――やりたいかどうかは別として、スカウトマンという職業は自分に向いていると思いますか?

成宮:絶対向いてない! なぜならば、初対面が苦手だからです(笑)。何喋っていいのか分からなくなっちゃったりとか。割とそういうことが得意そうに思われちゃうんですけど、そうでも無いですね。

――栗野の、“野心家だけど、浅はかさ”というキャラクターのさじ加減が絶妙だなあと思ったんですけど、どうやって役作りされたんですか?

成宮:見た目をかなり作りこまなくちゃっていう気持ちがすごくあって。髪の毛とかも普段絶対やらないようなチープな色だったり、金のアクセサリーをジャラジャラにたくさんつけてみたり。絵に描いたような、ステレオタイプな“チンピラっぽいスカウトマン”にして。その格好が決まってくるとだんだん演技の方向も見えてくるんですよね。最初は、説得力が少しはないとリアルじゃないと思ったんですよ。だけどやっていくうちに、これは嘘が下手な方が、女が騙されていくのがよりバカに見えるし。嘘が超下手なスカウトマンってすごく可愛いなあって。愛されるキャラクターを目指しました。

――うまく嘘をつくのではなくて、“下手な嘘を演じる”ってすごく難しそうですよね。

成宮:栗野君のすごいところは押しが強いところですね。女の子は、ただそこに引きずられていっちゃうだけっていう。嘘自体はものすごい下手くそで。ちょっと恥ずかしかったですね。嘘をうまくついていく芝居のほうが楽ですね。普段の役は、説得力が求められるじゃないですか。だけど今回は説得力の無さが説得力になるからすごく難しいというか。身振り手振りもわざと大きくしたり、まばたきを増やしたり。何かちょっと苦笑いっていうか、つねりながら笑顔を作ってみたりとか。あとは少し日焼けをしましたね(笑)。

――成宮さん自身は嘘が上手ですか?

成宮:うーん。子供の時の方が上手だった気がしますね。

――今は下手になった?

成宮:芝居で嘘つくじゃないですか。仕事で嘘ついてるんで、プライベートですごい欲望に素直になってくんですよ。そうすると普段嘘をつけなくなってきました。どうでもいいことはついちゃったりするんですけど。「昨日何食べた?」って聞かれたら「あ、ナポリタン」って(笑)。全然ナポリタン何か食べて無いんだけど。そんなに嘘はつかないですね。友達にはすぐ分かるっていわれて。ポーカーフェイスじゃないです。意外と自分が素直でかわいいなって。最近思いますね。

――栗野以外のキャラクターもみんな不器用なんだけども、憎めなくて魅力的ですよね。

成宮:そうなんですよ。やっぱり人間はすごく愛おしいものなんだなってことをこの作品には感じることができますね。

――共演者の方で、特に印象に残ってる方はいますか?

成宮:濱田マリさんが、現場入ってくるときはすごい美人さんなんですよ。普通メイクしたら女優さんってもっとキレイになるじゃないですか。でも、メイクしたらブサイクっていうか幸が薄くなって出てくるっていうのが(笑)。毎回非常に面白かったですね。髪の毛のボサボサ具合とかも、あれ普通にボサボサにしてもだめで、粉を降ってるんですよね。それによって、ツヤが無いというか。このテクニックはちょっと盗もうって。

――中村ゆりさんの印象はいかがでしたか?

成宮:初対面でいきなりねえ…。初日がベッドシーンだったんで(笑)。すごい絡みやすいというか度胸があって、俳優が気遣うだろうってことをすごく分かってるので、サバサバしてて。やりやすかったですね。