竹前美結容疑者

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「夫妻から脅されていたなどの認定がなされると、無期拘禁刑は言い渡されない」

 栃木県上三川(かみのかわ)町で起きた強盗殺人事件で逮捕された指示役の竹前海斗・美結夫妻と16歳の高校生4人。SNSでは「死刑にしないと被害者やその家族の無念が晴れない」などの声も見られるが、果たして実際の量刑はどのようになる可能性が高いのか。専門家に聞いた。

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 今回の事件で逮捕された少年4人の容疑は「強盗殺人」。成人で起訴されると「死刑」か「無期拘禁」は免れない。

「少年たちは実行犯として人を殺害して強盗するという凄惨な事件を起こしているため、通常の裁判員裁判にかけられることになろうかと思います」

竹前美結容疑者

 とは、元東京地検特捜部副部長で弁護士の若狭勝氏。

「強盗殺人という容疑は、刑事責任において非常に重い犯罪行為に該当します。しかし、少年法の規定に基づき、成人の場合なら死刑を言い渡すのが相当の事案であっても、16〜17歳以下の少年の場合は、殺すつもりで自ら進んで犯行に及んでも無期拘禁刑に減刑されます。また今後の捜査で犯行に加担したプロセスが明らかになるかと思いますが、指示役とされる夫妻から脅されていたなどの認定がなされると、無期拘禁刑は言い渡されないでしょう。重くても10年以上20年以下の有期拘禁刑になると想定されます。また殺意の認定がなされず『強盗致死』ならば、もう少し刑期の短い有期拘禁刑になると考えられます」

「厳罰を下すハードルは高い」

 2022年に改正少年法が施行されて、18〜19歳を「特定少年」として、原則、成人と同じように処罰をすることになった。

「少年法の改正議論では、16〜17歳について成人と同様に扱い厳罰化を求める意見と、少年法の趣旨に沿って更生の余地を考える必要があるという意見に分かれました。そのような二つの考えが合わさって、18歳未満の少年は成人に対する刑罰よりも減刑する、という折衷案的な形に落ち着いたのです」(若挟氏)

 栃木の事件で捕まった少年たちは強盗殺人の罪を犯しているので、「死刑にしないと被害者やその家族の無念が晴れない」「抑止力にならない」との声がちまたにはあるが、若狭氏はこんな意見だ。

「すでに改正時に相当議論されて現行の少年法に落ち着いたので、16〜17歳の少年に厳罰を下せるよう、少年法を改正するハードルは高いと思います。ただ、本当にとんでもない凄惨な犯罪を起こしたら、死刑もあり得るという規定はあってもいいと個人的には思います。法律上で死刑は禁止されているとなれば、それを利用して犯罪行為をさせる大人が出る恐れがあるのではないでしょうか」

死刑判決には高い壁が

 片や今回の事件で“指示役”とされる竹前容疑者夫妻を死刑判決にするにも高い壁があるという。

「実行犯として手を下していなくても、少年らに指示をして事件を自分たちの思い通りにやらせたとなれば、共謀共同正犯になる。その際、夫妻の量刑は少年たちに殺害を指示したのか否かで変わってきます」(若狭氏)

 夫妻が少年たちに殺害までは命じていないと主張すれば、「強盗致死」となり無期拘禁刑となってしまうという。

 匿名・流動型犯罪グループ、通称「トクリュウ」型の犯罪に詳しいライターの藤原良氏に聞くと、

「暴力団対策法には、組長に対する『使用者責任』があります。組員が犯罪行為をすれば組長が監督責任を問われ処罰される。この図式をトクリュウにも当てはめれば、指示役はもとより黒幕のボスなどにも厳罰を求めることができます。今の刑法だと実行犯が最も罪が重い。指示役、その上にいるボスは現場にいないし、お金も盗っていないため罪が軽い。逮捕されても“僕は現場にいませんでした”“指示しただけです”などの言い訳が、通用しないようにした方がよいのではないでしょうか」

 5月28日発売の「週刊新潮」では、トクリュウ絡みの事件で10代の少年の逮捕が相次ぐ背景や警察が注力するトクリュウ捜査の戦略などについて、詳しく報じる。

「週刊新潮」2026年6月4日号 掲載