指揮官シメオネがさすがの采配力を発揮。アトレティコが“ゲーム運びの差”でCWC初白星。B組の鍵はサウンダーズが握る?【現地発】
前日には隣接するTモバイル・パークでMLBのシアトル・マリナーズがボストン・レッドソックスとのホームゲームを行なったが、スタジアム周辺の雰囲気も引けを取らないレベルであり、サウンダーズのユニホームを着たり、応援グッズを身につけたファンも多かった。
サウンダーズのGKシュテファン・フライが大きく蹴ったセカンドをアトレティコがマイボールにすると、左センターバックのロビン・ル・ノルマンが前に出ながらダイレクトで、ノルウェー代表FWアレクサンデル・スルノットに縦パスを通す。
スルノットは二人のDFにチャージされるも、ボールをしっかりとキープしながら右サイドのジュリアーノ・シメオネを前に走らせた。持ち前のスピードを活かして背後を狙うと、付いてきた左センターバックのジョン・ベルをマイナスに外して中にパス。
最後は、左サイドから中央に流れてきたパブロ・バリオスが右足で捉えた巻きぎみのシュート。ボールはクロスバーに当たりながらもゴールラインを割った。
その後もサウンダーズ陣内に10人が入るほどの押し上げで、アトレティコが立て続けにチャンスを作る。
W杯予選のイタリア戦でもゴールを奪ったスルノットが、アルゼンチン代表MFロドリゴ・デ・パウルからの絶好なラストパスを受けるも、至近距離のボレーを上に外してしまうなど、フィニッシュの精度を欠いて追加点を取りきれず。
右外からゴール方向に仕掛けたシメオネが倒されたシーンも、長いVARチェックからのオンフィールドレビューでノーファウルに。そうこうするうちにサウンダーズがアトレティコのテンポに慣れてきたことで、試合は拮抗状態になった。
それでも後半に、ベルギー代表130キャップを誇るアクセル・ヴィツェルを投入したアトレティコはいきなり、得点に成功。そのヴィツェルがすぐさま大きな仕事をやってのける。
47分、セットプレーの流れから、マルコス・ジョレンテのシュートがクロスバーに当たった跳ね返りから、ル・ノルマンの左足ボレーでの折り返しを得意のヘッドで叩き込んだ。
これで完全にアトレティコのゲームになったかと思いきや、サウンダーズが反撃。相手のロングボールを奪ったところから、積極的に厚みのある攻撃を仕掛ける。ドリブルで攻め上がったボランチのオベド・バルガスが、左からファーにボールを入れると、FWダニー・ムソフスキの折り返しが相手に当たってこぼれたボールを、スロバキア代表MFアルベルト・ルスナークが至近距離の右足シュートに持ち込み、世界的なGKとして知られるヤン・オブラクを破った。
黄緑色のユニホームを着たサポーターで溢れかえるルーメン・フィールドは俄然ヒートアップしたが、その5分後に、ホームチームにとっては無慈悲なまでのゴールが、バリオスによってもたらされた。
右のロングスローをニアでスルノットと競ったベルが中にクリアしてしまい、ゴール左に詰めていたバリオスが迷うことなく、ワンバウンドしたボールを右足で合わせると、シュートはゴール右隅に吸い込まれた。
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そこからアトレティコのディエゴ・シメオネ監督は4バックから5バックに変更したり、ベンチスタートだったフランス代表FWアントワーヌ・グリーズマンを投入して、守備を整えながらカウンターの起点を増やすなど、さすがの采配力を発揮する。
サウンダーズもコージボワール出身の新鋭ジョージ・ミヌングなどが果敢に攻めるが、欧州でも鉄壁を誇るアトレティコの牙城を崩し切ることはできなかった。
シメオネ監督は「前半の30分間、我々のチームは素晴らしいプレーを見せた。3、4点入る可能性もあったが、相手ゴールキーパーのパフォーマンス、こちら側の決め手の不足、またPKが認められなかったこともあり、1点差のままになった」と振り返る。
そして後半の立ち上がりにリードを広げてすぐ、1点を返された後のバリオスによる3点目に感謝を表した。
パリSG戦に比べれば、明らかにコンディションや大会の慣れなど、パフォーマンスが上がったようにも見えるアトレティコだったが、サウンダーズの健闘もあり、決して楽な試合にはならなかった。
ただ、そのなかでも感じるのはゲーム運びの差で、ブライアン・シュメッツァー監督が率いるサウンダーズも、ハードーワークで何とかアトレティコの強度にアジャストしながら、ホームの応援に背中を押されるように粘り強く反撃する姿は好感を持てた。ただ、ちょっとしたリスタートや切り替えからアトレティコに主導権を奪い返された。
結果的に2連敗となったサウンダーズは敗退が確定してしまったが、3試合目で欧州王者のパリSGにどこまで食らいつけるか。
一方のアトレティコは2連勝のボタフォゴを相手に、ロサンゼルスのローズボウルで行なわれる試合に勝利しないと、ノックアウトステージに勝ち上がる望みがほぼ絶たれる。B組の鍵は意外とサウンダーズが握っているかもしれない。
取材・文●河治良幸
