――スカウトマン役を演じるのに抵抗は無かった?

成宮:役者としても8年やらせてもらっていて、誤解を恐れずに言うと、慣れちゃっている自分がいて。ちゃんと自分で「やりたい!」って思わないと良いものが作れないなって思ってる時期だったので、挑戦できて良かったですね。

――では、違う世界の扉を開けられたっていう実感はある?

成宮:いつも自分の中で、「俺が何やったら面白いんだろう」って考えがあって、それがいつも見つからないんだけど、この作品で見つけられるんじゃないかなっていう。ネクストステージに行けるんじゃないかなって気持ちはしました。

――行けましたか?

成宮:自分の中のものは、出し惜しみしちゃダメで。コンプレックスこそ役者は見せて行くべきだと思ったし。そういう部分が人間らしいし、面白おかしいんだなって。今回はこの作品やこの設定に引き出してもらいましたね。宮野監督、中島さん、石田さんに。

――それが栗野への共感につながったわけですね。

成宮:何か恥ずかしいじゃないですか。軽薄な部分って、薄っぺらいところって。できるだけ隠していきたいし、できれば頭良く見られたいし(笑)。けど、それをしないでちゃんと自分の悪い所を逆にプラスに持っていける良い仕事でしたね。

――出来上がった作品をご覧になった感想はいかがですか?

成宮:音楽がすごくいいなって思いました。70年代の音楽ってテンションはあがるんだけど、何かソウルが無いっていうか。この映画にピッタリだなって思って。さらに最後、現代のアーティストであるAIがソウルを引き戻して歌うっていう、音楽の流れがすごいなって思って。後は、台本を読んだ時はもっとポップだったんですよ。話の流れが。「あー中島さんワールドだな」って思ってたんですけど、出来上がりを見たら、もう少し人物にフィーチャーた仕上がりになっていて。「中島さんだったらこう撮るんだろうな」って予想していたのとは少し違う、宮野監督の作品になってるなって。感じがしましたね。

――完成した作品を観て、一番気に入っているシーンはどこですか?

成宮:自分のシーンじゃないんですけど、村上さんが田舎のお兄ちゃんと方言で喋っているシーンがすごく好きですね。「私ブスだから〜。アニメの世界は声だけだから〜」とか言うシーン。自分のことを良くわかっていて、男の人を見つけて、引っ掛けて。自分を一番理解してうまく生きてるしたたかな女っていうのが、自分の中ではグっときちゃって。

――他のキャラクターは自分のことを客観視できていませんよね。その中で村上さんの役だけは違ったという感じですか?

成宮:みんな共通して言えるのは、客観視できていないというよりは、今の自分が嫌いで。「何とかもっと幸せに生きたい」って思うじゃないですか。それでみんな上ばかり見ていて、一向に前に進めないっていう。今の自分がいる場所を許してあげると、肩の荷がおりるというか「大したことないな、自分」って、最後はみんな自分に対しての“笑い”をバネにして前に進むっていう、すごい何か応援映画だなと思いますね。