舞金は相手が自分の家族や親しい友人である場合に用意します。その相場は、相手との間柄で変動します。

・家族や親戚…5000円〜1万円

・友人…3000〜5000円

・取引先や自社の社員…3000円〜1万円

 上記の相場を踏まえた上で、「4」「9」といった縁起の悪い数字は避けて、金額や枚数を設定します。会社関係の場合は必ず上司に了解を得て、どのような形でお見舞いをすべきか判断を委ねましょう。また、金額はあくまでも気持ちを表すものであり、それに固執する必要はありません。

 お見舞金は、白無地の封筒か、紅白の結び切りのついた祝儀袋で渡すのがマナーです。熨斗(のし)はつけません。表書きは「御見舞い」とし、手紙を添えて渡します。

 使用するお札は、新札ではないものにします。新札が良いと思われがちですが、新札は「あらかじめ準備していた」「待っていた」などの意味に受け取られてしまう場合も多いためです。お財布に入っているお札を使いますが、あまりにもシワシワだったり、破れていたりするものは失礼にあたります。現金の代わりに商品券やギフトカードなどを渡しても構いません。

 ただし、目上の方にお見舞金を渡すのは失礼にあたるため、避けるようにします。

お見舞い品の品物とマナー

 続いて、お見舞い品についてです。

【お見舞い品】

 お見舞いというと「花」をイメージする人が多いかもしれませんが、花の中には、マナー違反となるものがあるため要注意です。お見舞い品にふさわしくない花は、以下の通りです。

・キク、シクラメン、ツバキ、アジサイ

・赤い花

・ユリ

・鉢植え

 キクは「葬儀」を、シクラメンは「死」「苦」を連想させてしまうため絶対にNGです。また、花が首から落ちるツバキや色があせるアジサイも縁起が良くないとされています。「血」を連想させる真っ赤な花や、ユリなど香りが強い花は不向きです。最後の鉢植えは「寝つく(根づく)」という意味から避けるようにします。

 花を持参する場合は、上記以外の花で、花瓶や水替えの必要がないアレンジメントがオススメです。また、病院によっては生花の持ち込み自体ができない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

 ちなみに、花以外で喜ばれるお見舞い品は以下の通りです。

・本や音楽CD

・食べ物

・実用品

 ただし、相手の病状などをしっかりと考慮して、喜ばれるものを選ぶ必要があります。本や音楽CDは相手の趣味に合わせ、親しい間柄なら事前にリクエストを聞いても構いません。また、食べ物は、事前に食事制限などがないか確認しましょう。入院先が一般病室であれば、同室の方におすそ分けできる物や食べやすい物を選びます。実用品は、長期入院に役立つパジャマやタオルなどが喜ばれます。その場合は、気持ちが安らぐように淡い色のものを選びます。

お見舞い時の「NG行動」

 お見舞いの際には日時や服装、持参品などのほかにも、気を付けなければならないポイントがあります。主な「NG行動」は以下の通りです。

1.アポイントなしで押しかける

 お見舞いの際には、必ず事前に相手か家族に訪問の許可をもらってから出向きましょう。相手が「弱っている姿を見られたくない」と考えている場合もあります。相手の容態や心境を最優先に考えることが大切です。

2.大勢でのお見舞い

 お見舞いには、2〜3人程度で出向くようにします。また、話し声などがほかの患者さんの迷惑になるため、多くても5人くらいにとどめます。

3.寝ている相手を起こす

 お見舞いに行った際に相手が寝ている場合、起こさずに帰るのがマナーです。「せっかく来たのだから…」と待ちたくなる気持ちも分かりますが、相手の療養が最優先です。

4.検査が終わるのを待つ

 相手が検査中である場合も、待たずに改めて出向くのがマナーです。検査後は体力の消耗が激しい場合もあり、お見舞いのタイミングとしてはよくありません。お見舞い品はナースステーションに預けるなどして、改めてアポイントを取りましょう。

5.騒がしくする

 相手を元気づけたい一心で、ほかの患者さんへの配慮を忘れて騒がしくするのはNGです。また話題にも気をつけて、縁起の良くないワードは避けるようにします。たとえばケガや病気の話題、不幸を連想させるワードは禁物です。また、仕事に関する詳細な話などをして責任を感じさせるのもNG。「あなたがいないと寂しい」という気持ちのみを伝えます。帰り際は、ほかの患者さんへのあいさつも忘れずに。

お見舞いの心得

 大事な相手を励ましてあげるために、お見舞いはとても大切です。しかし、お見舞いは、相手の容態を第一に考え、さまざまな配慮をすることが肝要です。

 大事な相手であればあるほど、入院と聞いたら心配や不安が募るものですが、お見舞いに行った際に、そのような心配や不安を前面に出すのはよくありません。話題や身だしなみに注意しながら、相手の気持ちに寄り添うことが最も大切です。また、お見舞いに行けない場合は手紙を書き、快復を祈る言葉を添えて気持ちを伝えましょう。

(オトナンサー編集部)