恐ろしい! 地球の竜巻とは全く違うメカニズムで起こる「宇宙竜巻」の正体は?
そこで今回は、地球上で竜巻が発生する仕組みや、それをはるかに凌駕するスケールの宇宙竜巻「トルネード」についてご紹介したいと思います。
■ 竜巻が発生するメカニズム
竜巻は入道雲とも呼ばれる「積乱雲(せきらんうん)」が原因となって起こります。積乱雲は暖かい地上と、冷たい上空の空気との温度差による上昇気流がきっかけとなって生まれるもので、これが台風や低気圧などの横風などを受けて渦を巻いたものが竜巻へと成長します。
また、竜巻を作る積乱雲は、雷やゲリラ豪雨をもたらす犯人でもあります。つまり、台風や低気圧が接近していて、なおかつ空が厚い雲に覆われて雷が鳴っているようなときは、竜巻の発生にも注意する必要があるといえるでしょう。
気象庁の「竜巻発生確度ナウキャスト」では、竜巻や激しい突風が起こる可能性が公開されていますので、こういったものも活用しながら被害を最小限に食い止めていきましょう。
■ 宇宙竜巻「トルネード」とは
地球の竜巻も、一度発生すると甚大な被害を及ぼしますが、宇宙には想像を絶するほどのスケールを持った竜巻が存在します。それが宇宙竜巻「トルネード」です。
宇宙竜巻「トルネード」は、私たちがいる太陽系からさそり座の方向におよそ4万光年(光の速さで4万年かかる距離)も離れた銀河系の中心付近にあります。
文字通り地球の竜巻のようにらせん状の渦を巻いた天体で、その大きさは110光年という巨大なスケールです。光の速さなら地球から太陽まで8分ちょっとしかかからないのに、この宇宙竜巻は端から端まで行くだけで110年もかかると思うと、どれだけのサイズなのかお分かりいただけるでしょうか。
■ 宇宙竜巻「トルネード」の正体
ところで、このトルネードは1960年に発見されているものの、それから現在に至るまで50年以上もその正体は不明でした。まさに、神秘のベールに包まれていたわけですが、最近になってようやくその概要がわかってきました。
トルネードの誕生に関する、日本の研究チームの報告結果は以下の通りです。
まず、トルネードの方向では水素を主成分として太陽の30万倍、6万倍の質量を持った2種類のガス雲(分子雲)AとBが存在し、それぞれが回転運動をしていました。
ここで、BがAに秒速20キロで激しく衝突したことで、高密度のガスへと成長。さらに、この近くを高速で通過したブラックホールがそのガスを吸収し、その際に発生する「双極(そうきょく)ジェット」という2方向へのジェット噴射によって、宇宙竜巻を形成したと推定しています。
ブラックホールはすべてを吸い込んでオシマイ…と思うかもしれませんが、実は吸収される物質は円盤状の形になってグルグルと回転しながら中心部へと向かっていきます。そのときに、回転軸方向(つまり円盤の上と下に向かって)へ高速のジェットを噴射します。これが先ほどの双極ジェットと呼ばれる現象です。
■ まとめ
地球上で発生する竜巻は、積乱雲による強い上昇気流がもたらすもので、私たち人類にとっては自然の脅威となっています。
一方、宇宙へ目を向けてみると、そこには全く別の仕組みで生まれた驚異のスケールの宇宙竜巻が存在します。長年、謎とされてきたその形成メカニズムについては、現代科学の力によってようやく少しずつ解明され始めています。
しかし、宇宙にはまだまだ多くの謎であふれています。人類はようやくその入り口に立ったばかりなのですね。
(文/TERA)
■著者プロフィール
小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
