「長すぎましたね」J2降格を知る“生き証人”が感じた重責と安堵…17年ぶりJ1昇格の原動力となった37歳米倉恒貴の存在価値
両手で顔を覆って涙を流したキャプテン鈴木大輔を筆頭に、ピッチ上の選手全員が最高の時間を味わった。それはベンチにいた面々も同じ。とりわけ、2009年のJ2降格を知る37歳・米倉恒貴の感慨は凄まじいものがあったはずだ。当時の屈辱を知る唯一の生き証人は「自分が現役のうちに何としてもチームをJ1に戻さなければいけない」という強い責任感を胸に秘め、今季を戦い抜いたのだ。
「ヨネはJ1だったジェフを知る唯一の選手。(2019年にガンバ大阪から復帰した時には)強い決意で戻ってきたと思うし、そのヨネがプレーオフ初戦(準決勝 RB大宮アルディージャ戦で決勝アシスト)で試合を決めた。決勝は残念ながら出番はなかったけど、サポーターにとってもヨネの存在はとても大きかったと思います」
水野はこんなメッセージを寄せたが、大宮戦での凄まじいハイプレス、そして17歳の新星・姫野誠の同点弾を演出したアシストを含め、値千金の働きを見せたのは間違いない。水野はこのゲームも生観戦。後輩の頼もしい姿を目に焼き付けた。だからこそ、「本当によくやってくれた」と強く言いたかったのだろう。
とはいえ、今季の千葉、米倉本人がシーズン通して順風満帆だったわけではない。ご存じの通り、小林慶行監督体制3年目の2025年の千葉は開幕から快走し、前半戦終了時点でも首位で折り返した。「ついにジェフが上がるのか……」といった期待も高まったが、そこからまさかの停滞。最終的に水戸、長崎に抜かれ、3位となった。過去5度のプレーオフに参戦し、涙を飲んでいる彼らとしては「絶対に自動昇格」という思いは人一倍強かったはずだが、それが叶わず、6度目のプレーオフ行きが決まった。
「やっぱり『またジェフか』という思いを持った人も多分いたんじゃないかと。でも、それを覆すくらいのパワー、エネルギーを今年のチームは発揮できたのかなと。本当にこんなに監督やコーチ陣を信頼しているチームってなかなかない。『ファミリー』みたいな感じで昇格できたのは最高ですね」と米倉は神妙な面持ちで言う。先輩であり千葉レジェンドの一人である坂本将貴コーチも「走る、戦うという古河電工時代からの伝統と、慶行の戦術と方向性がこの3年間でしっかりと合致した」と力を込めていたが、米倉自身も指揮官のマネージメント力には舌を巻いたという。
「慶行さんがシーズン終盤の方には練習終わりにスタッフ一人ひとりに話をさせたり、選手にも一言は話させたりしましたけど、それによってみんなに責任感が生まれる。それが結束につながったところもあったと思います。加えてキャプテンの(鈴木)大輔の存在感がすごかった。あいつは言葉を持っていますし、全て引っ張ってくれた。心から称えたいですね」と大ベテランはともに苦しんできた鈴木にも感謝。そういった気配りができるところも米倉の持ち味だろう。
