【自転車の青切符】導入1か月で街に変化は?「どこをどう走れば」「ルール把握していない」困惑の声も 初月の“青切符告知”最多は「一時不停止」 記者が見た実情と課題は…
4月の青切符交付は2147件 うち7割以上が一時不停止・ながら運転
4月1日に始まった「自転車の青切符制度」。5月14日、警察庁は4月に全国で青切符が交付された件数は2147件(暫定値)だったと発表しました。交付された違反は一時不停止が846件、ながら運転が713件で全体の7割以上を占めました。
【グラフで見る】どの違反行為が多く取り締まられた?「自転車青切符」交付の内訳
導入から1か月あまり、街は変わったのでしょうか?取り締まりの結果と実情、そして見えた課題は…。MBS交通担当・髙島大介記者が解説します。
◎髙島大介:MBS記者 入社2年目 大阪府警交通担当 危険運転や路上での迷惑行為などを取材
導入初月の“青切符告知”は2147件 最多は「一時不停止」で40%
警察庁の発表によりますと、4月の青切符告知件数は全国で2147件(暫定値)に上りました。
その内訳で最も多かったのが「指定場所一時不停止」で、全体の40%を占めています。いわゆる「止まれ」の標識がある場所で停止せず、そのまま交差点に進入したケースです。
次いで、いわゆる“ながら運転”である「携帯電話使用等(保持)」が33%、「信号無視」が14%と続きます。
【4月の青切符告知の内訳】(警察庁発表)
指定場所一時不停止:846件 (40%)
携帯電話使用等(保持):713件 (33%)
信号無視:298件 (14%)
遮断踏切立ち入り:156件 (7%)
通行区分違反(右側通行):63件 (3%)
その他:71件 (3%)
「一時不停止の取り締まり」の背景に…“出会い頭の事故”の多さ
「指定場所一時不停止」の取り締まりが多い背景として、MBS山中真解説委員は自転車と車の“出会い頭の事故”の多さを指摘します。
(山中真解説委員)「警察庁のデータによると、自転車事故の約8割が対自動車事故で、うち半分以上が出会い頭の事故。そのうち75%は自転車側にも違反があったことがわかっています。一時不停止の取り締まりが私たちの命を守ることにつながる」
「検挙」件数は前年より減少…一方で「指導警告」件数は倍増
自転車の交通違反の検挙件数(警察庁資料より)を見てみると、各月4000件~6000件で推移していたところ、今年4月は計2980件(暫定値)となり、前年同期比で約4割減少しました。
2025年4月:5054件
今年4月:2980件(青切符2147件・赤切符833件)
一見、制度の導入により違反が減ったようにも見えますが、警察は「導入直後のため、中長期的なスパンでの判断が必要」と慎重な姿勢を崩していません。
というのも、反則金に至らない「指導警告」の件数は、去年4月の約6万件に対し、今年4月は約13万件と倍増しているからです。
現場取材で見えた実情 制度開始当初より「違反行為が増えている」?
髙島記者は現場を取材した実感として、青切符の導入から1か月が経ち、制度開始当初よりも「違反行為が増えているのではないか」と話します。
実際に、5月13日に大阪・ミナミの交差点を取材すると、2人乗り・傘さし運転・ながら運転などの違反行為が1時間で15件確認されました。青切符の導入直後に同じ交差点を取材した際は1時間で3件だったので、大幅に増えている印象です。
「ルールをもっとわかりやすくしてほしい」との声も 今後の課題は?
自転車に乗る人に青切符制度について聞いてみると…
「ルールをもっとわかりやすくしてほしい。どこをどう走っていいのかわからない」
「ルールを全部把握していないので、正直、警察官がいたら前を通りたくない」
「スマホをいじる癖が抜けない」
などの声が聞かれ、まだまだ制度が浸透したとは言えないようです。
東海大学の鈴木美緒教授は「制度開始当初より気が緩む人や、まだ意識が低い人もいる。引き続きルールや検挙件数の周知が必要だ」と警鐘を鳴らしています。
青切符制度をおさらい!赤切符との違いは?
では、ここで改めて青切符制度をおさらいします。
▼赤切符(14歳以上)
・酒酔い運転など「重大な違反」
・裁判で有罪となれば拘禁刑や罰金などの「刑事罰」
▼青切符(16歳以上)
・比較的軽微な違反行為
・反則金を支払う(前科なし)
▼指導警告
違反行為は「113種類」 ながら運転の反則金は1万2000円
「青切符」に該当する“比較的軽微な違反行為”は113種類。例えば、スマホのながら運転やイヤホン着用など多岐にわたります。
<主な違反行為と反則金>
▼スマホなどのながら運転
→1万2000円
▼放置駐車(駐車禁止場所)
→9000円
▼遮断踏切立ち入り
→7000円
▼信号無視・車道の右側通行など
→6000円
▼無灯火・一時不停止・イヤホン着用など
→5000円
▼2人乗り・並走・抱っこ運転など
→3000円
さらに詳しいルールは、警察庁がインターネット上などで公開している「自転車ルールブック 」や「自転車ポータルサイト」から確認することができます。
自転車と車の事故「自転車の方が過失割合が高くなることも」
加害者になっても被害者になっても、人生に大きな傷を残してしまう自転車事故。
高山俊吉弁護士は「自転車と自動車の事故だと『車の過失割合が高くなる』と思っている人も多いが、自転車に違反行為があれば自転車の方が過失割合が高くなることもある」と指摘します。
自転車は手軽で便利な乗り物ですが、一歩間違えれば凶器にもなり得ます。青切符制度の導入を、単なる罰則の強化と捉えるのではなく、一人ひとりが交通ルールを再確認し、安全意識をアップデートするきっかけにする必要があるのではないでしょうか。
(2026年5月14日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『記者プレゼン』より)
