わずか41球で大会を去る剛腕 「恥ずべき登板」と波紋を生んだスクバル 漏らした1試合限定参戦への本音「本当は自分もここにいたい」【WBC】

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米代表として“唯一”の登板を終えたスクバル(C)Getty Images

 現地時間3月7日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドB組で、優勝候補の米国が英国と対戦して9-1で勝利。「1試合限定参戦」で注目を集める剛腕タリク・スクバルは、3回(41球)を投げて、1失点、5奪三振と好投した。

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 2年連続サイ・ヤング賞左腕への期待値の高さからすれば、消化不良の感は否めなかった。プレーボール直後、初回の先頭打者であるネイト・イートンに94.8マイル(約152.5キロ)の4シームを痛打され、早々に一点を失ったスクバル。出鼻をくじかれながら持ち直した投球は見事だったが、球数制限(65球)に及ばない41球での降板は「これで終わりか」という印象をぬぐいきれなかった。

 もっとも、通常のシーズンであれば、春先の調整時期。さらに今季はスクバルにとって大型契約を勝ち取れるか否かの重要なFAイヤーでもある。この先のキャリアを見据え、怪我のリスクを最小限に留めた上での参加であるのは言うまでもなかった。

 ゆえに選手たちはスクバルを慮った。米メディア『The Athletic』の取材に応じた米代表のブライス・ハーパーは「来年、彼は先発投手として誰よりも大金を稼ぐ。それを俺たちはみんなが分かってる」と強調。「それでもこのタイミングで彼が俺たちのためにやってくれるっていうのは、尊敬しなきゃいけない点だ」と41球で終わった“スポット参戦”に敬意を表した。

 ただ、WBCは国の威信をかけた大舞台でもある。自身の“ビジネス”を優先する形での参戦を理解しきれない人も少なくない。ニュースサイト『Newsweek』は「恥ずべき英国戦の登板」と強調し、「たった41球しか投げさせないなら、なぜ代表チームにいる必要があるのか?」と疑問を投げかけたファンの声を伝えた。

 今回の大会参加には、当人も複雑な胸中を隠せずにいる。米紙『USA Today』でスクバルは、「自分の決断は世間とは少し認識が違うかもしれない」と告白。その上で「僕がここにいることがどういう意味を持つのかを仲間たちは理解してくれていると思う。もちろん、本当は自分もここにいたいんだ」とビジネスと野球人としての想いの狭間で揺れる本音を漏らした。

 波紋を広げたスクバルの限定参加。彼のように批判を受ける選手を減らすためにも、大会の開催時期を含めてWBCは改善の余地がありそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]