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「大浴場が楽しみで選んだのに…」

そう話すのは、都内に住む女性です。取材に対し、大浴場が売りの地方の高級ホテルを訪れた家族旅行を振り返りました。

夜、楽しみにしていた大浴場に行き、湯船につかっていたところ、外国からの団体客が入ってきました。

その直後、団体客は身体を洗わず、バスタオルを湯船に入れたまま入浴し、湯の中で体をこすり始めたといいます。女性は驚いてその場を離れ、大浴場を楽しめなかったといいます。

脱衣所には「湯船につかる前には身体を洗うこと」「タオルは湯船に入れないこと」といった入浴マナーを説明する英語や日本語のイラストが掲示されていましたが、「団体客はまったく見ていなかった」と女性は話します。

日本の入浴方法を知らない外国人であれば仕方ないとはいえ、ホテル側がマナーを守らせることを徹底していなかったとして、女性は、「宿泊代を返してほしい」と憤っています。

ホテル側に返金や賠償を求めることは可能なのでしょうか。消費者問題にくわしい西塚直之弁護士が解説します。

●どういう場合に返金求めることが可能?

他の宿泊客のマナー違反でホテルの売りである大浴場が利用できなかった場合でも、ホテルとしてやるべきことを尽くした場合は、返金や損害賠償を求めることは難しいと思います。

また、そのタイミングでは大浴場を使えなくても、別のタイミングであれば使えたという場合も、返金や損害賠償を求めるのは難しいでしょう。

一方で、マナー違反の宿泊客がいるとわかっていながら、ホテルが何の対応もしなかったような場合や、今回のケースのように大浴場がホテルの売りであり、そのことがそのホテルに泊まる動機として重要だった場合は、宿泊代金の一部の返金や損害賠償を求める余地があると思います。

●いきなり「返金」求めるとトラブルに

ただし、注意してほしいことがあります。いきなり返金や損害賠償の話を持ち出すのは、話がこじれるのでお勧めできません。

まずはマナー違反の客がいればホテル側にそれを伝え、マナー違反状態を解消して大浴場を利用できるよう求めることが重要です。

そのうえで、マナー違反客のせいで大浴場が物理的に使えない場合には、代替措置(別のサービス提供)がないかを確認し、それも難しいときに初めて一部返金の話をするというように、段階を踏むことが大事だと思います。

【取材協力弁護士】
西塚 直之(にしづか・なおゆき)弁護士
消費者事件を含む民事事件、家事事件、刑事事件、中小企業法務まで幅広く取り扱うほか、消費者教育にも力を入れている。令和6年度大阪弁護士会消費者保護委員会副委員長。近畿大学非常勤講師。家事調停官(非常勤裁判官)の経験もある。
事務所名:西塚法律事務所
事務所URL:http://www.nszk.jp