バフェット”永久保有”を新CEOも貫く…三菱商事に5年前100万円投資していたら今いくら?「取得配当利回り」も驚異の数字に

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商社の決算が出そろった。中でも、好成績を上げた三菱商事を取り上げる。三菱商事といえば「国の通商・外交部門」を担う民間企業といっても過言ではないだろう。日本を代表する企業である。累進配当政策の元祖的な存在だが、たった5年で取得配当利回りが超高配当化、加えて株価も大きく上昇した。では実際に三菱商事に5年前に投資していたら、株価は何倍に、取得配当利回り(簿価に対する配当利回り)は何%になっているのか。個人投資家の桶井道(おけいどん)氏が解説する。

桶井氏は、三菱商事株をポートフォリオの主力(6000株=評価額3188万円、簿価に対して5.52倍の成績。2026年5月7日13時現在)として持ち著書『 資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現! おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全 』(PHP研究所)でも三菱商事について解説している。

三菱商事とは

はじめに三菱商事とはどのような会社なのでしょうか。簡単に触れておきましょう。

三菱商事は、三菱グループの総合商社です。5大商社のトップといわれています。世界中に拠点を持つ日本を代表する企業のひとつです。国内拠点は11、海外拠点は98あり、連結対象会社は1164もあります。従業員数は単体で4477名、連結で6万6062名です。資源事業と非資源事業の比率がおよそ半々で総合力があります。

主な事業内容は次のとおりです。

LNG:米国やアジア等で13のLNGプロジェクトを展開し、年間約1490万トンの持分生産能力を有しています。日本の需要の約20%を満たします。

原料炭:オーストラリアで世界最大手のBHPと共同で原料炭事業を展開。全鉱区の距離(鉱区の全長)は約120キロメートルと東京駅〜富士山の距離より長いです。原料炭は鉄の原料であり、国の発展に欠かせないものです。

銅:チリ、ペルーで銅事業を展開。銅の持分生産量は年間約32.5万トンと本邦最大規模です。世界的に電化の流れがあり、電化には銅が欠かせません。

サーモン:ノルウェーやチリ等でサーモンの養殖事業を展開。年間生産量約26万トンと世界有数の生産量を誇ります。握り寿司に換算すると約100億貫分にもなります。

その他:ヨーロッパや米国などでは再生可能エネルギーの発電事業を展開、ASEANを中心に自動車事業を展開、インドネシアでは都市開発を展開、身近なところではKDDIとコンビニエンスストア「ローソン」を共同経営しています。

三菱商事に関する主要トピック

・バフェット氏(バークシャー・ハサウェイ)による投資

三菱商事に限らず総合商社のトピックとして初めに語らねばならないことは、やはりウォーレン・バフェット氏による投資でしょう。投資の神様と称されるバフェット氏が、2019年7月より三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅と日本の5大商社の株式を取得したことは大きなニュースとなりました。以降も、買い増しの度に話題になります。バフェット氏による投資を機に日本の商社株が見直されて、株価を上げました。

・バークシャー・ハサウェイ「50年は売らない」「永久保有」

2025年のバークシャー・ハサウェイの株主総会にてバフェット氏は日本の商社株について今後50年間は売却を考えない旨言及し、2026年の株主総会にて後任の新CEOアベル氏も商社には永遠の投資と考えている旨言及したとされます。

・経営戦略2027にて「累進配当を踏襲」「2027年度にROE12%以上」と言及

2025年4月に発表された「経営戦略2027」にて、累進配当が踏襲されました。また、2027年度にはROEを12%以上とする旨も言及しています(ROE実績:2025年3月期10.3%、2026年3月期8.5%)。日本企業としては優秀な数字です。

・好決算と見通し

2026年3月期の決算発表は好成績といえるでしょう。

※数字は前から順に、2025年3月期実績、2026年3月期実績、2027年3月期見通し

営業収益キャッシュフロー 9837億円→1兆481億円→1兆2500億円

当期純利益 9507億円→8005億円→1兆1000億円

配当金 100円→110円→125円

これらは、短期、中期、長期で前向きなトピックといえるでしょう。

配当と増配率の推移、予想配当利回り

続いて、配当に目を移します。

※株式分割を反映した数値です。()内は増配率。

2016年3月期 16.67円

2017年3月期 26.67円(60.0%)

2018年3月期 36.67円(37.5%)

2019年3月期 41.67円(13.6%)

2020年3月期 44円(5.6%)

2021年3月期 44.67円(1.5%)

2022年3月期 50円(11.9%)

2023年3月期 60円(20.0%)

2024年3月期 70円(16.7%)

2025年3月期 100円(42.9%)

2026年3月期(予想) 110円(10.0%)

2027年3月期(予想) 125円(13.6%)

予想配当利回り(2026年5月6日現在):2.40%

配当金は5年で2.5倍、10年で4.6倍になろうとしています。11期連続増配を予定しています。

業績推移

連続増配は、業績の支えがないと持続できません。タコ足配当(配当原資となる十分な利益がないにもかかわらず過分な配当を出すこと)など、無理な配当をしていないか、当期純利益および配当性向の推移を確認しておきましょう。

決算期 当期純利益 / 配当性向

2020年3月期 5353億円 / 37.9%

2021年3月期 1,725億円 / 114.7%

2022年3月期 9,375億円 / 23.6%

2023年3月期 1兆1,806億円 / 22.2%

2024年3月期 9,640億円 / 30.4%

2025年3月期 9,507億円 / 42.2%

2026年3月期 8005億円 / 52.2%

2027年3月期 1兆1000億円(見通し) / 41.6%

商社は、一般的に資源価格や景気に業績が左右される特徴があります。コロナ禍では業績は急降下しました。しかし、配当性向を一時的に上げてでも増配したことは、株主還元を意識した経営であると評価できます。2020年まで遡って見て、配当性向に問題は見られません。

株価推移

高配当利回りであっても、株価が下落していては話になりません。配当金で儲けた気分になっても、実は含み損を抱えていたのでは意味がないのです。株価推移も確認しておきましょう。

※各年5月1日の株価(土日祝の場合は前営業日)。株式分割を反映した株価です。

2016年 621円

2017年 808.5円

2018年 1017.33円

2019年 1018.67円

2020年 743.67円

2021年 1006.67円

2022年 1461円

2023年 1688.33円

2024年 3634円

2025年 2687円

2026年 5219円

株価は5年で5.2倍(100万円投資していたら520万円に)、10年で約8.4倍(100万円投資していたら840万円)になりました。バフェット氏の投資を機に評価が上がっており、コロナ禍明け以降の株価上昇は評価できるでしょう。特筆すべきことは、バフェット氏が三菱商事に投資を発表してから追随して投資しても、高い成績を収めることができたということです。

驚異の配当利回り

それでは、取得単価(簿価)に対する配当利回りを計算してみましょう。次の計算式で算出します。

「取得配当利回り」=今期の配当予想÷投資時の株価(簿価)×100

その驚異的な結果に、増配株の魅力を感じられることでしょう。

今期の配当予想125円÷2021年5月1日株価1006.67円×100=取得配当利回り12.4%

取得配当利回り12.4%、たった5年で驚異的な数字です! 増配株の魅力がわかりますね。いったん投資して、5年間放置した結果でこの成績です。ちなみに、10年では取得配当利回り20.1%です。繰り返しになりますが、加えて株価は5年で5.2倍、10年で約8.4倍です。増配による超高配当化とたっぷりの含み益で「二度美味しい投資」になりました。

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