黒川芽以、テレサ・チー、コウ・ガが『南風』を語った・・・日台合作映画、日本で公開
舞台あいさつでも3人は、コミュニケーションを深めつつの「ロケの旅」だったと説明。テレサは「最初は通じなかった。撮影期間を通じて、だんだん通じるようになった。映画の中の藍子とトントンと同じ。友情が芽生え、育った。撮影後、黒川さんが帰るときには、本当に悲しかった」と述べた。
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取材を通じて痛感したのは、「三人三様」の特長の違いだ。まず黒川だが「自分の内側にあるものを、常に他者に提供していく」という、女優としてのありかたを自分の肉とし、血としていることを強く感じた。
テレサについて驚いたのは、反応の速さだ。周囲の人の言葉や表情に、たちどころに反応する。表情を示し、体が動く。私の経験では、こういうタイプの人は音楽家、特に器楽の演奏者に多い。例えば、「音符通りに演奏」が原則のクラシック系の奏者でもステージ上の演奏が、「思い描いていた通りに進む」ということはまれだ。なんらかの「想定外」が出てくる。
ただし彼らは「想定外」でうろたえてはならない。逆に「思いもよらなかったこと」を、よりすばらしい演奏の結びつける能力が、演奏家としての重要な「資質」になる。テレサはまさに、そうだった。
コウについては、誠実さが印象に残った。何事に対してもきちんと考える。その上で、反応する。持ち前の責任感の強さが言動にあらわれているようだ。
考えてみれば、『南風』における「主役を演じた3人の個性と、その役柄」は見事にマッチしている。3人それぞれが、自分の特長を最大限に発揮できたのではなかろうか。言ってみれば、まさに「はまり役」だ。3人が持ち前のよさをそれぞれに生かし、さらに、「自転車の旅」を通じて、ロケを通じての「人としての変化」を、そのままスクリーンに描き出すことができた。この作品の魅力は、「原寸大の出演者を同時進行で描き出すことに成功した」ということが、大いにあるようだ。(取材・構成:如月隼人)
