なぜ男性はコスプレしている女性が好きなのか、心理学的に分析

 昔から男性は「客室乗務員の制服に鼻の下が伸びる」や「看護師さんの制服姿に弱い」などと言われ、数年前にはメイド喫茶がブーム、制服をモチーフにした衣装のAKB48も人気です。このように男性はコスプレをしている女性に弱いようですが、なぜなのでしょうか? 今回は恋愛心理にも詳しい、心理学者の内藤誼人(ないとうよしひと)先生に、男性がコスプレしている女性にひかれる心理を分析していただきました。

非日常性に興奮する生き物



コスプレそのものが男性をひきつけているわけではなく、コスプレの持つ非日常性が男性を興奮させるのです。それはアニメやマンガキャラのコスプレに限ったことではありません。キャビンアテンダントやナースといった制服も多くの人にとっては非日常であり、男性の心理としては同じのものと言えるんです」(内藤先生)





 なるほど! コスプレではなくても、自分にとって非日常的なものに出会うと男性は興奮してしまうんですね。「OLの制服に興奮する!」、「女性警官の制服が好き!」という男性がいるのも、その人にとってあまり接点がない職業の女性だから興奮しているのではないかと内藤先生は分析します。この心理、女性にも共通しているのでしょうか。





「もちろん、女性にもあてはまります。しかし、男性の方がより非日常的なものに興奮しやすいと言えます。それは、男性は一歩家から外にでると、大人モード、仕事モードにならなければいけない。また、社会的地位がある人ほど『○○でなければならない』という制約にしばりつけられ、日常生活の中でガマンしがちです。ですから、非日常的なものに出会ったときに、より興奮してしまうのだと考えられます」(内藤先生)





ビジネスの場でも応用可能



 また、内藤先生によれば、人を興奮させる非日常的なものとは、制服などのモノだけでなく、自分にとって非日常的な場所やシチュエーションでも同様の現象が起きるそう。内藤先生が、それを実証する実験を紹介してくれました。





「南フロリダ大の心理学者ブレット・コーエンは、ドキュメンタリー映画とサスペンス映画の2つの映画を放映しているシネマコンプレックスで、それぞれの映画館から出てくる70組のカップルについて、腕を組んでいる割合を調査しました。すると、サスペンス映画を観たカップルの方が、腕を組んでいる割合が多かったのです」(内藤先生)





 サスペンス映画は、普段私たちの生活では経験することがない、非日常性をたっぷり含んでいます。人はそうしたものを体験すると、興奮して人に抱きついたり、恋愛行動をとってしまったりするそうです。非日常性に興奮するこの原理、なんだか恋愛にうまく使えそうな気がするんですが……





「マンネリカップルは、いつもと違う街で待ち合わせしてみてはいかがでしょうか。『今日は下町デートをしよう』など、彼女を知らない街に連れていってみましょう。きっと、お互いドキドキして、デートが盛り上がるはずですよ。また、この原理はビジネスでも応用できます。取引先との商談をまとめたい場合は、相手の会社に行ってはダメ。面倒でも『ご足労ください』と自分の会社もしくは、どこか喫茶店で待ち合わせて商談を行ってみてください。心理学的には、その方が商談はまとまりやすいんですよ」(内藤先生)





 非日常性に興奮する心理は、いろんなシチュエーションで使えるんですね。話のネタにもなるこのテクニック、ちょっと頭の隅に入れておくと良いかもしれませんね。





文●ペンダコ