巡航ミサイル「トマホーク」を発射する米海軍駆逐艦=米中央軍提供、AP

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 【ワシントン=阿部真司】米軍が対イラン軍事作戦で大量の弾薬を使ったことを受け、中国への抑止力低下を懸念する声が強まっている。

 しわ寄せが日本などの同盟国の備蓄にも影響する可能性があるためだ。米政権は生産拡大に乗り出しているが、回復には数年かかると見込まれている。

 4月29日に開かれた米下院軍事委員会で、民主党のジョン・ガラメンディ氏は対イラン軍事作戦で「驚くべきスピードで弾薬が消費された」とし、「中国を抑え込むための弾薬を補充するまでには何年もかかるだろう」との懸念を示した。

 米軍は2月28日の作戦開始時、遠方からの攻撃を中心にイランの軍事施設を多数破壊した。作戦初日の攻撃規模は2003年のイラク戦争の「約2倍」(米中央軍)に達したとされる。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)は4月21日、米軍イラン攻撃で使用した弾薬とその備蓄量を試算した報告書を公表した。米軍は巡航ミサイル「トマホーク」の備蓄3100発中、1000発超を投入し、地対空誘導弾パトリオット用ミサイルは2330発中、1060〜1430発を使用したと推計した。備蓄の3〜5割を消費した計算で、以前の水準に戻るまでに約4年かかるという。

 米ブルームバーグ通信によると、イランでの大量消費を受け、日本が最大400発の取得を計画するトマホークについて、米国は日本に納入が遅れる可能性があると伝達したという。

 政権は「弾薬の供給は事実上無限だ」(トランプ大統領)と強気の立場だが、米軍ではかねて弾薬不足が課題となっている。CSISはイラン攻撃で問題がさらに深刻化し、「将来紛争が発生した場合、米国の作戦行動が制約される」と分析した。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、中国台湾を侵攻した場合に米軍が十分対処できない可能性があるとの米政権内の見方を伝えている。

 米政権は防衛関連企業に生産拡大を働きかけている。ヘグセス国防長官は29日の委員会で「(従来の)弾薬の生産ペースが遅すぎた」と指摘し、今後は改善に向かうとの見方を示した。だが生産ラインの拡大や部品の調達にも一定の時間を要し、弾薬不足の問題がすぐに解消される見通しは立っていない。