海外に留学中の学生たちは、日本とは比べ物にならない物価高の中で、さまざまな苦労に直面している。ニュース番組『わたしとニュース』では、実際に海外留学をしている学生を取材し、その背景にある課題を深掘りした。

【映像】日本人留学生のリアルな生活(実際の様子)

 東京の大学を自主退学し、志す分野を英語で学べるオランダの大学へ正規留学を実現させた吉田真帆さん。念願の環境で勉強に打ち込む一方で、大きな負担になっているのが「学費の高さ」だという。

「EU市民に対する学費とノンEU市民に対する学費が全然違う。私はもちろんノンEUなので、EU市民よりすごくすごく高い。何倍も違う」(吉田真帆さん、以下同)

「学費が何倍も違う…」日本人留学生が明かす実態とは

 例えば1000円あった場合、現在のオランダでどの程度の食事ができるのか…。

「おそらくコーヒー1杯くらいで終わると思う。おそらくスーパーなどに行っても、出来合いのサンドイッチ1パックくらいしか買えないと思う。(Q. 飲み物とサンドイッチの2つ買うことさえ難しい?)どちらかになってしまうと思う」

 栄養学も学んでいることで自炊は苦ではなく、食費はかなり抑えられているというが、高いのは食事だけではないようだ。

「(家賃は)13万1600円。キッチンと自分のシャワールームがある。あとは全部インクルーシブで、電気代、ガス代、インターネット代も全部込み」

 光熱費などは家賃に含まれているため、一見、負担は少ないように見えるが、実際はかなりの節約を強いられているという。

「おそらく上限が決まっていて、電気や水道を使いすぎると後で請求が来る。ポーランド人の友達は、『ものすごい請求額が後から来た』と言っていた。ただオランダは寒く冬は本当に冷えるので、『何時から何時はつけてこのタイミングで消そう』と“暖房マネジメント”をしないと、いつの間にか電気代がすごくかかっている。(お湯を)多めに沸かしておいて、湯たんぽ入れたり、シャワーを爆速で浴びたりしている」

 洗濯にも工夫をしながら、悩みも絶えないそうで…。

「プロパティによるが洗濯に3ユーロ、乾燥にまた3ユーロかかる。私それが嫌で洗濯機を使ったことがなく、全部手洗いしている。特に冬は服が分厚くなり手洗いするのがすごく大変で、冬は乾燥で手荒れもひどくなってくる」

 現地の物価高には覚悟して日本を発ったものの、それでも計算しきれなかった誤算が2つあったと吉田さんはいう。

「1つ目は、こんなに円安がひどくなる予想もしていなかったということ。約10年前は1アメリカドルも120円、ユーロ140円ほどの世界線だったと思うが、私は今200円だと思って計算している」

「2つ目は、奨学金がないということ。見つかると思っていたが蓋を開けてみたらなくて、その現実にすごくがっかりしている。そもそも私のように、海外の大学に正規で入学したい人向けに支給される奨学金がまずない。あったとしてもいろいろな制限があり、なかなか自分の条件に合うものがないというのが現状」

 なぜこのような苦しい状況になるのだろうか。背景の一つに“学費の差”があるという。

 令和7年度の日本の国公立大学の学費が年間約81万円〜92万円、私立で約120万円であるのに対し、吉田さんが留学するオランダの大学は約272万円にも上るという。この大きな差がある理由を、留学奨学金プラットフォームを運営する株式会社RyuLogの代表取締役・平良美奈子氏は次のように語る。

「自国の子どもたちに対しては、何かしらの支援が充実していることが一定としてある。しかし国外から来る留学生に向けては学費を高く設定し、実費を上乗せする『二重価格』の構造になっている。それに加えて円安の影響もあるため、実態としては約2倍近くの負担に感じられる方も多いのではないだろうか。これが“留学生ビジネス”として成り立っている側面がある」(平良美奈子氏、以下同)

 また吉田さんのような正規留学生が、「奨学金が見つからない」状況にある理由を平良氏は「日本国内の大学に所属しながら行く交換留学などに対する支援は、比較的充実している。理由としては、支援したお金がUターンで日本にきちんと還元される、つまり『日本の大学から日本の企業に就職してくれそうな学生』に対しては、国や団体も支援をしやすいという背景があるため」だと明かした。

 JASSO(=日本学生支援機構)などが2020年度から正規留学生向けに返済不要の奨学金を出すなど、少しずつ改善の兆しはあるものの、恩恵を受けられる学生はまだまだ少ない状況だという。

「現在、正規留学生に向けた返済不要の奨学金は、主要なものを集めても1年間で採択されるのは全国でわずか350人〜500人ほど。強い思いを持った学生たちが、非常に高い倍率の中で切磋琢磨している過酷な状況だ」

 さらに平良氏は、数少ない奨学金制度を探し出すこと自体の難易度についても指摘する。

「奨学金を出す団体がJASSOや政府、行政、国内外の大学など多種多様になっている。それぞれの団体が独自の媒体や形で発信しているため、検索サイトを活用したとしても、結果的に自分自身に合う奨学金を探し出すのは非常に難しい」

(『わたしとニュース』より)