世界で広がる子どものSNS、スマホ、タブレット利用規制 背景にいじめや依存問題も
SNSやスマホの規制についてどう考えるか、パリで子どもや親に尋ねてみた=2026年3月、パリ、山下知子撮影
子どものSNS利用や、スマートフォンやタブレットなどの使用を制限する動きが世界各地で相次いでいる。背景には、子どもたちのメンタルヘルスやいじめなどの問題がある。
子どものSNS禁止、フランスでは8割超が賛成
世界で初めて子どものSNS利用を法的に禁じたのはオーストラリアだ。16歳未満のSNS利用を禁止する法律が、2025年12月に施行された。SNSを運営する企業側に対し、16歳未満のアカウント凍結や新規作成を防ぐ措置を求める内容で、違反すれば最大4950万豪ドル(約56億円)の罰金を科す。
追随する国も相次ぐ。インドネシアは3月、政府が「ハイリスク」と分類したSNSについて、16歳未満のアカウントを停止する規制を導入。豪州と同様、運営企業側に年齢確認などを義務づけているが、違反があったとして最近、IT大手メタとグーグルを調査した。
フランスでも9月から、15歳未満のSNS利用が禁止される見通しだ。LINEと似た「WhatsApp」などの連絡用アプリは対象外。マクロン大統領が優先課題に掲げた法案が下院、続いて修正を経て上院を通過しており、両院がすり合わせ中だ。
調査会社イプソスが2025年、30カ国の75歳未満の大人を対象にした調査によると、14歳未満のSNS禁止についてフランスでは賛成が85%(30カ国の平均は71%)にのぼった。子育て中のタルシウス・ジャニュエルさんは取材に対し、「SNS依存などメンタルヘルス上の問題もある。アルコールと同じように、年齢制限をすべきだ」と話した。
子どもたちにも尋ねてみた。中学校に通うアレクサンドル君(13)は11歳からスマホを持ち、インスタグラムやスナップチャットを楽しむ。保護者による閲覧制限(ペアレンタルコントロール)がかかっているが、「ネット上に暴力や小児性愛の動画があることは知っている。子どもにとってよくないことは理解できるし、基本的に規制には賛成」と話す。ただ、複雑な思いも。「サマースクールなどで知り合った、遠方に住む子との関係などは続けたい。同じ街に住む、特定の人としか友情を築けなくなってしまう」とこぼした。
同じく13歳のジャンヌ君は「規制は当然」と言う。「いじめや嫌がらせに遭った、と周囲から聞いた。私には必要ない」
広がる学校でのスマホ規制
学校現場ではさらに、スマートフォンそのものの利用を規制する動きも広がっている。UNESCO(国連教育科学文化機関)によると、今年3月現在、世界の国々の約6割で、学校内で子どもがスマートフォンを使うことを禁止しているという。
デンマークのロラン市の小中学校では、登校時にスマートフォンを預かり、ロッカーにしまう。親のお古など「ダミー」の端末を差し出し、授業中に自分のスマホを隠れて使う子もいる=2026年3月、デンマーク・ロラン市のホイビュー小中学校、山下知子撮影
UNESCOは規制強化の背景に、子どもたちの集中力の欠如やサイバー空間でのいじめ問題などがあると分析。また、女子に多い問題として、SNSやスマホの利用によって過度な痩せが助長されたり、身体的なイメージがゆがめられたりする、と指摘している。
子どものSNS利用をめぐっては日本も最近、事業者に対する規制強化を検討し始めた。10代を孤立させない活動を展開する認定NPO法人「D×P」理事長の今井紀明さんは理解を示す一方、こうも指摘する。「マイノリティーの子ども・若者らが孤立しないためのツールでもある。『つながる権利』を守る視点も必要だ」
