ハビエル・アギーレ氏 (写真:フォート・キシモト)

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 日本代表の新監督がハビエル・アギーレに決まったようだ。昨日24日に行われた理事会で発表された。ついこの間の惨敗などなかったことのように、早速メディアは大騒ぎし、協会は次のことで頭がいっぱいのようだ。

 アギーレの監督としての能力がいかほどのものか、それは蓋を開けてみなければ分からない部分もあるけど、今問題にすべきはそこではなく、やはりこの就任決定までの経緯だ。
 
 ある事業に失敗した企業の上層部が誰一人責任を取らず、現場監督の首をすげ替えてそれで終わり。そういう企業は絶対にうまくいかないよね。皆さんが務めている会社でも思い当たるフシがあるのではないかな? 8年前も4年前も、同じ光景を見た気がする。まったく進歩がないね。呆れてものが言えないよ。
  
 アギーレをどうしても就任させたかった原技術委員長は、この任命を最後の一仕事とばかりに、技術委員長の座から離れ、出世する。ザックジャパンの反省=責任を取るということを放棄し、今回の任命責任すらうやむやにするつもりだ。そう思われても仕方がないだろう。

 悪しき慣習の責任の一端には、メディアの存在もある。とにかく次の話題、新しい話題をほしがるメディアは、言わば共犯だ。決して協会に騙されているわけではない。むしろ一緒になって、この茶番を作り上げている。また4年間、同じ金儲けをしようと企んでいる。
 
 選手の海外移籍報道にしてもそうだ。バーゼルとは何か、カールスルーエとは何かに目を向けることなく、ただただ海外に出て行く選手を持ち上げる。ゴールを決めたら紙面に踊るだろう。そのリーグのレベルなど関係ない。こういったスタンスのままでいいのかな。
 
 ブラジルW杯での惨敗は、協会もメディアもファンも含め、皆のマインドが変化する大きなきっかけだったかもしれない。個人の能力、チーム戦術、大会に臨むにあたっての準備等々、世界の強豪国との差を痛烈に感じさせられたことで、今までのやり方から変えるべきところは変える、つまりまた一つ階段を登るチャンスだったはずだ。けれど、そうはならなかった。上達し続けているのはお金儲けくらいじゃないか。
 
 僕はもうすぐ70歳だからいい。けれどツケを背負わされるであろう若い世代のサッカーマン、サッカーファンは大変だ。残念で、申し訳ないとすら思う。