【甲子園を沸かしたヒーロー】グェン・トラン・フォク・アン「野球人生に自信なかった」1年夏の甲子園鮮烈デビューまでの舞台裏を告白

2003年の選抜高校野球で元東洋大姫路高校エースとして、
花咲徳栄高校と高校野球史に残る「引き分け再試合」の死闘を演じたグェン・トラン・フォク・アンさんが自身の野球人生について赤裸々に語った。
インタビュアーから地元のスーパースターと紹介されつつも、アンさんの生い立ちや高校時代の裏話が明かされた。

アンさんは現在は野球からは完全に離れ、川崎市にあるバー『クラッシーズ』の店長として働いていると説明。「今は全く野球はやってなくて、もっぱら見る側です」と、現役を離れても野球への愛着を覗かせた。

長崎で生まれ姫路で育ったアンさんは、4人兄弟の末っ子。
幼少期は「小学校の時は結構やんちゃ」「お山の大将みたいな感じ」と振り返り、運動神経にも自信があったが、水泳だけは苦手だったという。
野球を始めたのは小学校5年生と遅めで、「団地の仲間から誘われて入った」とのこと。
家族、特に兄が練習相手となり、独学で指導してくれたエピソードも明かされた。

中学進学後は強豪クラブチームの存在も知らず、「野球好きだったんでそのまま中学の野球部に入った」という素朴なきっかけだったが、練習は部活後に兄と自主トレを続ける日々。
「兄貴が明るいライトを買ってくれて、夜遅くまで練習していた」という家族の支えも大きかったと語った。

当初は「高校には行くつもりなかったんですよねもともと。やっぱお金もかかるし親に負担かけたくない」と諦めかけていたが、中学監督からの推薦もあり東洋大姫路に進学。
「熱心に声をかけてくれたのが東洋大姫路でした」と、進路決定の背景を明かしている。

高校入学後はいきなり活躍の場を与えられ、
「硬式野球は初めてだったが、球速も10キロ以上伸びた」と手ごたえを感じつつも
「野球に関してはそこまで自信なかった」と謙虚な本音ものぞかせた。
それでも「投げたらたまたま結果が出ちゃって、練習試合や公式戦でも先発を任されるようになった」と、1年夏から鮮烈デビュー。県大会でも堂々としたピッチングを披露した。

また、当時から『国籍』が話題となることが多かったが、
「みんな同じことばかり何度も聞くから嫌になる。でも別に野球自体は嫌じゃないんです」と、
野球そのものへの愛情と当時を巡る複雑な心情も漏らした。

動画の終盤では、中学時代にテレビでPL学園と横浜の名勝負を見て「自分も甲子園に行きたいな」と夢見ていたこと、実際に1年夏でその舞台に立てた時は「めちゃくちゃ嬉しかった」と喜びを語り、印象的な締めくくりとなった。