“白黒ポテチ“に加え「夏の電気ガス代負担は月に6000円増も」…「石油節約」に舵を切れない政府が懸念する“自粛モード”と不透明すぎる中東情勢

中東情勢の悪化を受け、食料品や日用品などが続々と値上がりしたり、ナフサの価格高騰や今後の供給不安の恐れから企業がパッケージの変更に乗り出したりといった対応も相次いでいる。家計への影響が懸念される中、高市早苗総理は夏の電気ガス代の支援や補正予算案の編成を表明した。
ニュース番組『わたしとニュース』では、止まらない物価高に対する政府の対応と消費者の受け止めについて、テレビ朝日政治部の澤井尚子与党キャップと漫画家の瀧波ユカリ氏とともに考えた。
■不透明な中東情勢と相次ぐ値上げ…夏の電気ガス代負担は月に6000円増も

「私は代表団に対し、時間は我々の味方であるため、急いで合意を結ばないよう伝えている」日本時間24日夜、イランとの停戦交渉についてSNSに投稿したトランプ大統領。世界中が期待している原油の供給不安の解消は不透明な状況だ。
そんな中、カルビーはポテトチップスのパッケージを25日出荷分から白黒に順次切り替え、各メーカーもパッケージや容器を変更するなど、印刷や包装などに使われるナフサの価格高騰や供給不足に備えた先手の対策が広がっている。
ここ数年、身近な商品の値上げが相次いでいた中、中東情勢が追い打ちをかけている現状を、消費者はどう受け止めているのだろうか。
「今まで安く買えたものも『結構高くなっているな』と感じる瞬間もあったり。あと紙類、日用品でティッシュ・トイレットペーパーとかも結構高いなって」(20代女性)
「洗濯の洗剤。ビニールは薄くなるしね」「お値段いいなと思うと量が少なくなってね」(80代女性)
中東情勢を踏まえ、高市総理は夏の電気ガス代の支援を表明した。
「使用量が多くなる7月から9月において、電気ガス料金への支援を実施いたします。3カ月で5000円程度の負担引き下げ効果を実現できます」(高市総理)
また、3兆円強の補正予算案を編成し、来週にも国会に提出する方針だ。現在行っているガソリン補助も継続し、新たに創設する中東情勢等対応予備費も活用しながら、必要に応じて対応するとしている。
エコノミストの崔真淑氏は、家計への負担は年末にかけて徐々に増していくと説明する。
「仮に夏の光熱費や電気代に対しての支援がないという話になってくると、(2人以上の世帯で)毎月2000円から最大で6000円ほど光熱費がアップするのではと思っている。子育て世帯や介護をしている世帯など、一日中電気を回さなくてはいけないとなると、(政府の電気ガス代の支援では)カバーはしきれないと思う」(崔氏、以下同)
「光熱費やガソリンだけでなく、あらゆるところに影響がある。例えばプラスチック製品もそう。ホルムズ海峡を通っているのは石油だけでなく、肥料の元となる尿素・リンなども通っている。食料品が。プラスチック製品、そして肥料の高騰からより上がりやすくなるというのが年末年始の動きだと見ている」
■パッケージ白黒化に「官邸も衝撃」…政府の初動とホンネ
中東情勢に端を発する原油不安に対し、政府の初動はどうだったのだろうか。澤井与党キャップは次のように解説する。
「イラン攻撃が始まったのが2月末頃で、いつまで続くのかわからないため、政府としてどう動いたらいいのかわからないと。結局、こんなに続いている中で、やはり補正予算が必要だと今なっている。ちょっと初動が遅かったというのは見ていて感じた。(原油を)今、中東に9割依存しているところから、代替調達先を見つけている状況だ」
ナフサの価格高騰や供給不安定に備え、一部メーカーでは商品のパッケージを白黒に切り替えるなどの対策を取っている。こうした「石油節約パッケージ」への官邸の“温度感”について、澤井氏は…。
「この白黒パッケージは、官邸にはかなり衝撃が走った。話題にもなったし、『これ販売促進のためにやってるんじゃないの?』というヤキモキしたような声も聞こえた」(澤井氏)
これに瀧波氏は「そんなわけないでしょう。そのセリフで(政府の)意識の程がうかがい知れる」とコメント。
澤井氏はさらに、「石油節約」という動きが広まることへの政府内の懸念についても解説した。
「今回の石油節約パッケージに関して、日本人は自粛を好む傾向があるため、他社も追随して過度な自粛に走ってしまうのではないかという懸念を指摘する政府関係者もいた」(澤井氏)
■「節約しないで」パイを大きくしたい政権の姿勢と違和感
石油製品の供給不足を受けて、政府が節約や省エネの強化を呼びかけるべきだという声もANN世論調査の6割以上を占めている。
節約を呼びかけない政府の姿勢について、瀧波氏は「これは諸外国ももっと早い段階でやっていることなので、『なんで日本はやらないの?』とみんなが思うのは当然。政府は、やることによって経済の停滞を心配しているのか」。
これに対し、澤井氏は政府の狙いを次のように語る。
「やはり『節約』と言ってしまうと、自粛モードになる。高市政権は今、経済のパイを大きくして回していこうとしているため、節約と言うとどうしても(経済活動が)減退してしまう。また、政府の認識としては、総量は足りており、今できていない“目詰まりの解消”や“価格転嫁”が進んでいないことが問題。そこに対応していこうというのが今の政府の考え方だ」
これを聞いた瀧波氏は「でも、いつまで続くかわからないから諸外国は早めの段階から節約していこうという姿勢を示している。『この調子でやっていて大丈夫なのか?』と国民が思うのは当然のこと」と指摘した。
“節約”に関する今後の呼びかけについても、澤井氏は「(高市総理の意向は)変わらないと思う。年内は足りる見込みなので、先行きが不透明な中東情勢を見極めた上で、今後の対応を考えていくということ」と見通しを語った。
■物価高に対する政府の対応は
こうした中、夏の電気ガス代の支援や補正予算案の編成を表明した高市総理。この支援策について、澤井氏は次のように説明する。
「7月からの3カ月間のうち、特に8月分をより手厚くしている。これは去年よりもさらに増額されている。中東情勢の影響による原油価格の高騰が、電気やガス料金に反映されるまでには4〜5カ月ほどかかるためだ。ちょうど7月頃からさらに価格が上昇すると見込まれており、そのため、去年以上の支援(手当て)が必要だということ」
また、補正予算案については…次のように説明する。
「中でも『中東情勢等対応予備費』、これは機動的に使えるよう、2.5兆円規模で計上される見込みのようだ。予備費という名目ではあるが、実質的には、現在1リットルあたり170円程度に抑制されているガソリン補助金がこのままだと6月頃に切れてしまうため、その財源を補填して機動的に対応するためのもの、という意味合いが大きいのではないかと思う」
これを受けて瀧波氏は「電気ガス代について補助が出るのはいいことだと思う。ただ、食料品などいろいろなものが値上がりし、倒産も続いていく中で、払えなくなる人も出てくると思う。電気やガスはライフラインであり命に関わること。『この夏は支払いが滞っても供給を止めない』といった猶予措置や、『支払いが難しい場合はここに相談してほしい』という窓口の周知など、生活に困窮する方に寄り添った施策も考えてほしい」と要望した。
一方で、野党は緊急の経済対策としてエネルギー補助だけでなく、現金給付も必要だと主張している。
この現金給付が盛り込まれる可能性について、澤井氏は「現時点ではかなり低いと思う。予備費は柔軟に使えるようにはしているが、給付に充てようという流れではない。先週の党首討論でも総理は野党から質問されていたが、去年の冬に措置した補正予算案の中に、子どものいる家庭には1人2万円という給付措置があるので、『それを使ってください』といったスタンスだった」と分析した。
(『わたしとニュース』より)
