記事のポイント 司法省の救済策は現状維持にとどまり、パブリッシャーの核心的課題を解決しないとの批判が強まった。 パブリッシャーは検索支配の温存に失望し、AI Overviewsなどの影響把握や選択権が得られず不満を募らせた。 判決は将来の規制や新たな独占訴訟の布石ともなり得るが、依然として不確実性が大きく残された。


数か月にわたる準備期間を経て、米国司法省によるGoogleへの行動是正措置が9月2日に明らかになったが、広告業界においては多くにとって期待外れの内容に終わった。

昨年8月、裁判所はすでにGoogleの検索支配力を独占と認定していたことから、メディアや広告業界の経営者たちは抜本的な変革を期待していた。パブリッシャーの経営陣は、Googleの検索エンジンクローラーとAI実験(AI OverviewsやAI Modeなど)を切り離すこと、あるいは少なくともそれらが検索からのクリック率にどう影響しているかについて、より多くのデータを提供するよう求めることを望んでいた。

それにより、パブリッシャーは自らのコンテンツがどこに表示され、どのように利用されるかについて、より多くのコントロールを持つことができたはずである。

しかし、広告業界は今回の是正措置に対して激しい批判と諦めの混ざった反応を示した。パブリッシャーにとっても即時の救済はほとんどない。Googleの検索エンジンは依然としてAI製品と深く結びついており、検索からのトラフィックは減少し続けている。そのため、AI企業とのライセンス契約や直接交渉こそが、パブリッシャーに残された数少ない実効的な手段となっている。

パブリッシャー側の失望と懸念



「基本的に現状維持であり、Googleにとっての大勝利だ」と述べたのは、独立系パブリッシャー6000以上を管理するラプティブ(Raptive)のチーフグロースオフィサー、マーク・マッコラム氏である。同氏はさらに、この判決は「パブリッシャーにとっての核心的な問題に触れていない」とも付け加えた。

Googleの検索事業に対するさらなる措置を期待していたパブリッシャーは失望を強いられた。

「現時点では、検索領域におけるGoogleの独占は温存され、この判決はニュース出版社にほとんど影響を与えない」と、ザ・ヒル(The Hill)のオーディエンスおよびコンテンツ担当副編集長、サラクシ・ライ氏は語った。

一方で、一部の関係者にとっては今回の判決は、パブリッシャーがより多くのコントロールを取り戻すための長期的な闘いにおける一里塚に過ぎない。2000以上の出版社を擁する業界団体ニューズ/メディア・アライアンス(News/Media Alliance)の社長兼CEO、ダニエル・コフィー氏は、「次のステップを模索している」と述べたが、具体的な内容については言及を避けた。

取り上げられなかったパブリッシャー救済策



今回の是正措置の核心として、GoogleがChromeを売却する必要がない点が注目された。しかし、よりパブリッシャーに直接関連する重要な部分も存在していた。判決文では裁判中に提示された2つの提案が説明されている。

ひとつは、Googleがパブリッシャーと独占的なデータやコンテンツ契約を締結することを禁止するものであり、もうひとつはGoogleの検索クローラーをAI製品(AI Overviewsなど)から事実上切り離すものである。これにより、パブリッシャーはGoogleの検索結果に表示される一方で、自社コンテンツがGoogleのAI実験に利用されることを拒否できるようになるはずであった。

アミット・メータ判事は、パブリッシャーがGoogleに関して「板挟みの状況」にあると認めた。最終判決において、パブリッシャーは「Googleに自社サイトをクロールさせる以外にほとんど選択肢がなく、そうしなければ検索結果に表示されず、トラフィックを得られない」と記した。しかし、こうした救済策に基づく訴えを組み立てるのは困難であったとも述べた。

「裁判所はGoogleのオプトアウトの提供について証拠を聴取したが、パブリッシャーからの証言は一切なかった」とメータ判事の判決文には記されている。「裁判所はパブリッシャーが生成AI技術によって新たな課題に直面していることを疑っていないが、証拠がなければ救済はあり得ない。いずれにせよ、この行為と提案された救済策は本件の範囲を大きく逸脱している」。

パブリッシャーからの反発と「勝者なき判決」



匿名を条件に語ったあるメディア経営者は、これを「逃げ口上」と評し、判事がGoogleの支配力がパブリッシャーに与える害(特にAI OverviewsやAI検索機能に関するデータ不足)を提示しながら、解決策を示さなかったことに憤りを示した。

コフィー氏は今回の判決を「勝者なきシナリオ」と呼んだ。パブリッシャーがGoogleのAIからオプトアウトすれば検索ランキングを損ないかねないためである。「Googleは引き続き検索において競争優位を持ち続ける。この判決はAIにおける彼らの支配力を抑制する方向にもっと踏み込むべきだった」とコフィー氏はDigidayに語った。

Google検索エンジンの市場シェア90%という支配力と、パープレキシティ(Perplexity)やOpenAIといったAI検索エンジンの台頭により、パブリッシャーはテック企業やAI企業からの搾取に脆弱な立場にあると、一部のパブリッシャーは指摘する。今回の判決により、規制によってAIエンジンがパブリッシャーのモデルに与える脅威を抑制できるという幻想は打ち砕かれた。

「Googleの支配力が続くだけでなく、データ共有が市場最大手のテック企業数社に限られているため、この判決はパブリッシャーのコンテンツを無断で利用し続けるAIコミュニティを勢いづけてしまう」と、英国プロフェッショナル・パブリッシャーズ・アソシエーション(Professional Publishers Association)のCEO、サジーダ・メラリ氏はメール声明で述べた。

今後への布石



しかし、この裁判は新たな前例を作り得る。Googleを独占と認定し、その事業の中心にGoogleのデータがあることを特定したからである。2人のメディア経営者はDigidayに対し、「今回の判決は最終的にはパブリッシャーの利益につながると考えており、将来の規制や次のGoogle反トラスト裁判(パブリッシャー向けアドサーバーと広告取引市場での独占に関する裁判で、9月22日に開始予定)への布石になり得る」と述べた。この裁判では強制的な事業分割もあり得る。

プロハスカ・コンサルティング(Prohaska Consulting)の創業者マット・プロハスカ氏は、今回の判決における潜在的な希望の光として、裁判所が勧告遵守を監視するために設置した5人の技術委員会を挙げた。もしパブリッシャー寄りの人物が委員に選ばれれば、一定の前進になるかもしれないと指摘した。

マッコラム氏は、Googleが競合他社に共有を義務づけられたデータに、一部のメディア企業がアクセスできる可能性を示唆した。ただし、それは「競合他社」の定義次第であり、多くの不確定要素が残る。

「我々はAIが今後どのように情報発見を形づくっていくのかについて、答えよりも多くの疑問を抱えている」と、メディアバイン(Mediavine)のCEO、エリック・ホッホバーガー氏は述べた。「これは過去の時代のルールで、動き続ける標的を規制しようとする典型例に思える」。

[原文:Media Briefing: DOJ’s Google search trial remedies fall flat for publishers

Sara Guaglione and Jessica Davies(翻訳・編集:島田涼平)