黒川:ありがとうございます。藍子は26歳、つまり20代後半という設定ですからね。ちょっとだけオバサン風の痛がり方をしてみたんですよ。

――それからもうひとつ。中国語についても感心しました。最初の部分では、いかにも「ガイドブックや会話本のカタカナを読んでみました」という雰囲気でしたね。ところが松山でのシーンでは、「仕事を持つ女性が、1年間かけて一生懸命に勉強しました」という中国語になっている。この中国語の“進歩”が、藍子が台湾に関心を持ち、好きになったということを、見事に物語っているように感じました。

黒川:私は台湾の言葉ができるわけではありません。なので、ビデオを見て勉強し、松山入りは撮影の前日だったのですが、台湾人のスタッフなんかにチェックしていただきました。

 台湾の人にも見ていただくことになる作品です。あのシーンで私の中国語がひどかったら、作品全体が台無しになってしまう。そんなことはできませんからね。頑張りました。

――それ以外にも、役づくりについてのご努力や工夫について、教えていただけますか。

テレサ:私が演じたトントン(冬冬)は、「お子様」なんですよね。シンプルで純粋。問題は、そんな16歳の少女をどう表現するかということでした。まず、「16歳だった自分は、こういう状況だったらどうするだろう」と思い出しました。「藍子と出会ったら、自分だったらどうしただろう」ということですね。

 それから、近くの高校に行って、女子高生の様子を観察しました。彼女らが勉強でノートを取る様子なんかも、観察したんです。

 トントンって、典型的な女子高生の雰囲気を持っています。単純でおバカさんで恐いもの知らずなんですよね。藍子と一緒だからこそ、危険を回避できたということもありました。

<テレサの説明に、ここでちょっと異論が入った>
コウ:ぼくとテレサが初めて出会ったのは、テレサが16歳、ぼくが15歳の時なんです。「危険心霊(危険な心情)」というテレビドラマでした。その後も仕事をしたことがありますが、「南風」ではひさびさの共演ということになります。

 ところで、16歳の時のテレサですけど、『南風』のトントンとは、違っていたなあ。当時のテレサはもっと引っ込み思案で、恥ずかしがり屋だった。デリケートだったと言ってもよい。トントンは違うでしょ。明るく大胆。だから逆に、テレサはトントンという役を、とても上手に演じたと思うな。

――コウ・ガさんは、自分の役をどのように理解したのですか。

コウ:ぼくが演じたユウは、日台のハーフという役柄でした。ということは、日本の文化も背負っているわけです。ハーフとしての雰囲気を出すよう、努力しました。

 それから、これはぼくの理解ですけど、ユウという登場人物は、ドラマを前に進める原動力と思いました。3人が刺激しあうんですけど、前に進める原動力はユウ。そういう雰囲気を出そうとしました。

――でも、ユウは小さなことでも大きなことでも考え込んでしまって、なかなかすぐに結論を出せないという面がありますよね。そのあたり、実生活におけるコウ・ガさんの性格と、重なる部分はあるのでしょうか。

コウ:ぼくは確かに、外向的な性格でないと言われますね。自分の気持ちをすぐに外に出すことはしない。考え込んでしまうタイプかな。

 ユウもそういうところがありますね。でも、藍子に会って変わるんですよ。藍子も、人生につまずいたわけですよね。それで2人とも、自分のそれまでの人生を反省する。そして、変わっていく。

黒川:実は、最初の構想では、藍子は29歳の設定でした。でも、監督とお話しして、藍子は私と同じ26歳という設定に変わったんです。