ディフェンダー・オクタと蜜月2か月(2) 走行距離約4200km 欧州長距離移動のタスクを完璧にこなす、愛すべき存在
最も日常との親和性が高いディフェンダー?
ランドローバー・ディフェンダー P635 オクタは、間違いなく通常のディフェンダーより洗練度が高い。ダートコースだけでなく、都心部のアスファルトでも、シャシーの調和度へ感心してしまう。
【画像】蜜月2か月 ランドローバー・ディフェンダー 110 オクタ 90と130も 全131枚
意外かもしれないが、日常との親和性が最も高いディフェンダーなように思う。最高出力は635psでも、チャイルドシートを固定できるシートや、広い荷室はそのままだ。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
ステアリングレシオは17:1から13.7:1へショートになり、手応えが増し、従来以上に意のままに操れる。「オクタ」モードを選ぶと、一層スポーティな走りにも応えてくれる。だが、それを選ばずとも充足度は低くない。
もっとも、駐車場は選ぶ。トレッドが広いうえ、約4.8mの長さのボディ後端へ、スペアタイヤも背負っている。タイヤのサイドウォールが高く、セットで5500ポンド(約116万円)もする鍛造ホイールへ、ガリキズを付ける心配はないけれど。
510kmで燃やしたガソリンは約90L
グレートブリテン島が雪で覆われたころ、筆者はP635 オクタの走破性を確かめたくて、スペイン北東部のカスティーリャ・イ・レオン州へ向かった。高速道路を疾走し、峠を幾つも越えるのだから、マイルド・ハイブリッドでも燃費は期待できない。
往路は速度を抑えて走り、平均で8.0km/L弱とまずまず。復路は、翌日の仕事へ備えてペースアップ。5.7km/Lへ悪化した。510kmを走るのに、プレミアムガソリンを約90Lも燃やしたことになる。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
お借りした2か月間に走った距離は、述べ約4200km。中東情勢が不安定な中で、平均燃費は6.5km/Lに留まった。
居心地の良い車内で気になるタイヤノイズ
オールテレーン・タイヤのノイズも、無視はできないだろう。ディフェンダー D300を普段の足にする知人へ試乗してもらったが、4速でも2速のような加速へ驚いた、という感想の次に出てきたのが、走行音の大きさだった。
さほど気にしていなかったところも、一度指摘されると気にしがちなのが人間というもの。操縦性の良さを褒めてくれたが、それ以来、ノイスが耳に入ってきたことは事実だ。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタ(英国仕様)
子どもがいる彼は、パフォーマンス・シートのウルトラファブリックは好みではないと話す。こぼした飲み物が染み込みやすく、掃除しにくいから。それでも、座り心地は抜群。世界を見下ろすような視界を得られつつ、スポーティな運転姿勢を取れる。
車内の居心地も美点。ダッシュボードのスイッチ類は大きく、内装素材の質感は高い。ただし、サイドヒンジの重たいテールゲートは、僅かに傾いているように見える。
本来の能力が見事に底上げされたオクタ
燃費と静寂性を除けば、欧州を長距離移動するというタスクを、 P635 オクタは完璧にこなす。高速走行時の安定性は、ベントレー・ベンテイガへ匹敵するほど。圧倒的に速く、落ち着いている。運転支援システムも、概ね好調だった。
オリジナルのディフェンダーも魅力的ながら、P635 オクタの万能性は秀抜。スーパーカーへ迫るサスペンションが生む、優れた操縦性に長距離移動との親和性。本来の能力が、見事に底上げされている。思わず、うぬぼれ気味になるのも無理はない。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタと、オリジナルのランドローバー
番外編:世界で最も多能なクルマ?
今の量産車で、最も多能なクルマは何だろう。ベントレー・ベンテイガは、候補の1台になる。高級車としての真の風格を漂わせ、3.5tのトレーラーを牽引でき、オフロードにも対応し、305km/hまで加速できる。
サーキットもオフロードも豪快に走り回れる、レンジローバー・スポーツ SVRやポルシェ・カイエンも候補に入る。そして、P635 オクタも肩を並べる。快適な乗り心地と引き締まった操縦性は、想像以上。ラリーカーのように、荒野も疾走できる。

ランドローバー・ディフェンダー 110 P635 オクタを囲む、UK編集部
高級感では、ベンテイガなどに届かない。だが、堅牢性という方向性での実力は出色。強烈な旋回Gを秘めたスーパーカーと同じくらい、P635 オクタは愛すべき存在だろう。
こんなに大きなSUVが、これほど快適な乗り心地を実現できていることへ、感服せずにはいられない。動的能力の限界は、驚異的に高い。駐車車両の横を無事に通過できるか、狭い路地では不安になることもあるが。
(文:マット・プライヤー/Matt Prior)
