「学歴・頭のIQ」で、「仕事能力」は判断できない。仕事ができるかどうかは、「仕事のIQ」にかかっている。

『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』と『一流の育て方』(ミセス・パンプキンとの共著)が合わせて25万部突破の大ベストセラーになった「グローバルエリート」ことムーギー・キム氏。

彼が2年半の歳月をかけて「仕事のIQの高め方」について完全に書き下ろした最新刊『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』は、アマゾンでも4日連続で総合1位を獲得するなど、早くも20万部を超える異例の大ベストセラーとなっている。

本連載では、ムーギー氏が「世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ教訓」の数々を、『最強の働き方』を再編集しながら紹介していく。

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読んでいて嫌悪感を呼び起こさせる文章

「うわ〜、字、字、字……字だらけや!!」

世の中には、頭は良いし教育水準も高いのだが、いかんせん文章が超絶つまらない人がゴマンといる。いや、ジュウマン、ヒャクマン、イッセンマンはいると言ったほうが正しいだろう。

その特徴は、文章自体がお硬いのはまだしも、なんと言っても読みづらいことだ。百歩譲って内容が濃かったとしても、要領を得ない文章で、何を書いているのかわかりにくく、とにかく読んでいて嫌悪感を呼び起こさせる。

これに対し、学歴や頭のIQはそれほど高くなくても、文章だけは恐ろしく読みやすい人もいる。メールでも資料でも企画書でも、「伝えたいメッセージ」がきちんとあり、全体がきちんと整理されていて、場合によっては明快な図解など、文章の内容を上手に伝えるさまざまな工夫がなされているのだ。

「頭の良さや学歴」と「文章能力の有無」は関係ない。原稿用紙に半分でも何か書いてもらうと、その人の文章能力を超えた「仕事のIQ」が如実に現れるものである。

それでは、文章ひとつで、その人のどんな欠点がバレるのか。たかだか原稿用紙半分の文章を読んだだけで、どのような恥ずかしい二流ぶりが露呈してしまうのか。早速、紹介していこう。


文章を書けないのは「学校教育」のせい?


まず文章によってバレるのは、そもそも文章によって「伝えたいことが本当にあるか」、そして「それを正確に理解しているか」どうかである。


そもそも、その文章で「何を伝えたい」のですか?

【1】「そもそも伝えたいことがあるか」どうかがバレる

文章を書くうえで最も大切なのは、そもそも「自分が書きたいと思うこと」が内在し、それを書き出すことだ。企画書でもメールでも、ありもしない熱意を無理やり作り出しても、不思議と文面にもろに表れてしまう。

書き手が退屈しながら無理やり書いた文章は、読み手にとってはゴミ以外の何物でもない。自分が関心のないことについて何かを書くことほど、書く側にとっても読む側にとっても苦痛なものはないのである。

何か文章を書こうと思ったら、その前に「そもそも伝えたい情熱が宿っているか」を自問し、「自分が伝えたいことは何なのか」をきちんと理解しなければならない。

この意味で、まったく関心のないトピックに関し、無理やり文章を書かせようとする学校教育を、大きな声のシュプレヒコールで糾弾しなければならない。

学校の授業で、文章の苦手な子にまったく関心のない本の読書感想文を押し付けることが、結果的に、「中身のない文章を書く人」を大量発生させているのだ。


【2】「論理性・構造性」の有無がバレる

次に文章によってバレるのは、その人の「論理性・構造性」の有無である。文章を少し読めば、その人が論理的・構造的に思考をまとめることができるかどうかが、一発でわかる。

日本語の文章は、そもそも論理性に関するルールの縛りが弱く、下手すれば何を言っているかわからない文章になりがちである。

たとえば英文だと、エッセイの書き方には厳格なルールがある。タイトルは「全体の要約」になっており、パラグラフの最初の一行は「そのパラグラフの要約」か「一番伝えたいメッセージ」、そしてパラグラフの最後の一行は「そのパラグラフの要約」か「次のパラグラフの導入」になっていなければならない。

メールでも資料でも、何かを書くときには、このような「論理的構造性」が重要だ。一流の文章ほど、文章すべてを読まなくても、パラグラフの冒頭の文章だけつなぎ読みすれば、全体の骨格が理解できるように書かれている。

間違っても、だらだら書いた文章を、きちんと読み返さずに、「まあ伝わるだろう」などと送ってはいけないのだ。

「内容を知的・論理的・構造的に要約する」という社会に出てから最も役に立つ基礎的能力がきちんとトレーニングできていない教育機関は「二流の国語教育」だと酷評してさしつかえなかろう。


「論理的だけと、つまらない文章」何が足りない?


もうひとつ文章によってバレるのが、なんといっても「コミュニケーションセンス」の有無である。


文章は、論理と知識だけでは読まれない

【3】「コミュニケーションセンス」の有無がバレる

賢くまじめな人ほど、非常に深淵な内容を、ガッチリ論理的に整理しようとする。しかし、その多くのケースで欠如しているのが、なんといっても「読み手の感情に訴えるセンス」である。

人は情報を、論理と知識だけで理解するのではない。しかしながら、感覚、感情を通じて直観に訴えることの必要性を感じ取ることができない「二流のエリート」があまりにも多い。

読み手にとっていちばん腹立たしいのは、ありきたりの内容がカッチリ論理的にまとめられただけで、感覚的に読みにくく、長ったらしすぎたり、ユーモアのかけらもないような二流の文章ではないだろうか。

私はいつも文章を書くとき、「気軽に入っていける導入部の会話」や「渾身のジョーク一発」、そして「本質的な教訓」の3点セットが入るようにこだわっている。

これは、文章とは論理や知識だけではダメで、感覚的に読みやすく楽しくなければ、人さまに読んでもらう資格がないと考えているからだ。

一流の文章ほど、読者にとっての「読むコスト」を低下させるための努力がなされているものだ。一生懸命に読まないと、何を言いたいのかわからない文章は、二流の文章にほかならない。

仮に頭のIQが高くても、その人の文章を読んでくれる人など永遠に現れず、せっかくの頭脳も宝の持ち腐れで終わってしまう。文章を見れば、それほどその人の「センス」がもろにバレてしまうのである。


では「一流の文章」の秘訣は?


それでは、「一流の文章力」の秘訣は何なのか。ここまで述べてきた「情熱・論理・センス」の3点に気をつけるのは当然として、「一流の文章」を書くうえで大切なポイントを3つに絞って追加的に解説しよう。


「一流の文章」を書くための大切なポイント

【1】読み手にとってのコストが低い

前述したが、一流の文章ほど「論理性・構造性」がしっかりしており、相手にとって「読むコスト」が低いものだ。10ページでも100ページでも、最初の1ページで要約があり、また最後の1ページでおさらいの要約がある。

この当たり前の基本が学校教育で教えられていないことが残念でならない。往々にして国語の授業は、意味不明で論理的構造のない随筆文をだらだら読ませて、「あーでもないこーでもない」と仙人チックな談義に何年間も費やしてしまっている。

わかりにくい文章、要約なき文章は、知的マナーに反しており、読み手に対する敬意に欠けると、シュプレヒコールで糾弾されても仕方がないのだ。


【2】内容をひと目で、思い出せる

「冒頭での要約」に加えて、「結局何が言いたかったのか」を最後に念押しで端的にまとめることも、読み手への配慮として重要である。

まとめ方のコツは、全体を要約するような見出しをつけ、ポイントを短い文章で明確に示すことだ。また過度に抽象的になっても退屈で読まれないので、魅力的なイラストなどを図で追加できれば理想的であろう。

せっかく時間をかけて読んでくれる人のために、後ですべて読み返さなくても、1枚見れば直観的に内容を思い出せる箇所をつくっておくと、それは読み手に対してより親切だと言える。


【3】細部に果てしなくこだわる

最後に強調したいのが、果てしなき細部へのこだわりである。

文章の構造や論理性にこだわるのは当然として、表現ひとつから、単語ひとつにいたるまで、何度も全体を読み直して、文章を研ぎ澄ましていくのが基本である。私自身、本を書くときは本当に100回くらい読み直し、句読点の位置ひとつを病的なまでに直しまくり、編集者に怒られまくるのだ。

ディズニーランドしかり、根強い人気を誇るサービスはお客さんが気づかないこだわりが細部まで浸透しているものだ。普通、気づかれないレベルで細部に徹底的にこだわってこそ、一流の文章を書き上げることができるのである。

新興メディアの発達によって、動画でいくらでも面白い情報が無料でとれるこの時代、昔ながらの「文章」というメディアが生き残るためには、文章の細部に一流のこだわりを持てるかどうかにかかっている。

さもなければ、書き手が苦労して長時間を費やしたわりに、誰も決して読まないという恥ずかしすぎる二流の文章が、「いいね」ゼロ、「シェア」ゼロ、「フォロワー数」ゼロという”恥の三冠王”を達成しながら、今日も「存在感ゼロの敗北街道」を驀進するのである。




『最強の働き方――世界中の上司に怒られ、凄すぎる部下・同僚に学んだ77の教訓』

ムーギー・キム氏が2年半かけて書き下ろした「働き方」の教科書。一流の「基本」「自己管理」「心構え」「リーダーシップ」「自己実現」すべてが、この1冊で学べます。


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