女子200メートルで5位入賞した宮崎亜美香【写真:奥井隆史】

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陸上・静岡国際

 陸上の静岡国際は3日、静岡・エコパスタジアムで行われ、女子200メートルで宮崎亜美香(ジーケーライン)が24秒01(追い風0.5メートル)で5位だった。昨季飛躍を遂げた27歳のスプリンターは、SNSYouTubeで赤裸々な姿を発信する。そこには同世代に込めるメッセージがあった。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

 タイム上位で決勝に進出した宮崎。身長175センチ、スラリと長い手足が際立つ。最内の2レーンを走り、24秒01の5位でゴール。「怪我もあって、スパイクで走り始めたのは4月だった。(タイムは)悪くはなかったかな。予選、決勝と2本走れたので良かったです」と安堵の表情を見せた。

 その走りで、その挑戦で伝えたいものがある。

 熊本出身の27歳。女子短距離の名門・青学大で3年時には日本インカレ200メートルで6位入賞するなど、全国大会でも活躍した。一方で、日本選手権の出場はなし。卒業後はジーケーラインで実業団選手として競技を続けたが、感情は複雑だった。

「トップ選手とはサポートも、お金も違う。仕事と両立していたら、絶対に無理だと思っていたんです」

 週3日はフルタイム、週2日は6時間の勤務をこなし、土日や有休を使って自費で遠征する。入社後は、電話営業などを担い、仕事にやりがいを感じるようになった。陸上への情熱は薄れ、2022年の国体を最後に、大会にも出場しなくなった。

 再起のきっかけは仲間の活躍。同じ条件で働いていた吉津拓歩(現・ミキハウス)が24年パリ五輪男子4×400メートルリレーの代表に選ばれた。「この環境でも、できる人はできるんだ」。宮崎はその年の秋から練習を再開。食生活睡眠も改善し、本気で陸上に打ち込んだ。

 当初は26年の日本選手権出場を最終目標としていたが、復帰1年目の昨季に自己ベストを連発。初出場した日本選手権は、100メートルで7位、200メートルで5位と国内最高峰のファイナルまで駆け上がった。

インスタのフォロワー2万人、宮崎が伝えたいこと

 フォロワー2万人のインスタグラムに、YouTubeチャンネル「あみ助」。宮崎は飾らない姿を公開する。それはきれいな部分だけではない。悩んだり、落ち込んだり……。様々な経験をしてきたからこそ、伝えられることがあると思っているからだ。

社会人になってからは遅かったので走るのが恥ずかしかったし、不安で試合の1週間前から泣き出すこともあった。私の経歴は特殊だと思っていて。強くない時期、休養した時期もあって飛躍できた。だから、私が落ち込んでいるところや成長しているところを見てもらえたら、悩んでいる人たちも、やる気が出るんじゃないかなって。アラサーの勇気付けができたらなって」

 今季も日常業務をこなしつつ、会社やスポンサーの力も借りて競技に励む。目標は9月に名古屋で開催されるアジア大会への出場。100メートルでは11秒3を目指す。

「年齢的にも、先はあまり長くない。自分の限界を感じたら辞める。もちろん、結果が出るなら続けていきます」

 27歳。異色のスプリンターの限界は、まだ先にある。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)