宮沢りえが女王役「壁は高いほど価値がある」…「メアリー・ステュアート」アイク版
4月の注目作が、8日開幕の「メアリー・ステュアート」だ。
宮沢りえが表題役である16世紀のスコットランド女王を演じる。「彼女に関する作品はたくさんありますが、見たことがある人にもない人にも、一番心に残るメアリーを演じたい」と並々ならぬ決意で挑む。(小間井藍子)
独の劇作家シラーが1800年に書いた名作戯曲を英国の演出家ロバート・アイクが翻案、2016年に英で初演されて好評を博したバージョンの日本語版だ。政変によってスコットランドを追われたメアリーは親類であるイングランド女王エリザベス1世(若村麻由美)のもとに身を寄せるが、イングランドの王位継承権を持つメアリーの処遇をどうすべきか、エリザベスは頭を悩ませる。
アイク版について「スピード感があり、スリル度も高いと思いました。同時に演じる側の心が強くないと置いていかれちゃうような怖さもある」と語る。演出は24年上演の「オーランド」でもタッグを組んだ名匠・栗山民也だ。「物語のカロリーの高さにひるみそうになりますけど、壁は高いほど乗り越える価値がある。栗山さんが選んだ作品ということで、その思いに触れてみたいと思った」
栗山の演出方法は独特で、ほぼ全ての俳優の動きが稽古前に決まっているという。「そこから役者さんはそれぞれ心を埋めていく。自分への言葉もそうですけど、他の役者さんへの言葉を聞いていても心に響くものが多くて勉強になりますね」
若村とは舞台初共演。「声がとっても素敵で、好きなんです。膨大な資料を1冊の本にまとめていらして、本当に熱心で誠実。舞台上でぶつかり合うためによく話し合っている」と明かす。
自身も、黒柳徹子から「参考に」と手渡された本を読んだり、2月中旬にメアリーゆかりの土地を訪れたりしてきた。「フランスのお城や教会を調べて、行ってみました。今は観光客も多くて当時とは違いますが、窓から見える自然とかは近いものがあるのではと。ヒントをもらいました」
長年にわたり宮沢は、映像、舞台の双方で活躍してきた。「正直、映像でも舞台でも演じるうえであまり気持ちとしては大きく変わることはない」と言う。「映像は瞬発的に求められたものが一生残る魅力があり、舞台は稽古期間があり、キャスト同士で議論してたどり着けるものがある。それぞれ良さがある」
シビアな役を演じる機会が多かったが、昨年は三谷幸喜演出「昭和から騒ぎ」に出演し、喜劇の奥深さを改めて感じた。「“間”一つでお客様を笑わせる役者さんを見ると本当にすごいと思う。コメディーは好きだけど演じるとなると苦手意識があって……。私も面白くなりたいんです」
翻訳は小田島則子。5月1日まで、東京・渋谷のパルコ劇場。(電)03・3477・5858。
