NTTドコモビジネスレディスに出場した平塚新夢【写真:柳田通斉】

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NTTドコモビジネスレディスで初めての最終日最終組

 国内女子ゴルフツアーのNTTドコモビジネスレディス(千葉・浜野GC)は3日、菅沼菜々(あいおいニッセイ同和損保)が通算18アンダーまで伸ばし、2位に5打差をつける圧勝で幕を閉じた。初めて最終日最終組を経験した26歳の平塚新夢(ひらつか・あむ=Knomak)は、2位から出て5位。通算10アンダーで自身初のトップ10入りとなった。茨城・明秀学園日立高3年時にステップ・アップ・ツアーで史上5人目のアマチュア優勝を果たすも、7度目の挑戦でプロテスト合格。対して、同学年で一発合格の菅沼はその間にトッププロの座を築いた。長い時を経て、同組で優勝を争った平塚に「今の思い」を聞いた。(取材・文=柳田通斉)

 最終18番パー3。平塚は1メートルのパーパットを外した。その後、菅沼が80センチのウィニングパットを決めた。結果は5位タイ。レギュラーツアーで初のトップ10入りも、この日は2バーディー、2ボギーの72でスコアは伸ばせなかった。悔しさが顔に出ていたが、菅沼に「おめでとう」と伝えてハグ。ベストルーキー賞(2024年、25年プロテスト合格者でツアー未勝利の選手が対象)で50万円を獲得し、表彰式にも出席した。それを終えると、複雑な思いを明かした。

「『う〜ん』という感じです。『頑張ったな』という気持ちとバーディーパットの入りそうなところが入らなかったりしたので、悔しさもあります」

 言葉通り、スタートの1番パー4で3パットしながら、2番パー4でバウンスバックのバーディー。菅沼には前半で突き放されたが、後半は強風の中で好ショット、好アプローチを見せて、テレビ中継で解説の上田桃子に「スイングバランスが素晴らしい。これから期待ですね」と言わしめた。

 前日の第2ラウンド後、平塚は「過去のことを思うと感慨深い」と言った。明秀学園日立高3年時にはステップ・アップ・ツアーの静ヒルズレディース 森ビルカップで史上5人目のアマチュア優勝を果たすなど、「天才少女」と称された。しかし、卒業後の2018年に受けた1度目のプロテストでは1次予選通過も、群発頭痛で2次予選を欠場。その後、「成人発症スチル病」と診断された。国内では、人口10万人のうち、3.7人が患う希少な難病だった。「力が入らず、関節痛で立ち上がったり、起き上がったりするのも大変でした」。症状を抑える薬の副作用で顔がパンパンに丸くなる「ムーンフェイス」にも悩んだ。

 だからこその「感慨深い」だったが、平塚は「実はプレーが始まると気持ちがフラットになるんです」と言った。

「初めての最終日最終組で、小学生の時に試合観戦をした時のことを思い出しました。その頃から友人の菜々ちゃんと回れたこともうれしかったですし、プロテスト合格をあきらめなくて良かったと思いました。ただ、思ったよりは緊張しませんでした。動揺してバタバタすることもなかったです」

プロテストに6度落ちても「受け止めるしかない」

 難病を経験し、6度プロテストに落ちても「受け止めるしかない」と切り替えてきた。ゴルフ一辺倒の生活にはせず、浪人中は練習場の正社員として勤務した時期もあった。自身の支えになってきた5人組ダンス&ボーカルグループ・Da-iCEの花村想太への「推し活」は、24年11月の同テスト合格後も継続。オンとオフの切り替えが明確にできるタイプで、試合や練習の合間にライブやイベントに足を運んでいる。

「追い込んで練習しても、うまくいかないのがゴルフだと思っています。なので、今回のようなチャンスが来ることを信じて練習をするという感じです」

 それゆえに、ショットやパットの不調で深く悩むこともないという。ただ、今回の経験で実感した。

「優勝するためには、最終日に菜々ちゃんのように伸ばさないといけない現実です。ギャラリーの声援が糧になっている感じで、『見習わなければ』と思いました」

 そんな平塚にも、ギャラリーから声援が飛んでいた。菅沼のファンからも「あの子、いいね」「ショットがすごくいい」などの声が漏れていた。試合がテレビ中継された影響もあり、一夜明けた4日午前までにインスタグラムのフォロワ―は約2000人増えていた。

 今週7日開幕のメジャー戦・ワールドレディスサロンパス杯にはQT(ツアー予選会)57位で出場決定。2週後の21日開幕のブリヂストンレディスには、今大会と同様に主催者推薦で出場する。

「毎年、気温が上がるにつれて調子は上がってきます。今はあまりできていないトレーニングやケアも頑張っていこうと思います」

 かつての天才少女は「らしさ」を維持しながら、日々学び、菅沼らトッププロの背中を追っていく。

(柳田 通斉 / Michinari Yanagida)