未だ記憶に新しい、イギリスのEU離脱決定の衝撃。「EU存続の危機説」まで囁かれましたが、もしもその中心国・ドイツの首相が共産主義者で、しかもEUを滅ぼすという野望を持っているとしたら…。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、メルケル氏の言動と識者の著作を引きながら、真相究明を試みています。

メルケルドイツEUを滅ぼす

皆さん、もう思い出すこともあまりないかもしれませんが。欧州では、「大量難民危機」が続いています。2015年、欧州には、シリア、イラク、アフガニスタン、リビアなどから150万人(!)の難民がやってきた。そのうち、110万人が、EU最大の経済大国ドイツに入りました。

皆さんどうですか? ドイツの人口は、日本の約3分の2。つまり、日本でいえば、「1年間に165万人の難民が押しよせてきた」という感覚。

難民は、戦火を逃れてきた人たちでかわいそう。もちろん、受入国は衣食住を提供しなければならないでしょう。当然のことです。しかし、「難民」とは、私たちがイメージする、「お年寄り」「小さな子供たち」「乳飲み子を抱える母親」ばかりではありません。中には、「若くて元気な男」もいるし、「イスラム国」(IS)のメンバーもたくさんいる。

ちなみに、ドイツに去年入った難民のうち、なんと13万人が行方不明(!)なったそうです。彼らは、保証された食事を捨て去り、どこに潜伏しているのでしょうか? 「ISと関係あるのではないか?」と、普通は考えますが…。

難民大量受け入れで、極度に治安が悪化したドイツ

さて、「若い男たち」がドイツで起こした衝撃事件については、昨日も触れました。

独、15年大みそかの性犯罪は全国規模 16州中12州で発生

AFP=時事1月24日(日)10時52分配信

 

【AFP=時事】ドイツの警察は、2015年12月31日に同国西部の都市ケルンで大規模に発生した性犯罪や強盗事件と同様の事件が、ドイツの全16州のうち12州で発生していたと発表した。現地メディアが23日伝えた。

 

最大の影響を受けたのはケルンがあるノルトライン・ウェストファーレン州で、約1,000件の被害届が提出され、次いでハンブルク州の約200件が続いた。

1日1,000件の性犯罪、強盗!!! 皆さんの街でそんなことが起こったら、どういうリアクションになるか、少し想像してみてください。

拘束された容疑者は、ほとんどが外国籍。難民申請者もたくさんいたことから、反難民感情が一気に強まりました。そして、ドイツでつい最近、移民、難民、ISがらみの事件が4件連続で起きました。

ドイツ南部バイエルン州ではこのほど、亡命希望者による攻撃が2件続いた。

 

24日にはアンスバッハでシリア人男性が自爆し、15人が負傷した。男性は難民申請を却下されたが、シリア情勢を考慮して一時滞在を認められていた。また18日夜には南部ビュルツブルクの列車内で、亡命希望のアフガニスタン人少年がおのやナイフで乗客を襲い、5人が負傷。いずれの容疑者も、過激派勢力のいわゆる「イスラム国」(IS)に忠誠を誓っていたという。

 

22日にミュンヘンで9人が死亡したショッピングセンター乱射事件は、イラン系の10代少年による犯行だったが、捜査当局はイスラム聖戦主義は無関係だとみている。

 

さらに24日には、ドイツ南部ロイトリンゲンで、シリア出身の難民希望者が、ポーランド人女性をなたで殺害したほか2人を負傷させたとして逮捕された。

(BBC News7月29日)

日本でも最近、驚くべき凶悪犯罪が起こりましたが…。ドイツでは、日本人ならびっくりするような事件が、1週間で4件(!)も起きている。出身者は、シリア、アフガニスタン、イラン。難民、IS。

つまり、この1週間ドイツで殺された人たちは、ドイツ政府が「無秩序に難民を受け入れた」ことの犠牲者と言えるのです。

メルケル、驚きの会見

これらの事件を受け、メルケルさんは、会見を行いました。ほぼすべての人が、「難民とISの凶悪犯罪が続いているので、ドイツ国民の安全のために、難民受け入れを制限せざるを得ない」と言うこと期待していた。ところが、実際は…。

亡命希望者による事件が相次いだドイツで、メルケル首相は28日、難民受け入れ政策を転換するつもりはないと述べた。

(同上)

「難民政策を転換するつもりはない!」そうです。ドイツ国民が続々と殺されているのに、なぜ?

メルケル氏は攻撃犯たちが「自分たちを受け入れた国を辱めた」と批判しつつ、迫害や戦争を逃れようとする人たちは保護される権利があると述べ、ドイツは保護されるべき人をかくまうという「理念を堅持する」と強調した。

(同上)

「迫害や戦争を逃れようとする人たちは保護する」。人道的には、当たり前のことですね。気になる言葉が入っています。「理念を堅持する」。

「これは私たちの歴史的な義務であり、グローバリゼーションの時代における歴史的な課題です。ここ11カ月の間に私たちはすでに、実にたくさんの成果を出してきた」と首相は表明した。

(同上)

難民大量受け入れは、「歴史的義務」だそうです。

どこからのリーダーが、「歴史的義務」とか言い始めたら、「要注意」です。メルケルさんは、難民による犯罪、ISテロが多発し、ドイツ国民が続々と殺されている「事実」より、

「理念」

「歴史的義務」

を重視している。首相第1の役割は、「自国民の命と安全を守ること」なのでは?

メルケルに対する疑念

これからする話、証拠はありません。しかし、ひょっとして、「メルケルさんは共産主義者で、意図的にEUを破壊しているのでは?」という疑念すらわいてきます。私は池上彰さんと佐藤優さんの対談本『大世界史』を読んでいました。この本のp122〜p123にかけて、メルケルさんの話があります。

メルケルさんのお父さんは、ルター派の牧師でした。故郷は、西ドイツのハンブルグだった。60年代末、東西ドイツの行き来が難しくなり、メルケルさんのお父さんは、西ドイツに戻るか、東ドイツにとどまるか選択を迫られます。牧師仲間はほとんど西ドイツに行きましたが、メルケルさんのお父さんは東ドイツにどとまりました。それで、メルケルさんのお父さんは、「共産主義体制に好意的だった」のであろうと。そして、佐藤さんから、こんな発言が出ています。

アメリカのCIAからすると、メルケルは、共産主義者で、「加入戦術」をやっているように見える。

(p122)

池上さんが、すかさず「加入戦術」の用語解説をします。

自分の思想を隠して組織に入り、やがて乗っ取ろうとする戦術ですね。

(同上)

そして、佐藤さんがアメリカ、CIAの意図を解説します。

メルケルは、東西ドイツ統一後にキリスト教民主同盟に入党したけれども、根っこでは東ドイツの価値観が身についている。だからこそ、あえて反共的な党に入ったのではないか、と。

(p123)

CIAはメルケルさんに疑念を抱いているので、ある行動をしています。

池上「スノーデン事件で暴露されましたが、だからこそ、アメリカはメルケルの電話を盗聴していたのですね」

 

佐藤「アメリカは、理由なしに盗聴をしません。何らかの疑念がもたれていることは間違いない。単にドイツの首相だから盗聴したのではなく、米国は、メルケル個人の来歴に疑念を抱いていると思います」

(同上)

なるほど〜。メルケルさんは、共産主義者なのでしょうか?だから、崩壊した共産東ドイツの復讐をしているのでしょうか?だから、共産主義陣営を崩壊させた西欧に復讐しているのでしょうか?それとも、ただの「優しすぎるおばさん」なのでしょうか?

はっきりわかりませんが、確実に言えることは「メルケルさんの行動が、ドイツEUを滅ぼしつつある」ということです。

image by: 360b / Shutterstock.com

 

『ロシア政治経済ジャーナル』

著者/北野幸伯

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出典元:まぐまぐニュース!