イングランド戦で相手をマークする伊藤(左)。世界的な名門のバイエルン・ミュンヘンに所属している=吉野拓也撮影

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 サッカー日本代表は前回のワールドカップ(W杯)カタール大会以降、ドイツ、ブラジル、イングランドとW杯優勝経験のある強豪を次々と破り、初優勝を掲げて北中米3か国大会に臨む。

 世界の背中を追いかけてきた日本サッカーの「現在地」を探る。

日本の現在地<1>

 3月30日、イングランド代表戦の前日記者会見。日本代表の森保監督は、外国メディアからW杯優勝の可能性を問われ、こう答えた。「たとえイングランドに勝利したとしても、W杯(の結果)に直結するとは考えていない。我々はダークホースとして優勝を狙う」

 前回W杯後、日本の選手たちはさらにステップアップを遂げ、欧州5大リーグのレギュラー級でも代表入りが確約されない時代になった。背景には若くして海を渡った選手たちの奮闘がある。言語も文化も異なる欧州では、日本以上に成功するのが難しい。オランダから欧州生活をスタートさせた堂安(フランクフルト)は「練習中から全員が敵だと思ってやっていた」と語る。

 そんな異国で積極的に日本人を受け入れてきたのが、日本企業が経営権を持つベルギー1部のシントトロイデンだ。冨安(アヤックス)、遠藤(リバプール)、鈴木彩(パルマ)らをJクラブから獲得し、欧州5大リーグへ送り込んだ。シントトロイデンが門戸を広げたことで、日本から多くの選手が西欧のクラブへ移籍するようになり、日本から直接5大リーグに行くケースも増えてきた。

 現在、日本代表の候補者リストには、欧州組だけで約100人の名前が並ぶ。シントトロイデンの立石敬之CEO(最高経営責任者)は「(色んなクラブに)日本人を高く評価するダイレクターが出てきて、パスウェー(進路)が増えた。この積み上げが日本の強化になる」と説明する。

 だが、世界的なビッグクラブで出場機会を得ているのは、独1部バイエルン・ミュンヘンの伊藤のみ。それも準レギュラーの扱いだ。一方、フランスやスペインといったW杯優勝の有力候補に挙げられる強豪は、主力の多くがビッグクラブの中心選手。日本代表前主将の吉田麻也(ロサンゼルス・ギャラクシー)はかつて、「欧州チャンピオンズリーグで優勝できるようなチームのレギュラーが増えれば、日本代表も次のステップにいける」と語っていたが、「大国」との差は大きい。

 菅原(ブレーメン)は「上に行く選手は大一番で結果を出せる。生きるか死ぬかの試合を毎回やっていくしかない」と話す。世界のトップ集団への踊り場にいるのか。それとも大きな壁に阻まれているのか。歴史を切り開くための挑戦は続く。